SUVとはスポーツ・ユーティリティー・ビークルの略称で、「日常の街乗りからアウトドアまで多目的に利用できる乗り物」という意味だが、そこに厳密な定義はない。
現在のブームを支えているモデルは、ラダーフレームに強靭な足廻りと四輪駆動にコストをかけた本格的な「クロスカントリーSUV」ではなく、舗装路の走行をメインに設計されたプラットフォームを用いた「クロスオーバーSUV」の類だ。ユーザーもそこまで悪路走破性を求めてはいないし、その方がメーカーも作りやすいので、さまざまなスタイルのSUVを繰り出すことが可能になる。
今回は一般社団法人 日本自動車販売協会連合会のデータから2020年11月に最も売れたSUVモデルのトップ10を紹介。コロナ禍で最も売れている「ライズ」や、強いブランド力を持つ「ハリアー」のほかにも、各社がラインナップするSUVの売れ筋モデルをご覧いただきたい。
2020年人気SUV車種、11月トップ10
順位 | ブランド通称名 | ブランド名 | 販売台数 |
---|---|---|---|
1 | トヨタ | ライズ | 10,627 |
2 | トヨタ | ハリアー | 9,897 |
3 | トヨタ | RAV4 | 5,329 |
4 | 日産 | キックス | 4,292 |
5 | トヨタ | ランドクルーザー | 4,025 |
6 | トヨタ | C-HR | 2,222 |
7 | ホンダ | ヴェゼル | 2,177 |
8 | 日産 | エクストレイル | 1,869 |
9 | スバル | フォレスター | 1,699 |
10 | マツダ | CX-5 | 1,688 |
※軽自動車および海外ブランド車を除く
■1位:トヨタ「ライズ」
2020年上半期は「プリウス」や「カローラ」を抜き、堂々の首位に輝いた「ライズ」は5ナンバーサイズのコンパクトSUV。OEMの共有元であるダイハツが軽自動車で培った取り回しのしやすさや、積載性能などのノウハウが充分に活かされており、「RAV4」から継承された力強いSUVのデザインも魅力的だ。
価格は200万円前後に抑えられているが、1リッターターボエンジンはパワーと低燃費を両立し、「トヨタセーフティセンス」と呼ばれる安全技術も実装している。
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■2位:トヨタ「ハリアー」
2020年6月にモデルチェンジした「ハリアー」は、高級SUVのパイオニアとしてさらなる進化を遂げている。クーペルックのエクステリアは、よりロー&ワイドに、インテリアは風合いや質感にこだわり、大人の感性に訴える空間を演出している。車体も新TNGAプラットフォーム採用で乗り味がさらに上質なものに進化したほか、最新の安全性能も実装。今や誰もが認める高級SUVのブランド「ハリアー」の名に恥じない内容だ。
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■3位:トヨタ「RAV4」
日本国内では2016年に一度販売が終了したが、昨今のSUV人気に合わせて再登場した「RAV4」。ミドルクラスのボディはSUVとして過不足のないパッケージングで、力強い走りと省燃費を達成するエンジンにはガソリンとハイブリッド、最上級モデルとしてPHVも加えられた。さらには世界初の4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」や各種安全性能もしっかり実装されている。
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トップ3はトヨタSUVが独占
今回も先月同様、トップ3はトヨタだが、爆売れしていた「ライズ」の勢いが若干衰え、堅調な売り上げの「ハリアー」がグッと差を詰めている。「ハリアー」のような高級車の販売台数が増えたのは、秋以降にコロナの第2波が収まったことも考えられるが、実はもう1台、同じトヨタで「ライズ」の強力なライバルと成りえるモデルがある。それは「ヤリスクロス」だ。
今回のランキングでは、SUV単独ブランドに絞っているので、一般的なモデルも含むヤリスファミリーは除外されている。「ヤリス」は8月には12,000台程度だったが、「ヤリスクロス」発売以降の9月は一気に22,000台以上まで伸ばし、10月、11月も約18,000台~20,000台を維持して「ライズ」を大きく突き放した。
「ライズ」と「ヤリスクロス」は車格も近く、グレードによっては価格帯が被るため、「ライズ」の購入層が、純トヨタ製でハイブリッド設定もある「ヤリスクロス」に流れたケースも少なくないはずだ。ランキングには反映されないが、SUVの王者「ライズ」を倒すのは「ヤリスクロス」かもしれない。
※ブランド通称名とは、国産メーカーの同一車名を合算したものであり、海外生産車を含む
※上位台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含む(例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含む)