ぐるなび総研は、今年の日本の世相を反映し象徴する食として、2020年「今年の一皿」の発表を12月5日に行った。今年は「テイクアウトグルメ」が選ばれ、その他ノミネートした一皿も発表された。

  • 2020年「今年の一皿」発表会が開催された

    2020年「今年の一皿」発表会が開催された

「今年の一皿」とは、優れた日本の食文化を人々の共通の遺産として記録に残し、保護・継承するために2014年に開始し、今回で7回目を迎える。2019年は「タピオカ」、2018年は「鯖」と、世相を反映した料理が選ばれてきた。

ノミネートグルメの選出理由

今年ノミネートした品目は「シャインマスカット」「代替肉」「ノンアルコールドリンク」「テイクアウトグルメ」の4つ。選定方法は、飲食店情報サイト「ぐるなび」のユニークユーザーの閲覧履歴や行動履歴などのビックデータから、検索数や上昇率の一定の条件を経て40ワードを抽出。1,935万人のぐるなび会員にアンケートを実施し、メディア関係者の審査を通して4つのワードが選ばれた。

その中から、その年に流行または話題になったこと、その年の社会の動きと関係が深く世相を反映していること、食文化の記録として後世に受け継ぐ価値があること、の3つの条件を満たしていることを「今年の一皿」実行委員会が確認し、2020年の「今年の一皿」が決定された。

  • 「シャインマスカット」画像提供 : ぐるなび総研

    「シャインマスカット」画像提供 : ぐるなび総研

「シャインマスカット」は、パフェやサンドイッチなどシャインマスカットを使った趣向を凝らしたメニューや商品が増えたことに加え、外食を控える世の中で手軽に贅沢感を味わえる高級食材として消費者の需要が増えたことから選出された。

  • 「代替肉」画像提供 : ぐるなび総研

    「代替肉」画像提供 : ぐるなび総研

「代替肉」は、健康志向の高まりを受け、大手食品メーカーの参入による品質向上や飲食チェーン店舗での導入など、国内で注目されはじめたことからノミネート。世界的な食糧危機問題への備えと、環境保全や持続可能な取り組みへの意識が高まり、新たな食材としての発展が期待できると今後にも注目が集まる。

  • 「ノンアルコールドリンク」画像提供 : ぐるなび総研

    「ノンアルコールドリンク」画像提供 : ぐるなび総研

「ノンアルコールドリンク」は、コロナ禍で外出制限による運動機会の減少や在宅時間の増加から健康意識が高まり、ノンアルコールドリンクへの関心も高まったことから今回のノミネートにつながった。 ビールだけでなくワインやカクテルなど、種類が増え、味が進化したこともポイントだという。

「テイクアウトグルメ」が選ばれた理由

  • 「テイクアウトグルメ」画像提供 : ぐるなび総研

    「テイクアウトグルメ」画像提供 : ぐるなび総研

2020年の「今年の一皿」に選ばれた「テイクアウトグルメ」は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、新たな収益源としてテイクアウトを開始する飲食店が急増したことや、ラーメンや高級料理、アルコール飲料など多種多様なメニューが増えたことから選定されたという。

また、自宅でも手軽に飲食店の味を楽しめるテイクアウト需要が高まり、商品を入れる包材の工夫や事前予約決済や店頭以外での購入など販売方法にも広がりがあったことからテイクアウト市場が大きく進化したことも理由の一つ。

  • 飲食店を代表して登壇した彦摩呂さん

    飲食店を代表して登壇した彦摩呂さん

飲食店を代表して発表会に登壇したグルメタレントの彦摩呂さんは、「飲食店のみなさんにとって大変な一年だったと思います。そのような中で思いを込めたテイクアウトグルメを届けてくれました。全国の飲食店のみなさん、おめでとうございます。やりましたね!」と力強くコメント。

自身もテイクアウトグルメを利用したことから、「麺類のテイクアウトは、麺が伸びないようにセパレートの容器に分けてくれたり、袋の出汁をつけて家で温めて食べれるように、細やかな気遣いを感じました」と、今年さまざまな進化を遂げたテイクアウトグルメ市場を振り返った。

コロナ禍で外出自粛を余儀なくされた今年、テイクアウトをすることでいつもの店の味や普段食べに行かない店の味を楽しむ機会が増えた。ニーズの高まりとともにテイクアウト技術は日々ブラッシュアップされ、家でも店の味を楽しめる工夫が施されている。新しい生活様式が当たり前になった今、これからもテイクアウト需要が見込まれる。飲食店への応援の意味も込め、改めてテイクアウトグルメを味わってみてはいかがだろうか。