「仮面ライダー」シリーズのキーアイテム「変身ベルト」を大人ファンに向けて高いクオリティで再現する「COMPLETE SELECTION MODIFICATION(CSM)」最新作として、『仮面ライダー鎧武』(2013年)に登場する「戦極ドライバー」を商品化した「CSM戦極ドライバー」の詳細が発表され、反響を呼んでいる。

  • 左から佐野岳、小林豊 撮影:大塚素久(SYASYA)

『仮面ライダー鎧武』とは、2013(平成25)年10月6日から2014(平成26)年9月28日まで、テレビ朝日系で全47話が放送された連続テレビドラマである。巨大企業「ユグドラシルコーポレーション」が人々の生活を支える計画都市・沢芽市では、ビートライダーズと呼ばれるストリートダンスチームの勢力争いが勃発していた。元「チーム鎧武」のメンバーだった葛葉紘汰(※「葛」の正式表記はヒの葛)(演:佐野岳)は、異世界の「森」の中で不思議なベルト「戦極ドライバー」と錠前型アイテム「ロックシード」を拾ったことにより、アーマードライダー「鎧武」に変身するが、「チームバロン」のリーダー・駆紋戒斗もまたドライバーとロックシードを手にして「バロン」に変身。そして次々に新しいアーマードライダーが現れ、戦局は目まぐるしく変化していく。しかしこのとき紘汰は知らなかった。若者たちに戦極ドライバーを与えたユグドラシルの"真の目的"を……。

"若者たち"を中心にしたダンスチームのテリトリー争いから始まった物語は、やがてユグドラシル関連の"大人"の存在が明るみになってから不穏さを増していき、異世界「ヘルヘイムの森」の浸食による世界規模の脅威にまでスケールが拡大していく。数多いアーマードライダーそれぞれのキャラクターが深く描き出され、裏切りや策謀、共闘や決裂がうずまきながら怒涛のように進んでいくストーリー展開は、実にスリリングかつドラマチックであった。

ここからは、「CSM戦極ドライバー」発売を記念して、仮面ライダー鎧武/葛葉紘汰を演じた佐野岳、そして仮面ライダーバロン/駆紋戒斗を演じた小林豊の対談インタビューをお届けしよう。彼らにとって『仮面ライダー鎧武』という作品はどのような存在だったのだろうか。放送当時から現在までの7年間の出来事を振り返る、2人の仲の良さがうかがえる楽しいトークのもようをお楽しみいただきたい。

佐野岳(さの・がく) 1992年生まれ。愛知県出身。2011年に第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞。2012年の舞台『SAKURA』で俳優デビューを果たす。2013年には『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』で映画初主演、同年『仮面ライダー鎧武』でテレビドラマ初主演を務めた。TBS日曜劇場『下町ロケット』(2015年)『陸王』(2017年)、映画『リスタートはただいまのあとで』をはじめとするテレビドラマ、ネット配信ドラマ、映画、舞台など多方面で活躍中。
小林豊(こばやし・ゆたか) 1989年生まれ。滋賀県出身。辻製菓専門学校を卒業し、元パティシエの経歴を持っている。2009年に芸能界デビューし、2010年に「BOYS AND MEN」に加入し、東海地区を中心に活動して人気を高めた。2013年『仮面ライダー鎧武』で仮面ライダーバロン/駆紋戒斗役を演じたほか、スピンオフ作品の『仮面ライダー斬月/バロン』『仮面ライダーデューク/ナックル』(共に2015年)に出演。『バロン』では主役を務めている。

――『仮面ライダー鎧武』の撮影現場でお2人が初めてご一緒されたときの、お互いの印象はいかがでしたか?

小林:岳と出会った「最初の印象は」って、これまでにもよく聞かれてきたんですけど、最初に会ったときから今まで、岳の印象はずっと変わらないんです。初めて会った時点で、ずっと前からの仲間みたいな感じだった。僕としては、お互い「初めまして」って、挨拶を交わした記憶がないんです。最初から「ご飯行こうか?」みたいな感じで言い合っていました(笑)。

佐野:オレたち、いつごろから一緒にご飯いくようになったんだっけ? 

小林:ほんと、最初のころからだよ。

佐野:『鎧武』ではあまりにキャスト同士が仲良くなりすぎて、プロデューサーの武部直美さんや望月卓さんから注意されたこともあったよね。特に豊とは「紘汰と戒斗はライバル同士の役柄なんですから、役の上では気をつけてくださいね」と言われてた。 

小林:それだけ、みんなのチームワークが良かったってことなんだよな。

佐野:当時は気持ちの"切り替え"とかがうまくできない中で、キャストのみんなと仲良く接していたんですけど、いざカメラの前に立ったときはこうしないといけないとか「芝居をする」ってこういうことなんだ、ということを、田崎竜太監督(※「崎」の正式表記は立つ崎)と武部さんからいろいろと教わりましたね。

――テレビ放送が始まってから、街中で子どもたちやファンの方たちから声をかけられたことなんてありましたか。

佐野:それについては、今でも強烈に覚えているエピソードがあります。紘汰は最初のころ、アルバイトの面接に落ちてばっかりで、働いていない「ニート」状態だったでしょう。そんなころ、外を歩いていると小さな男の子が僕のことを見つけて「紘汰、仕事しろよ!」って声をかけてきた(笑)。

小林:すごい親しみやすさがあったんだね(笑)。

佐野:いきなり言われたんだけど、反射的に「おお、ありがとな! 頑張るよ!」って返しました(笑)。

小林:いいね! 最初のころの『鎧武』はダンスチームの対抗戦をやっていて、どこかまだ明るいムードがあったし、男の子も紘汰を見つけて気軽に声がかけやすかったんだろうな。

佐野:だんだんシリアス度が増してきて、後半からは紘汰が苦悩するシーンが多くなりました。とても振り幅の大きなキャラクターになったと思います。

小林:戒斗は、最初から子どもにも大人にも分け隔てなく厳しかったから、外を歩いていても怖がられてばかりだったなあ(笑)。よくお母さんが見つけてくださって、子どもさんに「ほら、戒斗だよ」なんてうながしても、ぜんぜん寄ってこないんだ。

佐野:小さな子から見たら、やっぱり戒斗は怖いよね(笑)。