フィールド・クラウドソーシング事業を展開するソフトブレーン・フィールドは、全国のアンケートモニターから独自に収集する「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy」から、コロナ禍での生活者の意識や行動の変化を分析している。

第1回目は「コロナ禍における買い物行動(2020年8月)」を配信し、第2回目は「外食サービスの利用」となる。分析結果からは、感染拡大に伴い在宅勤務の広がりや外出自粛や営業時間の短縮により、外食利用回数が減少する中、消費者の外食の利用シーンや意識の変化、感染拡大後に外食サービスの利用が増えたと感じる人の意見から、どのような施策がコロナ禍における外食売上回復のポイントとなるか読み解いている。

  • 新型コロナウイルス感染拡大後は、外食離れの傾向が強まっている

まずは、新型コロナ感染拡大前(2020年2月頃まで)と後(2020年3月頃〜現在)における、外食利用回数の変化(店内飲食・テイクアウト・ドライブスルーを含み、デリバリーは含まず)を調査した。

外食利用回数の変化をみると、感染拡大前は、「月に2〜3回程度」(33.8%)と回答した割合がもっとも多かったのに対し、感染拡大後は「月に1回以下」(52.4%)と回答した割合が半数を超え、最多となった。

また、「週に1回以上外食をしていた」人の割合は、34.6%から21.7%に減少していたことから、外食離れの傾向が強まっていることがわかる。

次に、感染拡大前と後において、外食の利用で変化したと感じることを調査した。外食の利用で変化したと感じることを選択肢で尋ねると、2人に1人(53.2%)が前出の「利用回数の変化」と回答し最多となった。

  • 外食の利用で変化したと感じること、過半数が「利用回数の変化」と回答

その理由からは「週末は夫婦でショッピングモール等に買い物に出たついでに夕飯をレストランやフードコートで済ませて帰ることが多かったが、外出もしなくなったので行かなくなった」(40代女性)、「特に行かなくなったのは、夜の居酒屋チェーン。ほとんど行っていない」(60代男性)といった内容の、様々なジャンルの外食チェーンにおいて店内利用回数の減少を挙げる声が多く見られた。

他にも、「利用するチェーン(店舗)の変化」(17.1%)、「利用時間帯の変化」(14.5%)が続き、その理由には「以前は仕事の打ち合わせでドトールなど使っていたが、在宅ワーク中心となり行かなくなった」(50代男性)や、「在宅勤務中のランチに、ケンタッキーやバーガーキングなどのファーストフードでテイクアウトすることが多くなった」(40代男性)といった、在宅勤務の浸透や、「ランチよりも夕食にテイクアウトをよく利用するようになった」(30代女性)、自炊疲れから解放され、自宅で家族団らんを楽しむ食事としての利用などが挙げられた。

外食の利用シーンを選択肢で尋ねると、感染拡大前は、「朝食」「昼食」「夕食」「おやつ・休憩」の目的において店内飲食の割合がテイクアウトを上回っていたが、感染拡大後は「朝食」を除き、テイクアウトの割合が増えていることがわかる。

  • 外食の利用シーン、感染拡大後は「朝食」を除き、テイクアウトが増加

テイクアウトの割合は「昼食」(32.8%→46.1%)と「夕食」(23.3%→36.5%)では、ともに増加した一方で、店内飲食の割合は、「昼食」(64.6%→39.1%)、「夕食」(52.6%→28.1%)となり、特に感染拡大後の夕食の店内飲食の割合においては、およそ半数の減少となった。

また、「朝食」(10.8%→5.1%)の店内利用の割合は半減したにも関わらず、昼食や夕食のようにテイクアウト利用の割合は増加せずにほぼ横ばいとなり(5.2%→4.7%)、「出社前に会社近くのマクドナルドでコーヒー購入が日課であったが、今はテレワークとなり朝の利用が減った」(30代男性)、「以前は会社の近くにある吉野家やガストで朝食をとっていたが、今はテレワークとなり朝の利用が減った」(50代男性)といった、従来は出勤前の朝の時間帯に利用していたのが在宅勤務が広がったことで利用そのものが減少している傾向が表れていることがわかる。

今までの調査結果から、主に利用シーンにおいては「昼食・夕食」の時間帯の、店内飲食からテイクアウトにシフトしつつあることが傾向として表れている。

現在においても収束の目途が立たず、外食産業は厳しい状況が続いている最中だが、今回の調査対象のうち、新型コロナ感染拡大前と比較して「外食サービスの利用が増えた」(N=357名)と感じている人が一定数いた。

同調査ではこのほか、利用が増えたといった内容のコメントがみられた外食チェーン5社「すき家(ゼンショーホールディングス)」「ケンタッキーフライドチキン(日本KFCホールディングス)」「丸亀正麺(トリドールホールディングス)」「スシロー(あきんどスシロー)」「サイゼリヤ(サイゼリヤ)」をセレクトし(レシート枚数順に記載)、全国のアンケートモニターから独自に収集する「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy」から、外食全体のレシートからそれらチェーンを利用のレシート出現率をみて、各社が実施したコロナ禍における売上回復の施策を利用者のコメントから探っている。(調査期間:2020年2月〜6月、外食チェーン利用のレシート合計12万694枚)

  • コロナ禍にあって、「ケンタッキーフライドチキン」は利用者が倍増

中でも「ケンタッキーフライドチキン」は、2月から5月における出現率はおよそ3%台であったのに対し、6月はレシート枚数が754枚→1,596枚に上昇し、それにより出現率が6%に増加していた。緊急事態宣言明けの6月は、外食全体のレシート枚数自体が増加傾向となった中でも大きく健闘していたと言える。

その理由として、「ケンタッキーのテイクアウトのシステムがしっかりしている」(30代男性)、「マクドナルドとケンタッキーのドライブスルーは接触が最小限なので利用が増えた」(40代女性)といった、ドライブスルーを含めたテイクアウトのオペレーションを挙げる声や、先のコメントにあったように、在宅勤務中のランチ需要の拡大においても好調な理由の一つであると考えられる。