電気代は、毎月必ず支払わなくてはならないもの。気がつけば結構な金額になっていて、「こんなにかかったの!?」と驚いたことはないでしょうか。 電気代はシーズンによっても変動するので、ただ数字を見ているだけでは、使い過ぎなのかそれともうまく節約できているのかわかりません。 ここでは、家族構成や地域差、オール電化の有無による電気代の平均値と、すぐに実践できる電気代節約法を紹介します。
寒い地方のほうが電気代は高くなる?
電気代は、月平均いくらぐらいかかるものなのでしょうか。 総務省統計局が毎年発表している「家計調査年報(家計収支編)」によると、一人暮らし世帯における、2019年の電気代の全国平均は月額5,700円。一人暮らしの高齢者などを除く「単身の勤労者世帯」に限れば、月額4,739円です。
一方、家族の構成人数が増えると、当然かかる電気代も多くなります。 同じ調査によると、2人以上いる世帯の電気代全国平均は1万825円。4人家族で、働いている人が1人の家族では1万609円でした。
同じ調査から地域による違いを見てみると、「2人以上の世帯電気代平均値」が大都市では平均1万132円、小都市・町村では1万2,079円と、地方のほうが少し高めになっていることがわかります。地方のほうが、広めの住居が多いことが関係しているのかもしれません。
暑い地方と寒い地方の比較として、同じ調査の「2人以上の世帯電気代平均値」を見ると、北海道地方は1万1,658円、関東地方は1万384円、九州地方は9,960円となっており、寒い地方の方がやや電気代が高くなる傾向が見られます。
オール電化の電気代は?
照明や空調、給湯、調理などエネルギー源をすべて電気でまかなう「オール電化住宅」の場合、電気・ガス併用の一般住宅に比べ、電気の使用量が多くなる分、当然ながら電気代も高めになります。
関西電力がウェブサイト上で紹介しているデータによると、オール電化住宅にかかる光熱費の目安は一人暮らしの場合で月1万751円。2人暮らしで1万2,904円、4人以上の家族で1万4,914円です。
また、一戸建てで1万6,039円、集合住宅で1万4,956円と住居形態によっても多少違いがあり、季節別では夏(7~9月)が1万3,363円、冬(1~3月)が1万9,857円となっています。
ただし、オール電化住宅ではガス代は不要になるので、単純に電気代だけを比較して、一般の住宅とどちらが得かを決めることはできません。 オール電化住宅向けの電気代プランは、夜間の電気代が割安になっているので、日中はほとんど家におらず、夜に家事を行う人は、電気代を安く抑えることができます。また、オール電化と相性のいい太陽光発電と組み合わせて、電気代が割高な昼間の時間帯は太陽光で発電した電気を使い、割安な夜間のみ電気を使うことで、電気代を抑えることも可能です。
なお、オール電化は設備の設置にコストがかかります。そのため、一般住宅とどちらが得か考える際には、メリットとコストの両面をしっかり検証することが大切になるでしょう。
電気代どうやって節約する?
電気代を節約するには、「家電や照明の使い方を見直す」「契約する電力会社や契約プランを見直す」「省エネ家電に変更する」の3つの方法があります。それぞれについて、詳しく説明をしていきます。
1.家電や照明の使い方を見直す
家電や照明は、使い方によって電気の消費量が変わってきます。節電に効果的な使い方をいくつかご紹介しましょう。
エアコンと扇風機を併用する
エアコンは、冷房時に設定温度を1℃高くすると約13%、暖房時に設定温度を1℃低くすると約10%の節電ができます。また、扇風機を併用すると、部屋内の空気が混ざって温度差がなくなるため、温度を上げ下げする分の電気代を節約できます。
冷蔵庫には物を詰め込みすぎない
冷蔵庫には物を詰め込みすぎず、ドアの開閉を最小限にすることで冷却効率を高めることができます。
洗濯はまとめ洗いをする
洗濯はこまめに行うより、まとめて洗ったほうが電気代を節約できます。ただし、いっぱいに詰め込みすぎると洗濯層の回転が悪くなり、無駄な電気代がかかるので、容量は守るようにしましょう。
照明をLEDに換える
LED電球の消費電力は、白熱電球のおよそ5分の1なので、電球を交換するだけで電気代を節約できます。
2.契約する電力会社やプランを見直す
電気代のプランは会社によって違いがあり、たとえ使った電気の量は同じでも、プラン次第で電気代は変わってきます。電気代を節約するには、次のようなポイントがあります。
契約アンペア数を下げる
電力会社との契約が「従量電灯」制の場合、契約したアンペア数によって基本料金が決まるため、アンペア数を下げれば電気代を節約することができます。アンペア数を下げると一度に使える電気の量が少なくなるので、その点には注意が必要です。
契約プランを切り替える
電力会社が用意する契約プランには、「夜間の電気代が安くなる」「一定量までは定額でそれ以上は割安料金になる」「電気とガスをまとめることで安くなる」など、さまざまなものがあります。例えば、日中は家を空けることが多いなら夜間の電気代が割安になるプランなど、ライフスタイルに合わせて選択することで、電気代を節約できます。
電力会社を見直す
2016年4月の電力の小売り全面自由化により、消費者は自由に電力会社を選べるようになりました。各社の電気代やサービスには違いがあり、携帯電話料金やガス代とまとめることで料金がお得になるプランや、ポイント還元が受けられるプランもあります。条件によっては、年1万~2万円の違いになることもありますので、一度、比較検討してみるといいでしょう。
3.省エネ家電に変更する
家電のエネルギー消費効率は年々良くなっており、10年前の物と今の物では、消費電力にも大きな違いがあります。
経済産業省・資源エネルギー庁によると、2017年時点での冷蔵庫(401~450Lの場合)の消費電力は290k~320kWh/年で、2007年の570k~640kWh/年に比べ約半分程度。液晶テレビ(32V型)も2017年製は2010年に比較して34%の省エネ、温水洗浄便座も10年前に比べると約19%の省エネとなっています(経済産業省・資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ冬版」)。 最新家電に買い替えれば、電気代を抑えることができるのです。
省エネ家電には、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)に定められた「トップランナー基準」の達成度合いを示す指標である「省エネルギーラベル」がついています。トップランナー制度とは、新たに発売する家電の省エネ性能を、現在すでに販売されている同種の製品のうち、最も優れている製品以上にするというもの。省エネルギーラベルにはこの達成度合いが、マークと数字、エネルギーの消費効率(年間消費電力量のようなもの)、目標年度で表されています。
また、エアコン、電気冷蔵庫・冷凍庫、液晶テレビ、電気便座、蛍光灯器具(家庭用)については、省エネ性能を5段階評価で表した「統一省エネラベル」も参考になります。
夏場、冬場の無理な節約には注意
電気代は季節によっても大きく変動します。一般的に、暖房を使う12~2月頃が一年で最も電力消費が大きく、4~6月や10~11月頃の2倍を超えることも少なくありません。冷房を使う7~9月頃は、4~6月頃に比べれば高くなりがちですが、冬場ほどは上がらないことが多いです。 ただし、夏場の冷房や冬場の暖房の無理な節約は、体にかかる負担が大きいので無理は禁物。できる範囲での節約にとどめてください。
電気代の平均を知って、節約の参考に
電気代の平均値がわかれば、うまく節約できているのか、使いすぎなのかを判断するのに役立ちます。 ライフスタイルは人それぞれなので無理は禁物ですが、平均値を参考に、自身に合った電気代の節約を実践してみてください。