「この薬と一緒にサプリメントを飲んでもいいのかな」。そんな不安を感じたことはないだろうか。医師には簡単に確認できない場合が多いが、これからは家にいても薬剤師から気軽にアドバイスを受けられるようになりそうだ。

  • 薬局が身近な存在になる

薬局の転換期

医薬品医療機器等法(薬機法)の改正により、2020年9月1日から「服薬指導フォローアップ義務化」がスタート。それまでの薬剤師は薬を渡す業務を優先していたが、それだけではなく、必要に応じて連絡もしなくてはいけなくなる。患者は不安や疑問、症状の変化があるときは、以前よりも相談しやすくなるのだ。

既に厚生労働省はオンラインによる診療や服薬指導などを緩和、オンライン服薬指導が前倒しで解禁されている。

そうした中、薬局づくりを積極的に支援するカケハシは、いまの状況を「薬局業界の大転換期」と提唱し、2017年より運用している調剤薬局向け電子薬歴システム「Musubi(ムスビ)」をリニューアルし、2つの新サービスを提供すると発表した。

薬剤師にいつでも相談できるアプリ

1つ目は、おくすり連絡帳アプリ「Pocket Musubi(ポケット ムスビ)」。患者はスマートフォンでQRコードを読み込むだけ。薬局からそれぞれの薬の特性や本人に応じた質問が送られてくる。

「いかがですか?」という漠然とした内容ではなく、例えば飲み合わせに注意が必要な薬の場合、「鼻血や出血はありませんか」「こまめに水分補給できていますか」など想定される具体的な内容になっている。

また、的確な質問がピッタリのタイミングで自動送信されることも特徴。患者からの返信内容によってアラートが通知されるので、薬剤師は電話で指導するなど迅速な対応ができる。症状を聞き出すまでの薬剤師のコミュニケーション負荷が軽減されるとともに、患者は簡単な操作でいつでも見守られている安心感を得られる。

  • アプリを通して患者をフォロー 提供:カケハシ

2つ目は、薬局運営をサポートする「Musubi Insight」。業務状況や収益データ、患者の来局状況などに基づいて薬剤師業務を"見える化"するクラウドサービスだ。「薬歴のどこに時間がかかっているかが明確になった」「薬歴記載のバラつきが判明したので社内ルールを検討することになった」などの声がテスト運用時で寄せられたという。

「薬局に相談」という新しい生活スタイル

いずれのサービスも、薬剤師の仕事を効率化して時間的・精神的余裕を生み出し、患者フォローに注力できるようサポートするのが主な目的だ。

カケハシ 代表取締役社長 中尾豊氏は「薬局は全国に約6万軒あり、実はコンビニよりも多い。薬を渡すだけではなく、 "身近な健康サポーター"としての役割がますます求められるでしょう。私たちは、患者さんと薬剤師の架け橋になれるよう、さらにサービス内容の充実に努めて医療の現場に貢献していきます」と、強い想いを語る。

  • カケハシ 代表取締役社長 中尾豊氏 提供:カケハシ

コロナ禍のいま、病院を受診するべきかどうかも迷いがちだ。そんなとき、継続的に服薬状況や持病、生活習慣などをしっかり把握してくれている、かかりつけ薬剤師がいたら電話で適切なアドバイスを受けられて心強い。

かかりつけ薬剤師を持っている人は、わずか16%※だが、薬剤師の頼り方を知ると、健康管理の質と安心感がかなり高まりそうだ。※2018年日本薬剤師会調べ

「まずは薬局に相談しよう」という新しい生活スタイルが定着していくのか、まさに薬局業界の転換期がやってきている。