ハイパフォーマーとは生産性の高い人材という意味です。業務に必要なスキルや経験を豊富に持っており、それらのノウハウを駆使して、優れたパフォーマンスができる人材です。
本記事ではハイパフォーマーの特徴や性格、そしてハイパフォーマーの割合にまつわる法則を紹介します。
ハイパフォーマーの特徴とは
ハイパフォーマーには優れた特徴がたくさんあります。その一つひとつを正しく理解して、ハイパフォーマーを目指しましょう。
行動力がある
ハイパフォーマーが高い実績を残せるのは、業務に対する対応が早いからです。仕事のために動き出すのが誰よりも早いため、クレームやミスの対応にも迅速に対処します。失敗からの立て直しも早いため、ミスさえも良い結果を残すための糧としてどんどん吸収していきます。
コミュニケーション能力が高い
ハイパフォーマーは、チームや仲間と協力し合って物事を進められるため、高い成果を上げやすい人材です。1人では無理な仕事も大勢の協力があればスピーディーに成し遂げられます。コミュニケーション能力が高いハイパフォーマーは、人間関係を作り上げるのが上手です。仲間を集めてチームワークを形成し、難しい業務も短時間でこなしていきます。
素早くフィードバックする
ハイパフォーマーは、レスポンスも速く、指示を待っているだけでなく、言われたらすぐに行動して、それ以上のパフォーマンスを返します。スピード感はビジネスを行ううえで非常に大切なスキルと言えるでしょう。また、フィードバックの内容も、相手が満足する結果を返すでしょう。
自分の意志を持っている
ハイパフォーマーは仕事を進めていく中で、自分の意見をしっかり発言できる強い意志力があります。「このプランを絶対に成し遂げる」「成功させる」という強い想いが周りの人間を動かし、困難を乗り越えさせます。ハイパフォーマーがはっきりとしたビジョンを打ち出し、チーム一丸となって高い成果を上げていきます。
ハイパフォーマーの性格とは
続いて、ハイパフォーマーの方によく見られる性格面についてまとめてみました。
ポジティブシンキングである
ハイパフォーマーは楽しく仕事をしている人が多いです。仲間を大切にして、チーム全体を底上げしようと周囲の人々に親切に対応しています。仕事を楽しんでいるため、失敗やミスにくじけることも少なく、他人も自分も責めずに、常に前向きに取り組んでいます。
高い目標を持っている
ハイパフォーマーは、高い目標を早い段階で達成する特徴を持っています。常に自分を鼓舞しながら、より高い業績へ向かって邁進しています。そのために、通常よりも高い目標を掲げてそれを実践していきます。
また、目標達成が早いハイパフォーマーはその分、仲間や部下のフォローや失敗に対する対処をしてチーム全体の底上げをしながら、周囲の人間に対する配慮も怠らないようにしています。
結果にこだわる
ハイパフォーマーは常に成果のみに着目しており、過程よりも結果にこだわります。ハイパフォーマーになりたいと考えているのであれば、ビジネスに対する努力や姿勢に目を向けるのではなく、結果を出す工夫をするべきでしょう。
ハイパフォーマーとローパフォーマーの割合
生産性が高いハイパフォーマーがいる一方、組織に対してあまり利益をもたらすことができないローパフォーマーもいます。ローパフォーマーは自身の販売実績などの業績が平均的な社員よりも著しく低く、他の社員へ悪影響をおよぼす可能性があります。
周囲で働くメンバーにとって決してありがたくないローパフォーマーですが、実は多くの組織に存在します。組織の規模にもよりますが、ハイパフォーマーとローパフォーマーは同じ職場に混在して働いていることが一般的なのです。 以下にビジネスシーンでよく活用される、ハイパフォーマーとローパフォーマーの割合にまつわる法則をまとめました。
2-6-2の法則
「働きアリの法則」「働きバチの法則」と呼ばれることもある「2-6-2の法則」とは、プロジェクトチームや部署などの何らかの組織が構成されたとき、「2割の優れた人/6割の普通な人/2割の劣った人」という割合で自然とメンバーが構築されるということを意味しています。ここで言う「2割の優れた人」がハイパフォーマー、「2割の劣った人」がローパフォーマーとなります。
「組織としての業績を上げる」とのミッションが掲げられた際、優秀なハイパフォーマーにさらなる数字をたたき出してもらうのか、生産性の低いローパフォーマーに飛躍のきっかけを与えるのか。それとも、6割の平均的な人たちに今以上に負荷をかけるのか……。どの選択をするかは、マネジメントをする人の性格や手腕が大きく関わってくることでしょう。
80:20の法則
「80:20の法則」は経済学者、ヴィルフレド・パレート氏が提唱したことから「パレートの法則」とも呼ばれています。これは「数値全体の大半は、全体を構成する一部の要素が生み出している」ことを端的に説明しているものです。ビジネスシーンにおいては、以下が具体例としてよく挙げられています。
(1)売上の8割は、全商品のうちの2割で生み出している
(2)売上の8割は、全従業員のうちの2割の優秀な社員で生み出している
(3)売上の8割は、全顧客の上位2割で生み出している
(2)の例で言えば、売上の8割をあげている「2割の優秀な社員」がハイパフォーマーに該当します。この法則に基づくと、100人いる部署の部署の売上が1億円だったと仮定したとき、20人で8,000万円を売り上げている計算になります。この選ばれし20人がいかに優れているかがわかるでしょう。
