フジテレビ系スペシャルドラマ『教場』で、冷酷無比な今までにないキャラクターを見せた木村拓哉。2021年新春に放送される『教場II』(1月3日・4日21:00~)で、その姿が再び画面に登場する。

演出を務めるのは、フジテレビの中江功監督。木村の主演作では、『若者のすべて』(94年、萩原聖人とW主演)や、『ギフト』(97年)、『眠れる森』(98年)、『空から降る一億の星』(02年)、『プライド』(04年)など、数々のヒット作でタッグを組んできた。

そんな中江監督に、『教場』における木村拓哉の魅力などにについて、話を聞いた――。

  • 『教場II』主演の木村拓哉 (C)フジテレビ

    『教場II』主演の木村拓哉 (C)フジテレビ

■「風間公親」にかける並々ならぬ思い

主人公である風間公親は、これまでの“木村拓哉”にはなかった、冷酷無比でダークなキャラクターだったことはもちろん、その風貌も白髪で義眼という衝撃的なものだった。前作の役作りの際は、自ら率先してアイデアを出していたそうで、中江監督は「僕は、白髪はそこまでやらなくていいかなと思っていたんですよ。だけど、木村本人が『真っ白でいこう』って言うからマジかよ(笑)って」と驚きを振り返る。

今作でも、風間にかける並々ならぬ思いがあったようで、「前回脱色して白髪にして大変だったので、自然にあのビジュアルへ戻れるように、ウィッグを用意して、試したんですけど、結局使いませんでしたね。ちゃんと前回と同様に白髪にしてきました。今回は特にコロナ禍で、撮影期間が長くなってしまったんですけど、それでも結局最後まで地毛で全部やってくれました」と明かした。

■出番がないのに“風間”として現れる

このドラマは、木村自身が持つカリスマ性と存在感、そして彼がその場にいることによって放たれる独特の緊張感が、“風間公親”というキャラクターにピッタリと重なり、別の木村拓哉作品に比べて異質な仕上がりとなっていた。また、他の俳優では決して醸し出すことのできない空気感が画面から伝わってきたことで、すべてのドラマ作品においても味わうことのできない独特の世界観が生まれていた。

それは、木村が率先して行っていた“役作り”だけでなく、“現場作り”からも形成されていたようだ。

「この作品は生徒たちが行進や所作を覚える訓練から始まるんですけど、その現場にも(木村が)ちゃんと来ていましたね。今回の生徒たちは前回の生徒より、全員の動きがそろうまでちょっと時間がかかりましたけど、それを現場で締めてくれていました。そこでは彼に当然出番はないし映らないし、撮影前の練習なのに、しっかり制服を着て、“風間”として現れて、あの雰囲気のまま来るので、生徒たちも彼がいる時といない時とでは差が激しいくらい、みんなピリッとしてましたね」

ドラマが撮影される以前から作り上げられる緊張感だったからこそ、映し出された映像にもしっかりとそれが刻まれ、視聴者もその空間に飲まれるような体験を味わうことができたのだろう。「だから最初の授業なんかはまさにそういう雰囲気が感じられて、前回同様、緊張感というのは画面に出てるような気がしますね」