異国の地でのチャレンジを経て、自身の“やりたい”と思うお笑いについても、改めて考えを巡らせたという。ゆりやんは「ピン芸人になる前は、ゴリゴリの漫才師になりたかったんです。でもピン芸人になって、“これは人には伝わらないんじゃないか”“もっとみんなが笑ってくれるようにしないとダメなんじゃないか”と悩んだりもした」と告白。

「でも友近さんをはじめとする先輩方にネタを見ていただいたり、一緒にお仕事をさせていただくと、みなさん、めちゃくちゃ笑ってくれるんです。“こうならなあかん”とか、そこには正解も不正解もないと思えたり、自分が面白いと思うことをやったらいいんじゃないかと思えるような環境に今、いさせてもらっています。だからといって、自分が面白いと思うことを、“これが面白いんですよ”と押し付けようとは思っていません。しょうもないことをやって、“でもゆりやんだからな”と笑ってもらえるようになったら、すごくうれしい。“みんながこうやから、私もこうします”ではなく、これでもか、これでもかと自分が面白いと思うことをやり続けていくうちに、“私はこういう人なんだ”とわかってもらって、その上で滑る分には、それも面白いのかなと思っています」と自分らしさを認めてもらえることが、何よりの喜びだと話す。

自分らしい笑いに向かって突き進む上では、先輩芸人の友近は「心強い存在」だ。「友近さんはいつも、『いいんですよ、あなたはそれで』と言ってくださる。友近さんって、もしネタで何をやっているかわからなかったとしても、みなさんが“友近さんやからな”と思うじゃないですか。それってすごいことですよね。そうなれたらすごく楽しい」。

■「自分を大事に」“頑張った自分”の存在が自信へと変化

最近は、30キロの減量に成功したことを明かして話題を呼んだ。頑張った自分がいれば、自分らしさを受け入れられると、ゆりやんは語る。

「太っていた方が、芸人としてはウケやすいのかもしれません」と素直な心情を吐露しつつ、「でも見た目も関係なく、すべてを取っ払って、そこに向けて頑張ったということが、自信になって“私は私です”と言えるようになる気がする」と柔らかな笑顔を見せ、「私はザック・エフロンが大好きなんですが、もし美容院の予約を入れていた日にザックから『これから会おうよ』と言われたとしたら、これまでの私だったら会うための時間を作ったと思います。でも今なら『ごめんなさい。髪の毛を切りに行くので』と言える。『メガネをかけた方がかわいい』と言われたら、メガネを買いに行っていたと思うけれど、今なら『私、目がめっちゃいいので、かけへん』と言えるようになってきている気がします。自分を大事にしないといけないなと思っています」と熱弁する。

インタビュー中はもちろん、その前後も現場にいる一人ひとりに「ありがとうございます」と声をかけながら、終始、みんなを笑わせていたゆりやん。自分と同じく、周囲をも大事にするその姿は、人としての輝きにあふれていた。

■ゆりやんレトリィバァ
1990年11月1日生まれ、奈良県吉野郡出身。NSC大阪校の35期生で首席卒業を果たした。2015年には『R-1ぐらんぷり2015』決勝に進出。2017年、第1回『女芸人No.1決定戦 THE W』で優勝。2019年6月、アメリカのオーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』に出演し、日本のみならず、アメリカの観客を沸かせた。