フジテレビ開局60周年特別企画として、木村拓哉主演のスペシャルドラマ『教場』が、4日・5日(21:00~)に2夜連続で放送される。長岡弘樹氏の同名小説を原作に、木村演じる警察学校のカリスマ教官・風間公親が、極限状態を生き抜く生徒それぞれのよこしまな思惑を暴いていくミステリーで、『踊る大捜査線』などで知られる君塚良一氏が脚本を担当するという話題作だ。

この作品の演出を務めるのは、木村主演でこれまで、『若者のすべて』(94年)や、『ギフト』(97年)、『眠れる森』(98年)、『空から降る一億の星』(02年)、『プライド』(04年)と数々のヒット作を手掛けてきた中江功監督。今作が成立した経緯から警察学校の取材、撮影の裏話などを聞いた――。

  • 葵わかな(左)と大島優子

    葵わかな(左)と大島優子=『教場』1月4日放送の前編より (C)フジテレビ

■原作を読んで戸惑いも

――今作ではプロデュースも兼任されていますが、この作品に関わった経緯を教えてください。

19年の1月に「60周年のドラマを木村拓哉でやる」という話を聞き、いくつかの作品候補から『教場』に絞られました。でも、自分としては読んで少し戸惑いました。生徒一人ひとりが事件やトラブルを起こし、それを風間が解決していくという話なので、連ドラっぽい話だが、これを単発でどう構成するか、どうすれば面白くなるんだろうかと思ったんです。読んで面白いけど、画になるとどうだろうか?というのも含め。

立ち上げのとき、僕1人しかいなかったんですけど、どの作品もそうですが、この作品は特に脚本勝負だと思い、まず君塚(良一)さんが思い浮かんで、「原作を読んで感想聞かせてください」ってすぐメールしました。そうしたら「面白い」と言っていただけたので、今度はすぐ会いに行って「書いてくれませんか」とお願いしました。君塚さんも快諾していただき、そこからはすごく早かったです。

まだスタッフも誰もいなくて、2人でそこからのスタートでした。あそこで君塚さんに「うん」と言っていただけなかったら、このドラマはなかったですね。そういう発端なので、僕がプロデュースとなっていますけど、それ以外はほとんど何もしていませんよ(笑)

  • 脚本の君塚良一氏(左)と中江功監督

――監督と君塚さんはどの作品からの関係ですか?

CS放送で初めて制作したドラマ『ニュース速報は流れた』(09年、フジテレビNEXT)という作品をやって、それが君塚さんと地上波じゃできない感じをめちゃくちゃにやって面白かったし、またやろうねっていう話をしていていたんです。君塚さんと言えば『踊る大捜査線』だけど、「警察ものは散々やったけど、警察学校は目を付けたことがなかったし、面白いね」って言っていただきました。

――今回のでき上がった脚本はどうでしたか?

打ち合わせで原作の2本から面白そうなエピソードを選んでプロットを作っていったんですが、君塚さんの中ではもう計算ができているんですね。こういう風に作った方がいいというのがもうあって、脚本ができ上がったのもすごく早かったですし、この脚本なら大丈夫だと思いました。だから、最初にできた段階からちょっと肉付けをしたくらいで、そんなに変わっていないんですよ。最初の君塚さんか構成してくれたまんま、ほぼそれででき上がっているのでさすがだな、君塚さんに書いてもらってよかった~と思いました。