ナレッジマネジメントとは
ナレッジマネジメントとは、個人がもつ知識・ノウハウなどの知的資産を全社員で共有することで、組織としてのスキルの底上げする仕組みや手法のことです。
多くの企業がナレッジマネジメント導入の必要性を感じ、導入しようとしますが、導入にはさまざまな障壁が生じるケースが多いといわれます。
本稿では、ナレッジマネジメントの対象となるナレッジの種類・方法・導入によるメリット、失敗しないために知っておきたい導入時の注意点などをご紹介するので、導入検討の参考にしてみてはいかがでしょうか。
ナレッジマネジメントの知識タイプ
企業などの組織には、形式知と暗黙知という2つの種類の知識が社員個人に蓄積されているといわれ、ナレッジマネジメントでは、形式知・暗黙知の両方を対象とします。
とくに、言葉で伝えられない暗黙知は共有がむずかしいのですが、形式知に変換することで、個人に蓄積された貴重なノウハウを組織全体で共有できるようになります。ナレッジマネジメント導入の際は、目に見えない暗黙知にも焦点を当てることが重要でしょう。
暗黙知
暗黙知は社員個人が経験したことから身につけた知識で、主観的であることが多く、言語化しにくい知識のことです。
かつての日本企業の多くは年功序列型で、ベテラン社員の暗黙知が次世代に受け継がれていく風土がありました。
暗黙知はそれを有しているベテラン社員にとっては当たり前のことであるため、その価値に気付いていないことが多いです。現在では暗黙知が受けつがれないまま、退職とともに失われているのが課題です。
形式知
形式知は社員個人が経験したことから身につけた知識を、客観的な視点で文章や図解で言語化したものです。
たとえば、営業成績の高い社員の、顧客タイプ別の営業アプローチ手法などをマニュアル化して、全社的に展開します。新人であってもベテラン社員と同様の知識を得ることで、早い段階から戦力として活躍できます。
有益な営業ノウハウをほかの社員に共有し、実践することで、組織の営業力が底上げし、業績アップが期待できます。
ナレッジマネジメントの方法
会社などの組織には、さまざまな種類のナレッジがあるため、ナレッジマネジメント導入の際は、「どのような知識をどのように活用したらよいかわからない」という企業が多いです。
ナレッジマネジメントには、4種類のタイプのマネジメント手法があります。組織の課題に応じたナレッジマネジメント手法を取り入れることで、スムーズに導入し、成果にもつながりやすくなるでしょう。
ここからは、その4種類の手法をご紹介します。
顧客知識共有型
顧客からのクレームや対応履歴データベース化することで、顧客への最適な業務プロセスを構築する手法です。
たとえば、過去に発生したトラブル事例を共有しておけば、次に発生したときに迅速な対応を行えるようになり、コールセンターでは最適な対応をオペレーター間で共有できるようになります。
また、部署間でデータベースを共有することで、部署による顧客対応の差がなくなり、顧客満足度向上につながります。
経営資本戦略策定型
経営資本戦略策定型は、社内組織のあちこちに蓄積している知識資産を分析し、経営戦略策定に役立てる手法です。
DWH(データウェアハウス)やデータマイニングツールなどのツールを使って、自社だけでなく競合他社についても多角的に分析し、分析結果にもとづき戦略的な判断を下すことが目的です。
専門知識型
専門知識型は、組織内外の専門知識をデータベース化し、組織内で質問される頻度の高い項目をFAQにし、知りたい情報を簡単・迅速に入手できるようにする手法です。
たとえば、情報システム部などの社内外から問い合わせが多い部署では、よくある問い合わせをFAQとして公開することで、問い合わせ軽減につながり、より生産性の高い業務に社員の稼働を向けられます。
ベストプラクティス共有型
ベストプラクティス共有型は、組織の中でも特にパフォーマンスの高い社員の行動パターン・思考パターンを形式知化し、共有することで、組織全体のスキル底上げする手法です。
たとえば、優秀な営業社員のセールス手法を分析し、形式知化することで、ほかの営業社員の営業力を向上できます。新人であってもハイパフォーマーのノウハウを活かすことで、早期に戦力化することが期待できるでしょう。