●要注意の脚本家が手がけた話数はレックス推し?

――これまでの放送回の中で、それぞれの所属ディビジョンの名場面を教えてください。

木村 全13話にわたって3年間の『ヒプノシスマイク』 をぎゅっと濃縮しているようなアニメーションなので、そもそもが名場面集みたいなものなんですよ。その中で挙げるとすれば、一郎だと2話の最後ですかね。事件を解決した後、二郎と三郎が自分のお陰だって言い合っているところに、一郎が「俺ら三人でBuster Bros!!!だろ」って肩を抱きながら言うシーン。すごくBuster Bros!!!っぽくていいなって。

――山田三兄弟らしさが溢れるシーンでした。

木村 あと、1話のどアタマの一郎もかっこいいんですよ。二郎と三郎がテンダーロインズに追い詰められる場面。テンダーロインズが「今頃、お前らの兄貴は一人で俺らの仲間にフルボッコになってるだろうよ。一人で30人以上に勝てるわけねぇだろ、出来たらバケモンだぜ」って言ったところに、カメラがふっと上を向くと、そこに「バケモンで悪かったな」って一郎が登場する……。もう、ありがとうございます!! なシーンですね。

浅沼 ヨコハマ・ディビジョンでいえば、8話です。銃兎が「俺の代わりを見つけて予選に出てくれ」って言ったときに、左馬刻が「ふざけんじゃねえぞ」って怒って、理鶯も「今の状態がベストだ」って言うシーン。いつもは暴れる左馬刻を銃兎が諌めることが多かったけど、挫けている銃兎を、言葉では言わないけど「お前しかいねえんだよ、この三人でMAD TRIGGER CREWなんだからよ」って諭すのは、ちょっと熱い展開でした。

――確かに、左馬刻が銃兎を諭す展開は新鮮でした。

浅沼 それと、割と好きなのが12話の追われているときのシーン。一郎と左馬刻が鉢会って、ぐっと睨み合うんですけど、銃兎と二郎に諌められて、「ここは停戦協定だ!」「わあったよ!」ってなるところが、2人とも案外かわいいなと(笑)。

木村 物分かりがいいんですよね、この場面(笑)。

白井 僕はやっぱり10話のシンジュクとシブヤのバトルですね。原作CDのドラマトラックでは、回を重ねていくごとに乱数の抱えているものがどんどん露わになっていったんですけど、アニメの場合そこは少し違っていて。幻太郎と帝統はなぜか乱数の心のうちを察しているところがあって、乱数が真正ヒプノシスマイクを使おうとするところで止めるような言葉を掛けてくれるんですよね。

――帝統が「俺の10万ラッキー、お前にやったぜ……!」と手をとって、幻太郎が「主人公らしく。乱数らしく。勝ちましょう」と言うシーンですね。

白井 今までのドラマトラックCDの話とリンクさせると、グッとくるシーンですよね。そこでシブヤがひとつ歩み寄ったというか、距離が縮まったシーンだと思います。

速水 僕は3話の冒頭が、シンジュクらしくて好きですね。寂雷の医者らしい日常のシーンからスタートして、シンジュクの風景と寂雷のナレーションからオープニングにいくってところが。

――木島さんもそのナレーションのシーンはお気に入りとおっしゃっていました。

速水 それと同じ3話の、独歩が部屋で変死体と遭遇して、トイレに立てこもって「何も考えないようにしよう、俺はミジンコだ…」ってくだりも最高に面白くて。帰ってきて変死体を見た一二三の割と冷静な反応もいかにも一二三で、シンジュクの3人は独立独歩なんだなって思いますね。あと、同じ回で登場するシャンパンタワーの豪華さも。美術さんがこだわったそうで、すごいんですよ。あっという間のシーンですが、見どころです。

――今回のアニメでは、トム、アイリス、レックスたちも絶妙な存在感を放っていました。12話でいよいよ彼らの正体が明らかになりましたが、彼らSecret Aliensについてはいかがですか?

