芸能を目指した当初は、なかなか受け入れられず苦しんだという城田だが、17歳の時にミュージカル 『美少女戦士セーラームーン』(2003)の地場衛/タキシード仮面役で俳優デビュー。その後、ドラマや映画でも活躍、2011年にはアーティストとしてデビューし、幅広い活躍を見せている。
こんなにマルチに活躍すると思っていたか尋ねると、「思っていました」ときっぱり。「思っていたから諦めなかった。13歳から、歌いたいし、お芝居もしたいし、テレビに出たいし、『Mステ』出たいし、『笑っていいとも!』出たいしって、いろんな夢があり、俳優かアーティストか1つの夢を目指してきたというよりも、自分の中で交差するいろんな夢を追っかけ、それが太い幹となってエンターテイナーという目標になりました」と語る。
続けて、「諦めなさいと言われた時期もあったけど、それでも諦めきれなくてやり続けた結果、芽が出て、少しずつ花が咲いて……。ただ、変な根拠のない自信はありました。辞めたいと思ったことも山ほどありますが、どこかでなれるって信じていたから今があるのだと思います」と振り返り、「だから、下の世代に対して優しくなれたり、応援してあげたくなったりするのかなと。周りを蹴落として自分が1位になってやるぜとか、出る杭を打つタイプにならなくて良かったです」と笑った。
芸能界においても、やはり人間関係を大切にしてきたという。「どれだけ才能があったとしても、この人を応援しよう、この人と一緒に何かやりたいと思ってもらえる人たちがいなかったら何もできない。どの仕事も人と人なので」と熱く語った。
また、「みんな同じ人間で、同じようにご飯を食べて、同じように勉強をして。その中で得意不得意があり、ただ歌うことやお芝居をすることが得意とか、ただ顔が少し整っているからこの仕事をしているだけで、何もすごくないんですよ」と述べ、「それなのにすごいって勘違いしてしまっている人は、周りで形にしてくれる人たちがいるからすごく見えているということを理解すると、もう少しこの世界も優しく穏やかになるのかなと思います」と、分け隔てのない世界を願った。
最後に今後の目標を尋ねると、「やりたいことはほとんどやらせていただけたので、これからは自分がかっこいいと思えるもの、素敵だなと思えるものを、より時間と労力をかけて作っていきたい」と回答。「それによって、追求していく姿がかっこいいとか、作品をすごくセンスにあふれているとか、そう思ってもらえるようになれたら。中身の部分で、かっこいい、素敵だな、真似したいなって思ってもらえるような人間になるというのが目標です」と力を込めた。
城田優
1985年生まれ。2003年に俳優デビュー以降、ドラマ、映画、舞台と幅広いジャンルで活躍。代表作に、ドラマ『ROOKIES』(08)、『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(10)、『純と愛』(12)、『GTO』(12~14)、映画『羊と鋼の森』(18)等がある。舞台では2010年にミュージカル『エリザベート』で第65回文化庁芸術祭「演劇部門」新人賞を受賞、2018年にはミュージカル『ブロードウェイと銃弾』で第43回菊田一夫演劇賞を受賞するなど数々の賞を受賞。昨年は、ブロードウェイミュージカル『ピピン』日本語版に主演、ミュージカル『ファントム』で演出・主演を務め話題に。今年11月にはミュージカル『NINE』に出演が決定している。また、ディズニー&ピクサー映画最新作『2分の1の魔法』が8月21日公開予定(吹き替えキャスト出演)。映画『新解釈・三國志』が12月11日公開予定。
写真:ソニー・ミュージックレーベルズ提供