JR西日本は8月社長会見の中で、2021年春のダイヤ改正に合わせ、終電の繰上げを実施すると発表した。近畿エリアの主要線区を対象に10~30分ほど終電を繰り上げ、約50本の電車を削減する。

  • 近畿エリアの主要線区を対象に、JR西日本が終電繰上げを実施へ

終電の繰上げに関して、保守作業の担い手不足と深夜時間帯の利用減少が背景にあるとJR西日本は説明。線路等の保守作業は終電から始発までの限られた時間で行われ、夜間作業であることや土休日の休みが取りにくいことから働き手が急速に減少しており、JR西日本グループのある会社では、線路保守に従事する作業員が約10年で23%減少したという。

このような状況から、終電を繰り上げ、夜間の作業時間を拡大することで作業日数を減らすことができ、働きやすい労働環境の整備につながると判断した。

加えて、近年は帰宅時間が早まっていることから深夜時間帯の利用が減少しており、とくに24時台はもともと利用が少なく、減少も著しいという。

今年に入ってから、JR西日本は近畿エリア各線の利用者に終電繰上げに関する調査を実施。その結果、反対意見は約2~3割にとどまった。反対意見を持つ人に、「私鉄と同じ時間ぐらいまでの運行」や「最終新幹線からの接続確保」といった条件ならどうか尋ねたところ、当初反対した人の半数以上が賛成に転じたという。同時に行った調査により、利用者の8割近くが「終電を利用しない」か「6カ月に1回以下」しか利用しておらず、週1回以上利用する人は4%にとどまることもわかった。

調査の結果を踏まえ、JR西日本は東京発の新幹線最終列車(新大阪駅23時45分着)との接続を可能な限り確保した上で、2021年春のダイヤ改正時に終電繰上げを実施する方針を固めた。線区ごとの具体的な時刻などは9月に公表するとしている。