80:20の法則は本来、経済学のフィールドで用いられていましたが、現在は売上管理やマーケティングなどにも応用・適用できると考えられています。
ハイパフォーマーを社内に抱えるメリット
生産性に優れるハイパフォーマーが社内にいれば、組織は多くのメリットを享受できます。具体的にどのようなメリットが得られるかをみていきましょう。
会社の業績の向上
企業活動の目的は、企業業績の向上にあります。成果を上げているハイパフォーマー人材が最大限の力を発揮できる労働環境に整備をすることが、効率よく業績を向上させる方法として期待できます。その際、複数の分野にハイパフォーマーがいたほうが業績は上がりやすくなるでしょう。
他の社員のモチベーション向上
ハイパフォーマーの仕事ぶりは、周囲の社員に好影響をもたらします。成果を上げている社員の仕事を目の当たりにすれば、「あのようなことをすると成約に結びつきやすいのかな」などの発見が得られやすくなります。その結果、ハイパフォーマー以外の社員のモチベーションが向上し、意識や行動習慣の変容が期待できます。
上述の80:20の法則で言えば、2割のハイパフォーマーの意識や行動を分析して組織のルールや仕組みとして活用していけば、残りの8割のレベルアップ、ひいては組織力の底上げにつながっていくでしょう。
ハイパフォーマーを育成するために重要なポイント
自分が所属する組織やチームにハイパフォーマーを欲したところで、そう都合よく出現はしてくれません。ハイパフォーマーを育成するためには、どのようなポイントに注意していけばいいのかを紹介します。
信頼して任せてくれる上司
ハイパフォーマーを育成するためには、上司が部下を信頼する必要があります。
失敗を乗り越えて人は成長していきます。上司は、部下に仕事を任せて育成を行いましょう。上司が作業した方が早く完璧に終わる仕事でも、部下に任せて成長を見守りましょう。それが部下自身のスキルアップにもつながります。
明確な期限を設けて優先順位や失敗を共有・フォローしながら、中間報告を受けつけて指導していきましょう。
チームのポジティブな雰囲気
失敗しても今だけを見つめて、「必ず問題を解決できる」という強い気持ちが保てる雰囲気作りが重要です。
ハイパフォーマーの特徴にポジティブな点があげられます。それは、チーム全体でも言えることで、ビジネスに常につきまとう挫折や失敗、敗北や低迷、ミスや困難にいつまでもこだわらずに、「今、自分に何ができるか」を粘り強く追及できる環境が必要でしょう。
ハイパフォーマーを社内に定着させる方法
ハイパフォーマーは数多くのメリットをもたらしてくれる存在だけに、そういった人材に社内で長く勤めてもらうことが組織として重要となってきます。ここではハイパフォーマーが退職をしてしまう理由や、それを未然に防ぐ方法をご紹介します。
ハイパフォーマーが退職する原因
ハイパフォーマーが会社を去っていく主な理由として、以下が考えられます。
(1)適正な評価を受けられていない
(2)上司が無能で尊敬できない
(3)業務量が多すぎる
(4)十分な裁量が与えられていない
(1)に関して言えば、いくら優秀な業績を残したとしても、それが昇進や昇給、賞与に反映されなければ本人のやる気が低下しかねません。もちろん、仕事の内容そのものを楽しんでやっているハイパフォーマーもいるでしょうが、金銭面での評価をモチベーションとしているハイパフォーマーならば、「もっと自分を評価してくれる会社に行こう」などと転職を視野に入れることが考えられます。
(2)に関して言えば、ハイパフォーマー以外の人にも退職の要因となりうるでしょう。ただ、仕事ができるハイパフォーマーだからこそ、余計に上司の指示内容や判断力、度量の大きさなどが他の人以上に気になってしまうのかもしれません。
(3)は、業務スピードに優れ、そのクオリティーも高いハイパフォーマーに起こりやすいシチュエーションと言えます。「●●さんは仕事も素早く丁寧だから、このタスクもお願いします」などの依頼が積み重なっていけば、いくらハイパフォーマーと言えども業務過多に陥りかねません。それでワークライフバランスが崩れてしまえば、職場を変えるという選択肢も当然出てくるでしょう。
一定レベル以上の決裁権を持っていないハイパフォーマーにとっては、(4)も退職の動機づけになりえます。業務の効率化・スピード化が確実に見込める提案をしても、上司が首を縦に振らなければそのアイディアは実現しません。自分のやりたいことができないジレンマに悩んだ揚げ句、よりよい職場へと移ることを選ぶこともあるでしょう。
ハイパフォーマーの退職を防ぐ方法
ハイパフォーマーの離職を防ぐには、事前に本人のやる気低下を察知し、こまめにケアをすることが重要です。
職場で定期的にアンケートを実施し、本人の今のやる気や悩みなどを把握したり、業務量とパフォーマンスの関係性の変化をチェックしたりするなどして、早い段階で離職リスクの芽を摘めればハイパフォーマーの退職を防げるでしょう。
ハイパフォーマーが活躍・定着する組織づくりを目指そう
これまで、ハイパフォーマーの特徴や、育成のポイントについてご紹介してきました。ハイパフォーマーの特徴をつかめば、彼(女)らから学びながら、業績を向上させるビジネスパーソンへと変化できます。また、そのような人材を輩出できるような職場の雰囲気づくりも重要になってきます。
自身のスキルと人間性を向上させ、業績を伸ばし社会に貢献できるハイパフォーマーを目指しましょう。