「ウルトラマンシリーズ」で活躍した人気ウルトラ怪獣たちが、なんとも愛らしい「こどもかいじゅう」となって、それぞれの小さな「はじめのいっぽ」を踏み出す楽しいアニメ番組『かいじゅうステップワンダバダ』(製作:円谷プロダクション・NHKエンタープライズ、放送:NHK Eテレ)の第2シリーズが、9月25日より放送される。第1シリーズでおなじみのレギュラーかいじゅうに加えて、何体かの新キャラクターも登場し、今まで以上にユニークな物語が繰り広げられるという。

  • 爆笑問題の田中裕二 撮影:蔦野裕

第2シリーズに登場する新キャラクターの中で、ものしり博士として他のかいじゅうたちにいろいろなことを教えるのが好きな「ジャミちゃん」の声を演じるのは、時事ネタを得意とする人気お笑いコンビ「爆笑問題」の田中裕二さん。子どものころからウルトラマンシリーズが大好きな田中さんは、毎年夏に開催されるイベント「ウルトラマンフェスティバル」では2018年、2019年と2年連続で「公式サポーター」を相方の太田光さんと共に務めた実績を持っている。声優としても活躍し、映画『モンスターズインク』シリーズではメインキャラクターの声を演じている田中さんが、モンスターから「かいじゅう」の声に挑戦するとのことで、『かいじゅうステップワンダバダ』第2シリーズに大きな注目が集まっている。

マイナビニュースでは、『かいじゅうステップワンダバダ』第2シリーズ制作を記念し、田中さんにインタビューを行った。※インタビューは2020年8月8日に行ったものです。

本放送(1966年)開始から50年以上もの年月を経てなお、子どもから大人まで幅広い世代に人気の高い「ウルトラ怪獣」の魅力とは何か、そして自らが今回の作品で声を演じる「ジャミちゃん」の印象など、ウルトラ怪獣愛・ウルトラマン愛の詰まったトークが繰り広げられた。

――今回、田中さんが声を演じられた「ジャミちゃん」は、『ウルトラマン』(1966年)の第23話「故郷は地球」に登場した棲星怪獣「ジャミラ」がベースとなったキャラクターなんですね。田中さんとしては、ジャミちゃんの声を演じてほしいと依頼があったとき、まずどんな思いを抱かれましたか?

ジャミラか……と複雑な気分でした(笑)。もちろん『ウルトラマン』に出てきた中でも好きな怪獣のひとつですけれど、僕とはキャラが違うんじゃないかな~と思って、けっこう意外でしたね。僕のキャラとマッチしているのは、ガラモンとかピグモンとか、ガヴァドンあたりかな。サイゴなんかもいいんじゃないかって思いました(笑)。

――ものしりで、いろいろな知識を他のかいじゅうたちに説明して聞かせるジャミちゃんのキャラクターについては、どんな印象を持たれましたか。

ペラペラと早口でしゃべって、一見"おりこう"そうなキャラクターなんですね。ちょっとまわりのかいじゅうたちを"下"に見ているようなプライドの高さがあったりして。でも、この設定を読んだときけっこう納得したんですよ。もともとジャミラって、宇宙飛行士でしたからね。トラブルで水のない惑星に降り、過酷な環境下で生きていくうちに怪獣になってしまったわけで。怪獣の中でもダントツで頭がいいはずなんです。対してレッドキングなんて、怪獣図鑑にハッキリ「脳が小さい」とか「頭が悪い」とか書かれていましたからね(笑)。

――ジャミちゃんのデザインについてはどんな感想をお持ちでしょう。

『かいじゅうステップワンダバダ』の全体イメージに合致して、かわいいキャラクターになっていますね。もとのジャミラを含めたウルトラ怪獣は"怖さ"を含めてカッコいい部分があり、それは当然なんですけれど、かわいくデフォルメされたジャミラもいいんじゃないかと思いました。

――このジャミちゃんに声を入れる際、どんなイメージで行こうという構想があったりしましたか。

いやあ、ジャミラの声でしゃべってくれと言われても、見当もつきません。もともとジャミラは唸り声をあげるだけで、言葉をしゃべりませんからね(笑)。じゃあエレキングで、とかゴモラで、と言われても困っちゃいます。なので監督と一緒に「ここはこんな風にしゃべりましょう」とか、相談しながら声を作っていった感じです。

――語尾に「○○ジャミ~」と、口癖があるのが愛嬌満点でいいですね。

ああいうのも、監督と話し合いながら決まっていったものです。最初は低めの声を出してみて、それじゃあもうちょっと高めで、とか調整してあのジャミちゃんの声が出来ていきました。かわいく、愛嬌込めて、みたいな指示はなかったのですが、周りのかいじゅうたちもかわいいですから、彼らの中に入って言葉を話すわけで、雰囲気にひっぱられてどんどん愛嬌が入ってくるようになりました。

――アニメのキャラクターに声をアテることの難しさは?

