さまざまなサービスや記録が、どんどんデジタル化されています。しかしそんな中でも、多くの人がまだまだ「紙」にこだわっているのが預金通帳と保険証書ではないでしょうか。ところが、いよいよこれらにもペーパーレス化の波が訪れています。でも、この2つは大きなお金が絡む重要なもの。本当にペーパーレス化していいのか、自分はペーパーレスにしても困ることはないのか。そのメリットやデメリットを、一度整理してみましょう。

各種の明細書などでペーパーレス化はどんどん進んでいる

日常的にそれほど意識することはないかもしれませんが、ここ数年、私たちの身の回りでは各種の明細書などがどんどんペーパーレス化しています。ペーパーレス化とは、各種の明細書が「紙」ではなく「WEBやメール」になること。

ペーパーレス化が進んでいる代表的なものがクレジットカードです。WEB明細への変更時はインターネットサービスに登録することが多いため、利用状況の確認だけでなく住所変更などの手続きやポイント交換など、さまざまなサービスをWEB上で行うことができます。導入当初はポイントプラスなどの特典を付与しているカード会社もありましたが、普及が進んだことや経費節減のためか、最近では紙の明細書を有料化するほか、新規のカード契約はWEB明細のみにするといった会社も増えています。

ダイレクト型自動車保険もペーパーレス化が進んでいる

クレジットカードの明細に次いでペーパーレス化が進んでいる分野といえば、ダイレクト自動車保険の保険証券です。利用を促し積極的にPRしていることから、加入している人ならば利用していなくても聞いたことはあるはずです。保険料の安さが保険会社選びに大きく影響する分野だけに、WEB証券にすると保険料を割引くというわかりやすい形でメリットをアピール。割引額は500円というケースが多いようです。

保険証券がないといざという時に困るのでは? と思うかもしれませんが、特に問題はなさそう。というのは、事故が起きたときは保険会社に電話で連絡をしますが、その際に必要なのは「保険証券」ではなく「証券番号」。証券番号さえわかれば、手続きには何の問題も生じません。保険証券がなくても「保険料払い込み完了」の通知はがきは届きますから、それら証券番号がわかるものを車検証に入れておけば、いざという時に困ることはないでしょう。「保険証券」を手元に置いておきたいかどうか、改めて考えてみるといいかもしれません。

ペーパーレス化を強化しているのが銀行預金

いま、ペーパーレス化に最も力を入れているのが銀行の預金通帳です。ネット銀行以外の銀行もインターネットバンキングに力を入れるようになり、ペーパーレス化を進めてきましたが、いよいよ積極的な導入に動いています。というのも低金利が長引き、利益を確保することが難しくなっているため、コスト削減は大きなテーマになります。その中で1口座当たり毎年200円の印紙税がかかる紙の通帳は、見逃せないコストなのです。ちなみに国税庁によると、銀行業界全体では毎年約700億円の印紙税を納めているといいます。

すでに三菱UFJ銀行、三井住友銀行は、新規に口座開設をする場合は希望しない限り通帳を交付していません。さらに三井住友銀行は、3年以上通帳記入をしていないなどの条件を満たす口座を、自動的に通帳不発行方式に変更しています。そのかわりインターネットやアプリで見られる過去の取引期間が、三菱UFJ銀行は最長10年分、三井住友銀行は最長30年分に変更されるなど、サービスが拡充されています。その他の銀行もペーパーレス化を進める方向に向かっていますから、いずれは通帳レスが当たり前の時代になるでしょう。

便利やオトクだけでなく、デメリットも理解して使い分けよう

いずれも将来的にペーパーレス化していくことは間違いありませんが、当面は移行期で併用となります。企業はペーパーレス化してデジタル管理になれば費用も手間も削減できますが、利用者が長年の習慣を変えるには大きな意識改革が必要です。

下図にまとめたように、それぞれにメリット・デメリットがありますから、あくまで自分が管理しやすい方法を選びましょう。

鈴木弥生(すずきやよい)

編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)