女優の門脇麦が、現在放送中のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)で、ヒロイン・駒を好演している。駒は庶民の代表として存在。庶民の目線も描いている本作において、重要な役割を担っている。22日に放送された第33回「比叡山に棲む魔物」でも存在感を発揮。この回の演出を担当した一色隆司氏に、門脇の演技の魅力、そして駒をはじめとするドラマオリジナルキャラクターの役割について話を聞いた。

『麒麟がくる』ヒロイン・駒役の門脇麦

将軍・義昭(滝藤賢一)と覚慶時代に出会い、再会を果たしてから寵愛を受けている駒。義昭にとって心の内を話せる大切な存在となっている。駒は、自身が手掛けている薬を通じて、幅広い人脈も持つ。第32回「反撃の二百挺」で、光秀は筒井順慶(駿河太郎)から鉄砲を譲り受けることに成功したが、その際に駒の口添えがあった。

駒の存在感が増しているが、一色氏は「門脇さんは、どんな役者さんとでも芝居を合わせられる瞬発力と、だからといって自分のキャラクターから逸脱することのない安定感を持ち合わせた、本当にヒロインにふさわしい役者さんです。相手に投げかける思いの強弱や、キャラクターに求められている出で立ちを変幻自在にコントロールでき、人間的な清らかさや美しさを芝居で表現できる天才だと思います」と門脇の演技を絶賛。「将軍と懇意にするなどという本当に難しい立ち位置を、人間力というか、駒が持つ思いの清らかさとまっすぐさで楽々こなせてしまう、本当にすごい役者さんだといつも感心しております」と褒めちぎる。

第33回では、駒が作っている薬を転売していた少年・平吉(込江大牙)が駒のもとを訪れ、薬を売ってくれと懇願。母親が妹を比叡山の僧侶に売ってしまい、妹を連れ戻すためにお金がいるのだと説明した。だが、薬を売っているときに織田信長(染谷将太)による比叡山焼き討ちに巻き込まれ、殺されてしまう。

武将たちの目線だけではなく、庶民の目線も大切にしている本作。一色氏は「(脚本の)池端(俊策)さんは、要所要所で駒や東庵(堺正章)という市井の人の目を通してこの物語を伝えたいのだと思います。戦国武将の話に集中すると小難しかったり、政治的だったり……それに一般市民の目線を加えることによって、より感情移入ができて、光秀や戦国武将たちの心に何が起こっているのかをわかりやすく伝えることができていると思います」と解説し、「比叡山の焼き討ちを子供の思いからひも解いていくというアイデアは池端さん以外には書けないのではないかと思います。初めて台本を読んだときに『やられた!』と思いました」とそのアイデアを称賛した。

また、駒と義昭(滝藤賢一)のシーンについて、「ある意味、同志の話なので、ラブという方向に見えすぎないように気をつけています。今回は死んだトンボがメタファーとして使われていますが、その辺を芝居であざとく見せるというよりは、2人の心の動きを表現することに注力しました」と説明。「2人の距離感や思いの強さや流れをいつも意識して演出しています」と明かす。