声の仕事はこれまでにも何度かやらせてもらいましたが、毎回やるたびに「これでいいのかな……」と考えてしまって、どちらかというと"苦手"意識があります。だからべつだん、今回が特に大変だった……みたいなことではなかったですね。以前、海外の実写映画で2mくらい身長のある大男に僕が声をアテる仕事があったんですけれど、僕とは真逆のキャラクターなもので、そのときはずいぶん戸惑いながら声を収録しました(笑)。

アニメをやるときにいつも"難しい"と思うのは、キャラクターの口の動きに自分の声を合わせること。ある程度は頑張りますけど、どうしても合わないときはスタッフさんに後をお任せします。口の動きを合わせながら、台本に書いてあるセリフを間違えずにしゃべり、なおかつ芝居を乗っけなければいけない。3つくらいの作業を同時にやるわけですから、声優というのがいかに難しい仕事なのか、やるたびに痛感します。いくらやってもぜんぜん慣れないです。

――相方の太田光さんもウルトラマンやウルトラ怪獣のファンだとうかがっていますが、今回の田中さんのお仕事について、何かコメントがあったりしましたか?

太田は声の仕事も大好きなので、僕だけがこういった声の仕事をすると悔しがって文句を言ってくるんです。なので僕からは何も話していません。向こうが知っているかどうかはわからないですけど、まあ知ってるんでしょうね。奥さん(太田光代さん)が事務所の社長だし(笑)。太田が何かコメントするとしたら、僕を起用したキャスティング担当について「なんてセンスのない奴だ」と文句を言うかもしれません(笑)。円谷プロさん、もし次があったら太田にも何か役をあげてください。ギャンゴの役とかならピッタリですよね(笑)。

――田中さんのお子さんもウルトラマンやウルトラ怪獣がお好きなのでしょうか。

僕には子どもが3人いて、いちばん上の長女は中学生なのでもうウルトラマンは観てないのですが、真ん中の長男がウルトラマン大好きなんです。いま小学4年生で、以前から僕がウルトラマンや怪獣のソフビ人形を与えて、ウルフェス(ウルトラマンフェスティバル)にも毎年行って、親子でウルトラマンを楽しんでいます。その下の次女がいま3歳で、お兄ちゃんといっしょにテレビを観ているうちに、『ウルトラマン』や『ウルトラマンタロウ』の主題歌をふつうに歌えるようになりました。長男に言わせると、いろんな怪獣がいるけどやっぱり最初の『ウルトラマン』に出てきた怪獣たちが特にカッコいいそうです。

――ウルトラ怪獣のソフビ人形は、本放送当時から現在までいろいろな種類が発売されてきましたが、常に人気の上位に来るのは『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』、そして『ウルトラQ』といった初期シリーズの怪獣なんだそうですね。

昔のウルトラ怪獣は、迫力があって凄いですよね。フィルムで撮影されているので"実在"感があるんです。僕も子どものころ、怪獣のソフビ人形をたくさん持っていました。今も残していたら、プレミアがついてすごく高額になっていたんでしょうね。マルサンから発売されたナメゴンのソフビなんて、少し前に「何十万円」もの値がついたと聞いてびっくりしましたから。ナメゴンは目のところが外れやすいので、現存率が低くて、それで完品の価格が上がるんだそうです。

昔のウルトラ怪獣ソフビでは、キーラが好きだったなあ。当時から手に入らなくて、すごく欲しかったのはドラコ。あと、ギャンゴの人形でよく遊んでいたのを思い出します。昔のソフビ人形は、テレビで見る"本物"よりも丸みを持たせて、人形っぽい愛らしさがありました。いま売っているウルトラ怪獣(バンダイ)のソフビ人形はすごくリアルでカッコよくて、これはこれで欲しくなっちゃうんです(笑)。