東京メトロは11日、有楽町線・副都心線の新型車両17000系を報道関係者らに公開した。既存の7000系に代わる車両として、2021年2月に営業運転を開始する予定。10両編成・8両編成を計180両導入し、2022年度中の搬入完了を予定している。

  • 東京メトロ有楽町線・副都心線の新型車両17000系を報道公開(写真:マイナビニュース)

    東京メトロ有楽町線・副都心線の新型車両17000系を報道公開

新型車両17000系の外観は、既存の7000系・10000系を連想させる大きな丸型のヘッドライトが特徴。アルミ製車体の無機質な強さの中に、優しさも感じさせるデザインとした。車体前面・側面に有楽町線・副都心線のラインカラー(ゴールド / ブラウン)の帯を施すとともに、車端上部に車いす・ベビーカー利用者に向けたフリースペースの位置を示したサインを掲示している。

車内快適性の向上も図り、フリースペースを全車両に設置したほか、車両床面の高さを1,140mm(既存の7000系は1,200mm)に低減。ドア出入口下部をホーム側に傾斜させた形状とするなど、車いす・ベビーカー利用者や大きな荷物を持った利用者らが乗降しやすくなるように工夫されている。

  • 新型車両17000系は大きな丸型のヘッドライトが特徴。帯はブラウン(副都心線のラインカラー)とゴールド(有楽町線のラインカラー)の2色に

座席幅は460mm(既存の7000系は430mm)。ロングシートの車内は有楽町線・副都心線のラインカラーと同調した色彩で、スタイリッシュなデザインの空間となっている。座席横の仕切りと荷棚、連結面に透明な強化ガラスを採用し、開放感を高めた。

乗降ドアの上部に車内案内表示器を2画面ずつ配置し、多言語対応(日本語、英語、中国語、韓国語)として情報提供の充実を図る。冷房能力も向上し、7000系の48.9kWに対し、17000系では58.0kWとなった。安全・安定性の向上にも努め、犯罪行為の未然防止に備え、車両内にセキュリティカメラを搭載した。

  • 乗降ドアの出入口下部をホーム側へ10mm程度傾斜させている

  • ロングシートの車内。スタイリッシュさも追求したという

  • 車いす・ベビーカー利用者向けのフリースペースは各車両に設置

  • 新型車両17000系の運転台

万が一の脱線時に自動で列車を停止させる脱線検知装置を搭載し、丸ノ内線2000系から運用開始した「TIMAシステム(車両情報監視・分析システム)」を17000系にも導入。総合指令所や車両のメンテナンスを行う部署が17000系の機器状態を遠隔でモニタリングするという。環境負荷の低減も図り、高効率な永久磁石同期電動機(PMSM)とシリコンカーバイド(SiC)素子を利用した制御装置により、消費電力量を削減する。

今回、報道公開された編成(17101編成、10両編成)は日立製作所で製造され、今年1月に東京メトロへ搬入された。その後、2月から各種性能試験(走行安全性確認、制御・ブレーキなど)が行われ、9月から乗務員訓練を予定しているという。2021年2月の営業運転開始に向け、東京メトロと相互直通運転を行う各社による訓練等が進められる。新型車両17000系は2021年4月までに10両編成6編成(計60両)、2022年度中に8両編成15編成(計120両)を搬入完了予定とのこと。