白井 濱野(大輝)くん演じるレックスの5話の「するめは…」ってセリフが、めっちゃ面白かったです。「するめはぁ!」ってすごい言い回しをしていて、ツボに入っていました。レックスは、最終的に恐竜でしたね。

木村 恐竜キャラって今までいなかったですよね。萬屋、ヤクザ、ファッションデザイナー、医者、恐竜……。「普段はどんなお仕事を?」「恐竜を生業としています」って。

一同 (笑)。

木村 2話の三人がたこ焼きを食べるシーンでレックスが「このオクトパシーな歯ごたえ」って言うんですよ。新しすぎる表現。「このオクトパシーな歯ごたえ……生き物のリアルを感じるぜ。化石から、太古の恐竜を感じるように」ってセリフが続くんですけど、リアルって現実、今のことなのに、”太古の恐竜”ってたとえだと昔にいっちゃってて、何言っているかわかんない(笑)。こういう、まったく絵が浮かばない食レポは見事だなって思いました。

浅沼 2話の脚本家の鈴木やすゆきさん、チェックしておきましょう。要注意人物ですね(笑)。

木村 流行ると思いますよ! 『オクトパシー』。「それな」くらいに流行ると思います。

白井 5話も鈴木やすゆきさんだよ、するめのときの。

浅沼 Secret Aliensに思い入れが強いのかな。

白井 2話も5話も、セリフが独特ですよね。

浅沼 鈴木先生、第10話では「肉食恐竜と肉食恐竜のガチの殺し合いの様だったな。大迫力だぜ」って。ここでも恐竜が。

白井 鈴木先生、レックス推しかもしれない。

●『ヒプマイ』新グッズ会議へと発展……!?

――さて、いよいよ最終回ですが、ネタバレにならない程度に見どころをお願いします。

白井 オールスターな感じですね!

速水 オールスターで、気持ちが完全にぐっとまとまるところが一番の見どころです。

木村 これで終わった感じがしないんですよ。今回は全13話で彼らの一部をお見せしただけで、どこかのタイミングでまた別の部分をお届けできればいいなと思います。だから、皆さまのお力をもう少しだけお借りして、ぜひセカンドシーズンを実現していただきたいなって。一度見た方は二度も三度も見ていただき、周りに見たことない人がいたらぜひすすめていただいて、さまざまなSNSで「面白かった」と言っていただきたい!

速水 見逃した人には配信もあるんだよね?

木村 あります! セカンドシーズンがやれるように、配信などで見まくって、面白かったと評判にしていただきたいですね。

速水 もう皆さん、このアニメが癖になっていると思うんですよ、これだけ新しいラップがどんどん出てくるなんて、普通ないですから。13話はラップにも乞うご期待ですね。

浅沼 今回のアニメでヒプマイのフィールドがかなり広がったと思うんです。CDしかなかったものが、ゲームになり、舞台を経て、そしてアニメに。ここまで広がったら、フィールドの行き来ができるようになると、さらに最高だなと思うんですよね。

ワクワクな展開が僕らで思いつくくらいなんで、ファンの方達も「こうなったらいいな」がたくさん頭の中に浮かんでいると思うんです。声を上げ続けてくだされば、それも叶うんじゃないかなと感じています。やっぱり、ナゴヤ・ディビジョンもオオサカ・ディビジョンもアニメに出てもらわないと始まらないですから。

木村 Blu-ray&DVDが出たらみんな買って欲しい。

白井 買うしかない。

速水 やっぱり”盤”で持っていないとだめですよ。いつでも、ちゃんとクオリティのいいもので見られるようにね。

浅沼 速水さんが言ってくださると圧力が違う(笑)。

木村 再生機器もグッズで出せばいいんじゃないですか? CDもDVDも再生できる、コンポみたいな”ヒプマイプレーヤー”。

白井 帝統が背負っているやつ?

木村 今はクリアファイルを保存するファイルがあるんでしょ? その原理でいくと、次は”クリアファイルファイル”を入れる棚をつくって、最終的にはその棚を置く家をグッズにする。「ヒプマイハウス」。

浅沼 「ヒプマイハウス」は山田家バージョンと火貂組一家バージョンがあるとか(笑)。

速水 もっと現実的なものを考えたんだけど、「ヒプノシスマスク」とかどう?

白井 まさに今って感じですね! ネーミングもちょうどいい。

木村 めっちゃいいじゃないですか!! いや、グッズ会議じゃなかった(笑)。