「第33回東京国際映画祭」(TIFF)のクロージングセレモニーが9日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、女優・のんが主演を務めた映画『私をくいとめて』が観客賞を受賞。のんと大九明子監督が、セレモニー後に行われた会見に出席し、受賞の喜びを改めて語った。

のん

新型コロナウイルスの影響で、昨年まで実施していた「コンペティション」「アジアの未来」「日本映画スプラッシュ」の3部門を統合、「TOKYOプレミア2020」として展開し、全作品を対象に観客が投票する「観客賞」を設けた。

対象の32作品の中から観客賞に輝いた『私をくいとめて』。主演ののんは「観客賞といううれしい賞をいただいて喜びでいっぱいです。何年ぶりかの主演映画で大久監督に呼んでいただいてこの映画に参加することができて、心からうれしいです。映画は見ていただいた方がいて完成すると思っているので、たくさんの方に作品が届いたんだなと思って感謝の思いでいっぱいです。本当にうれしいです」と喜びをかみしめた。

受賞は、前日に行った配信ライブの直後にスタッフから告げられたという。「終わった直後にスタッフが『受賞しました!』と教えてくれました。うれしくて、うわーってなって、ライブのスタッフがみんな拍手してくれて、みんなでうれしい気持ちを共有しました」と笑顔で説明した。

女優業への思いを聞かれると、「私は女優のお仕事が大好きで、ここに一生いたいと思っている」と回答。「10代のとき、私は女優がなかったら何をやっていたんだろうと考えたときに何も思いつかなくて、妹に聞いたら『その辺でのたれ死んでいると思う』と言われ、『この道があってよかった。これは自分の生きる術だ』と。それまでも大好きで、ここで生きていきたいと思っていたんですけど、ここしかなかったんだと気持ちが固まりました」と女優として生きると決めた瞬間を明かした。

また、「主演映画は特別。たくさんシーンがあって、一番セリフがあって、ずっと演技をしていられるということ。それがもう至福、幸せだなと思います」と主演映画への思いを語り、「映画は本当にたくさんの人が集まり、私も役者としてその一員に加わって一つの画面を作り上げていく。一点集中でたくさんの人が同じところに向かっていく感覚がたまらない現場だと思います」と映画の面白さを話した。

さらに、「その中にいるのが楽しくて、主演だとずっといれるので、本当にたまらなく気持ちよくて、落ち込んだりするときもあるんですけど、これ絶対いいシーンだったよねって手ごたえがあると、こんなうれしいことはないっていうくらい幸せな気持ちになります。そこが私の中で映画が特別な部分かなと思います」と目を輝かせながら語った。