2020年1月15日にデビューアルバム「愛とか感情」を引っ提げアーティストデビューしたニノミヤユイ。8月19日には1stシングル「つらぬいて憂鬱」をリリースした。

  • ニノミヤユイ。2001年9月6日生まれ。神奈川県出身。ホリプロインターナショナル所属。声優としての主な出演は『アイカツフレンズ!』日向エマ役、『ピーター・グリルと賢者の時間』ルヴェリア・サンクトゥス役ほか。声優活動時は「二ノ宮ゆい」、アーティスト活動時は「ニノミヤユイ」名義となる

今回は1stシングルの発売に併せてのインタビューが到着した。作品らしさ・Tom-H@ckらしさ・ニノミヤユイらしさが詰まった表題曲、そして、レコーディングで思わず泣いてしまったというカップリング曲についての話が盛りだくさんとなっている。

●不器用なりに防御の仕方を覚えた

――デビューアルバムの発売から半年以上が経ちましたね。

あっという間でした。1月からしばらくは、アルバムのリリースイベントで全国に行き、お客さんとも交流ができたんです。その時に、「この曲が好きです」と直接感想を言っていただけたのが、純粋に嬉しかったですね。ただ、3月以降は予定していたライブができなくなり、1stシングルの発売も延期となるなど、悲しいことが続きました。それでも前に進まなきゃ、やらなきゃと気持ちを奮い立たせながら、1stシングルの制作を進めていきました。そうこうしているうちに配信ライブがあって、気が付けば1stシングルの発売日。早かったですね。

――アーティストデビューしてから心境の変化はありましたか?

アルバム制作時は自分を見つめ直す時間が長く、自分のことを今まで以上に知れました。その結果、なんだか、壁にぶち当たったときの対処法が少し見えた気がします。前向き……とまではいきませんが、自分が生きやすい生き方が見えてきたかもしれません。メンタル面で成長した気がします。

――前不器用に生きてきたとおっしゃられていました。

まだまだ不器用なんですけども、不器用なりに防御の仕方を覚えた、という感じですね。

――そういう気持ちの変化は今後、歌の面でも現れるかもしれません。

そうですね。もしかしたら、もうちょっと強気な曲を歌う日がくるかもしれないです。

――あっという間だったというお話でしたが、ここ4、5カ月ほどはご自宅で過ごす時間も増えたと思います。その期間はどのように過ごしていましたか?

家にずっといたら、声を出さなくても1日過ごせるじゃないですか。ただ、私は声を出す仕事をしているので、それだとマズいと思ったんです。なので、毎日発声練習をしたり、意図的に声を出すようにしていましたね。あとは、ゲームや料理などをする時間も増えました。

――何か新しいことにも挑戦した?

新しいこととは少し違うかもしれませんが、ストリーミングサービスを利用して映画をたくさん見るようになりました。これまでは邦画ばかりを見ていたのですが、洋画が好きな友達にオススメを教えてもらって、それをひたすら見ていたんです。

――映画を見始めたのは、声優活動にも活かそうという気持ちがあった?

そうですね。作品を見れば見るほど色々な芝居や物語が知れるので、とにかくインプットをしようと思いました。私も物語をたくさん見たいと思っていたので、この期間にたくさん触れられてよかったです。

――私はニノミヤさんのインタビューをしてから欅坂46さんが気になり始めまして……。この期間に色々と曲を聞いていたのですが、ドハマりしました。

本当ですか!? いいですよね……!

――私は「二人セゾン」が一番刺さっています。ニノミヤさんはどの曲が好きですか?

私は……迷いますが、選ぶとすれば「アンビバレント」ですね。歌詞も曲調もMVも大好きです。

――私もMVをほぼ毎日見てます(笑)。

わかります(笑)。

●新しいニノミヤユイを見つけてもらった

――今回リリースとなる1stシングル「つらぬいて憂鬱」は、ご自身も出演されているアニメ『ピーター・グリルと賢者の時間』のOPテーマ曲となります。

アニメのタイアップ曲を歌うことと声優として作品に出演することをスタッフさんから同時に教えていただいたので、本当に驚きました。しかも、1stシングルでタイアップ曲を歌えるなんて……考えてもいないことだったので、嬉しい気持ちでいっぱいです。また、アニメのタイアップ曲となればニノミヤユイの世界観をより多くの方に知っていただけると思ったので、気合もより一層入りました。

――既に放送がスタートしていますね。

声優として関わっているアニメのOPテーマ曲を自分が歌っていることが、何だか不思議です。

――実際に曲を聞いてみましたが、リズムを取るのが非常に難しそうだと感じました。

すごくTom-H@ckさんらしい曲ですよね……! ニノミヤユイらしさもありつつ、アニメの世界観とも寄り添っているという、バランスの取れた曲だと感じています。

――作品に寄り添っていると感じる部分は?

アニメが疾走感のあるコメディ作品なので、その部分がリンクしています。また、「弱い自分から変われない」というテーマの歌詞も、作品の主人公であるピーター・グリルが、恋人を裏切り続けるというループから抜け出せない部分とマッチしている気がしました。

――歌詞のなかで特にお気に入りのフレーズは?

サビに出てくる「何遍失敗して直りもしない」というフレーズは、私自身も特に共感できる部分なのでグサッときました。「何でこんなにできないんだろう」、「何で変われないんだろう」という思いが蓄積されて、今の私があります。それを見透かされているように感じました。

――そこが、「ニノミヤユイ」さんらしさが入っている部分なんですね。

そうですね。曲調は疾走感があって心地よいのに、言っていることはずっと憂鬱。「どうしようもないんだ」「仕方ないんだ」という思いをぶちまけている曲です。「変われない自分」を痛感する曲ですね。

――レコーディングでは、どのようなディレクションがありましたか?

Tom-H@ckさんと色々お話をしながらレコーディングしたのですが、印象的だったのはBメロ。元々はメロディーが付いていたのですが、Tom-H@ckさんがレコーディング当日に「ラップ調に変えてみよっか」と提案してくださったんです。実際にやってみたらそれが上手くハマったので、採用されました。 また、私は歌うとき音を繋げがちなのですが、「ここは切り気味に」など、新しいニュアンスの歌い方を教えてもらったんですよ。そういう意味では、新しいニノミヤユイをTom-H@ckさんに見つけていただいた気がします。