あす22日にスタートするカンテレ・フジテレビ系『DIVER-特殊潜入班-』(毎週火曜21:00~)で主演を務める俳優の福士蒼汰。10代の頃は窃盗や暴力事件の常習犯だったが、警察も手を焼くほどの巧妙な手口を考え出す異常に高いIQ、判断力、身体能力が認められ、秘密裏に結成された「潜入捜査官チーム」(通称・D班)の一員になる主人公・黒沢兵悟を演じる。

この“ダークヒーロー”の役に挑んだことで、単純に線引きできない“善と悪”について、ある考え方にたどり着いたという――。

  • 『DIVER-特殊潜入班-』に主演する福士蒼汰 撮影:蔦野裕

    『DIVER-特殊潜入班-』に主演する福士蒼汰 撮影:蔦野裕

■いつも以上に役作りを議論

今回の役柄を「内面には闇を抱えていて、かなりダークな人物です。極悪非道なんですが、悪だけではなくて、兵悟が信じている正義がある。その正義は人と違っていて、本当の正義とは何だろう、と思わせる人物です」と紹介する福士。

普段から、監督やプロデューサーと役作りについて議論することがあるそうだが、「いつもは最終回に向けて話すことが多いんですけど、今回は1話から色々とご相談させていただきました」という。それは、初めての挑戦となるこの“ダークヒーロー”を演じるからだ。

“悪”の部分は、アイデアが次々に浮かぶのだそう。その理由は「一般的に正義とか常識的だと言われる人は、“こうあるべき”と決められた狭い範囲の中にいて、そこから一歩でも外に出ると『なんだあいつは?』と非常識だと言われてしまうんだと思います。だから、悪い人になるっていうのは、結構簡単なことだというイメージが自分の中にあるんです」とのこと。

具体的には「人々が笑うところで笑わない、人々が真剣なときに笑う、人々が泣くときに無表情、パニックなところで冷静でいるとか、そういうことするだけで変だと言われてしまう。“こうあるべき”がないから、お芝居をする上ではアイデアが広がりやすいんです」と教えてくれた。

一方で、「ダークヒーローという役柄ですが、その意識は兵悟本人にはないですし、兵悟の言動が善なのか、悪なのかというのは、見ている人それぞれに感じてほしいなと思っています。兵悟について、『結果的に良いことをしたかもしれないけど、途中の経過が悪だから、それはやってはいけない』と思う人もいるかもしれないし、『多くの人が救われているのだから、過程は問題ではない』と思う人もいるだろうし、その考え方は人それぞれでいいのかなと思います」と見解を語る。

  • (C)カンテレ

■素の自分は悪に振りきることができない

それを踏まえ、“善と悪”ということについての考え方を聞いてみると、「セリフにも『善と悪は表裏一体』という言葉があるのですが、善と悪の線引きは時代や場所によって変わってくると思いますし、フェイス・トゥ・フェイスなのか、ネット上のことなのか、そういった状況によっても違うと思います。世の中には二元論で語れないことがたくさんありますが、善と悪もそうだと僕は思います」と回答。

ただ、「その中で、個人1人1人が強くあることが大切だと思います。たくさんの悪が目の前に現れても、自分が強くあることでそれを跳ね返すことができると僕は思います」と持論を披露。その考え方は「今回のドラマに関わったことによって感じることができました」と言いつつ、「この考えもまた、時代によって、僕自身の成長によっても変わるだろうけど、それはそれでいいのかなと思います」と、柔軟に対応していく姿勢を示した。

ちなみに、素の自分から今回演じる兵悟を見て、「そこまで悪になれないなあと思います。どこかで正義感が働いて、『こっちのほうがいいんじゃないか』とか『こうあるべきだ』という考えが浮かんでしまうので、悪に振りきることはできないですね。なので、今回は兵悟として、普段なかなかなれない悪を体感してみようと思います」と笑顔を見せた。