俳優のウエンツ瑛士が主演を務める舞台『わたしの耳』が9日に東京・新国立劇場小劇場で初日を迎えた。

  • 左からウエンツ瑛士、趣里

    左からウエンツ瑛士、趣里

同作は『エクウス』『アマデウス』の作者としても有名な英国の劇作家ピーター・シェーファーによる男女3人芝居。内気な青年ボブ(ウエンツ瑛士)の至福の時間は、狭くみすぼらしい屋根裏部屋には似つかわしくないオーディオセットでクラシックレコードを聴くこと。ある日、クラシックコンサートで隣に座った女性ドリーン(趣里)に一目ぼれし、勇気を出して自宅のディナーに招待するまで漕ぎつける。まさに一世一代の大勝負なのだが、女性に不慣れなボブは、明るく経験豊富な会社の先輩テッド(岩崎う大)に助けを求め、助っ人として料理とホスト役を担当してもらうことに。屋根裏のアパートの一室で、男女3人に起きる一夜の出来事とは?

新型コロナウイルス感染拡大予防対策を講じ、シス・カンパニー公演がいよいよ再開となった。キャスト・スタッフ全員、感染予防対策も万全に稽古に励んだ同作は、22日に開幕する『あなたの目』(出演:小林聡美、八嶋智人、野間口徹)と対を成す作品。1年半に及ぶ英国演劇留学から帰国後第1弾の舞台出演に挑むウエンツ瑛士、多くの舞台や映像作品でその実力を高く評価されている趣里、お笑いコンビ「かもめんたる」メンバーであり、「劇団かもめんたる」で演劇活動も展開している岩崎う大が登場する。ロンドンのある屋根裏部屋を舞台に、男女3人を過ごすある夜の出来事を、マギー上演台本・演出で描いた。前売完売の人気公演だが、12日の2公演はライブ配信も実施する。

上演台本・演出:マギー コメント

登場人物それぞれがまっすぐで滑稽なほど不器用で愛おしくほろ苦い。3人の若者のチャーミングな魅力が劇中どこを切っても溢れています。半世紀前に英国で書かれた戯曲は、今の時代の誰もが共感できる人と人の心の距離感を描いています。そして今回、さらに物理的な距離感にも気を配り演出しました。ソーシャルディスタンスと演劇表現のひとつの解答としても、どや!と全世界に問いたい。そんぐらいの鼻息です。

ウエンツ瑛士 コメント

どんな時代でも期待値なしにありのままの相手を見つめる事は大変難しい。予期せぬ相手の言動を目の当たりにした時、それを単なる「失望」と受け取るのか。それとも自分が見誤ったのか。人生を振り返ってみるとゾクゾクする事ばかりが思い出されますが、それでもなお「青い」っていいなーと思います。いやいや、私も未だに青いな。

趣里 コメント

男性陣の普段の会話がとても楽しくて居心地がいい稽古場でした。それに刺激的な現場です。この戯曲は生の感覚が大切な会話劇。そのリアクションが嘘にならないよう心がけているので、皆さんが作る空気感は本当に有難いんです。人間の感情や距離感の取り方、男性二人の間に入る20代の女の子の感情の動きなど、最後まで目が離せない舞台です!素敵な時間をご一緒しましょう!

岩崎う大 コメント

1960年代のロンドンで暮らす25歳のテッドを、中野区在住41歳の僕がどれだけ演じきれるか?これが今回の個人的テーマでした。人としてよくわからない所の多いテッドで、僕が彼と会話したら軽い喧嘩になると思います。ですが、演じていてとても面白い人間でもあります。僕が気付かないテッドの魅力を見つけてもらえたら幸いです。あの後、テッドがどんな風に家に帰ったのか?興味深いです。

撮影:宮川舞子