JR九州は28日、九州新幹線武雄温泉~長崎間の開業後に導入する車両と列車名を発表した。JR東海が営業投入しているN700Sを6両編成に短編成化し、車両デザインは水戸岡鋭治氏(ドーンデザイン研究所)が担当。列車名は「かもめ」に決定した。

  • 九州新幹線武雄温泉~長崎間に導入されるN700Sのエクステリアイメージ

九州新幹線(西九州ルート)武雄温泉~長崎間は2022年秋頃に開業予定。列車名の「かもめ」は、戦前の特急列車から引き継がれ、いまも使用される由緒ある名称。長崎行の特急列車としても、「サン・ロク・トオ」と呼ばれた1961(昭和36)年10月1日の全国白紙ダイヤ改正以来、約60年の歴史を持つという。現在は博多~長崎間を中心に運行される特急列車で活躍しており、「九州新幹線として、さらなる飛躍を遂げる『かもめ』にご期待ください」とJR九州は発表している。

開業後の九州新幹線武雄温泉~長崎間では、JR東海が今年7月から営業投入したN700S(16両編成)を短編成化し、6両編成の新型新幹線車両として導入。水戸岡鋭治氏が車両デザインを手がけた。外観は「新幹線」と「かもめ」から連想される白を基調に、文字やロゴに最上級車両をイメージしたゴールドを使用するとともに、JR九州のコーポレートカラーである赤を取り入れ、「九州から日本各地へ風を吹かせる」との思いを込めた。

インテリアイメージも公開され、指定席は横4列(2列+2列)、自由席は横5列(2列+3列)の配置に。すべての座席にモバイル用コンセントが設置される。バリアフリー基準に則り、車いすスペースと車いす対応トイレ、多目的室も用意するとのこと。

  • 指定席のインテリアイメージ

  • 自由席のインテリアイメージ

車内セキュリティ強化のため、客室入口とデッキ部、客室の天井に防犯カメラを設置。緊急時に乗客と乗務員が通話できる装置を客室内に設置し、異常時の即応体制を強化する。自然災害等により、長時間の停電が発生した場合でも、一部トイレを使用できる。N700Sはバッテリ自走システムを搭載しているため、長時間停電時でも自力走行が可能となる。ATC(自動列車制御装置)とブレーキシステムの改良により、地震発生時のブレーキ距離も短縮。安全性・安定性を向上させるとともに、異常時対応力の強化を図った。

N700Sでは、走行抵抗を低減した「デュアル スプリーム ウィング形」の先頭形状とし、次世代半導体であるSiC素子の駆動システムを採用するなど、消費電力を削減。パンタグラフやブレーキ装置の摩耗部品を長寿命化し、交換周期を延伸することにより、検修作業の省力化も実現している。