「鮨おにかい＋1」で“くずし鮨”とワインのペアリングをゆっくり堪能した

創意工夫を凝らしたら“くずし鮨”とワインのペアリングをコンセプトとした新店「鮨おにかい＋1(たすいち)」が2020年12月1日、中目黒にオープン。気取らずリラックスできる店内で時間を忘れて絶品鮨とワインを堪能してきた。

一番最初に握られたのが「アイルランド産本マグロ中トロ」

予約3カ月待ちの人気すし店の二号店

「鮨おにかい＋1」は、2019年11月にオープンした、予約3カ月待ちの人気店「鮨おにかい」の2号店。本格的な鮨をよりカジュアルに楽しめるように、腕利きの若手職人さんを中心に置き江戸前寿司の伝統も守りつつ、モダンで独創性に溢れた“くずし鮨”を提供している。店舗があるのは各線中目黒駅から徒歩2分の場所に立つビルの3階。店名は、もう1つのおにかいという意味と3階に店を構えていること、さらにぺアリングなどを含め、プラスアルファの提案をしていきたいとの思いから「鮨おにかい＋1」と名付けられたという。店内はカウンター11席が用意されている。

シンプルでぬくもりのある店内はカウンター11席

「おまかせコース」で"くずし鮨"を堪能

この日ご紹介いただいたのは、仕入れや季節によって変わる、厳選されたネタを中心に構成された15貫の寿司に3品の小皿料理がついた「おまかせコース」(税込10,000円)。鮨とワインのペアリングということで、まずは、先付けの「ししゃも有馬煮」、「里芋とモッツァレラチーズ」と共に、「フェッラーリ」のスパークリングワイン「マキシマムブリュット(ロゼ)」で乾杯。ワインの監修は、イタリアワイン・ベストソムリエコンクール(JETCUP)で優勝経験を持つワインソムリエの永瀬喜洋さんが担当している。食事とのペアリングを考えてイタリアのワインが用意されているそうで、提供される鮨ごとにロゼ、白、赤と順番にワインを紹介してくれた。

ワインと楽しむ”くずし鮨”は新たな価値観を教えてくれる

最初に握られたのは、「アイルランド産　本マグロ中トロ」。鮨は白身魚から提供されるイメージがあるせいか、いきなり中トロ!? と思ってしまったが、3種類の酢をブレンドした赤酢を使ったシャリと中トロの味がロゼスパークリングワインにとても合う。「鮨おにかい」の顔であるマグロを一番に食べてもらうということで、白ではなくロゼを最初に提供しているのだとか。続いて「津本式熟成」で仕込んだクエ、低温調理した白子をいただいた。白子は噛むごとにとろけて上に乗ったトリュフ塩とほどよく混ざり合ってまさに極上の味だった。

トリュフ塩でいただく低温調理された白子はとろける極上な味わい

おすすめの1つ「煮あん肝軍艦」は、本来蒸し上げて提供する“あん肝”をあえて30分煮込み、奈良漬とともに軍艦にしたもの。これらの食事は白ワイン「トレッビアーノダブルッツォアンフォラ(バルバ)」とペアリング。アンフォラと呼ばれる陶器で熟成させており旨味分が強いワインのため、「煮あん肝軍艦」や宮城県産の牡蠣を酒蒸しした「牡蠣酒蒸し」ともよく合う。牡蠣を煮出した出汁をお猪口でいただくこともできたのだが、旨味が凝縮されており体に染み渡る美味しさだった。

「煮あん肝軍艦」はおすすめの1つ

宮城県産の牡蠣を酒蒸しした「牡蠣酒蒸し」は出汁も旨味たっぷりで絶品だった

『ミシュランガイド東京2020』にてミシュラン1つ星を獲得した「天ぷらみやしろ」監修のもと、「鮨おにかい」でも人気の「海老天海苔巻き」を食べられるのも嬉しいところ。揚げたてサクサクの海老天ぷらと海苔の食感、シャリの味、甘いたれが相まって満足感の高い逸品だ。

手渡しで提供される「海老天海苔巻き」

赤ワイン「キアンティチェタムラ 2017(コルティヴオーノ)」とのペアリングでいただいたのは、目の前で瞬間スモークされるエンタメ感も楽しい「鯖瞬間スモーク」、「鮨おにかい」名物の「マグロ手巻き」。大トロの炙り、中トロ、赤身の漬けが一度に味わえるというなんとも贅沢な手巻き鮨で、うっとりする美味さ。

大トロの炙り、中トロ、赤身の漬けが一度に味わえる贅沢な「マグロ手巻き」

これ以上ない多幸感、と思いきや続く「2色のいくら丼」では、半生に茹でたいくらと生いくらのタッグがさらなる幸せを口の中に運んできてくれた。最後は「ねぎまのお椀」でほっこり温まってコース終了。これまでに食べたことのない工夫が凝らされた鮨ばかりで、ワインを飲みつつ時間を忘れるほどにゆったりと食事を楽しめた。ごちそうさまでした！