俳優で歌手の城田優が、新型コロナウイルスにより不安な日々が続く中、“どうにか前向きなエネルギーを届けられないか”との思いでオリジナル楽曲「それでも」を制作。GLAYのTERUとHISASHIが歌とギターで参加する豪華コラボレーションも実現し、感動の声が上がっている。

また、コロナの影響でコンサートが延期となった状況などを鑑みて今秋発売に延期した自身初のJ-POPカバーアルバム『Mariage』より、平井堅の「even if」を6月19日に先行配信。自粛生活の中で“自分にできること”を考え、インスタライブや楽曲制作に取り組んできた城田に、発信を続ける思いやコロナ禍で感じたことなど、話を聞いた。

  • 城田優

――「それでも」は、自粛生活の中で前向きなエネルギーを届けたいという思いで制作されたということですが、改めて楽曲に込めた思いをお聞かせください。

僕自身、自粛期間中はアップダウンが激しく、滅入ってしまったり、どうしたらいいのかわからない感情と向き合わないといけない時間がたくさんあり、この曲を聴いて少しでも痛みや苦しみや悲しみが和らいだり、共感してもらってポジティブな気持ちになってもらえたらという思いで作りました。

――明るいイメージの城田さんでも滅入られると聞くと、みんな同じなんだなと感じます。

エンターテイナーである我々は、つらい時や悲しい時にそれを表になかなか出せなかったり、出さない方が良いという考えもあるのですが、僕たちも皆さんと同じ人間ですから。芸能の仕事をしている人たちは違うところに生きていると思われがちですが、実際はそうではなく、みんな同じように苦しんだり悲しんだりしている。もちろん夢を見せないといけない時もありますが、本当の感情に嘘をつくのは違うかなと。だから僕はSNSを通して赤裸々に、思ったままに言葉を並べたり、インスタライブで思いを伝えたりしていますし、この曲に関しても自分の思いを一つの曲にしました。

――ご自身は、気持ちが沈んだ時にどのように前向きな気持ちに切り替えているのでしょうか。

そこが本当に難しくて、なかなか日々の感情はコントロールできないです。日によって全く感情は違いますし、どうやって乗り切ったかと聞かれても僕自身も答えがなくて。人からかけてもらった言葉で救われたこともあれば、自分でどうにかもっとポジティブなことにフォーカスしようと思えたときもあります。ただやはり、1人ではないということ……閉ざされた世界で自分1人だけ苦しんでいると思い込んでしまうマインドが、誰かと話したりどこかとつながると少し開けるんですよね。

ファンの皆さんや友達、家族など、自分を理解してくれている人たちの支えでなんとか。だからこそ、周りに友達がいないとか、あまり人に会えないという環境の人たちに向けて、せめて僕ら表に立っている仕事の人たちが、何かパワーやエネルギーをお届けできれば。それは僕だけではなく、インスタライブだったりYouTubeだったり、人それぞれいろんな形はあれど、発信する側の思いは一緒だと思います。

――GLAYのTERUさんとHISASHIさんとのコラボレーションの経緯も教えてください。

『ミュージックステーション』(テレビ朝日)で久々に再会してお話をさせていただいてから、SNSを通じてやりとりがある中で、「ぜひ何か一緒にやりましょう」ということになり、「それでも」に参加してくださることになりました。これはエンタメだけに限らない話ですが、1人の力ではどうにもならないことが、2人、3人と人が集まれば集まるほど強くなる。愛を持って何か活動したいと思っている人たちが集まれば、それは間違いなく大きな愛になり、大きな力を生む。そういう風に同じ思いの人たちが集まってくれて完成したのが「それでも」です。

――TERUさんの歌とHISASHIさんギターが乗ったときにどう感じましたか?

本当に感動しました。僕と(楽曲アレンジを担当した)UTAくんで作った曲が、一瞬にしてGLAYサウンドに変わり、すごくエモーショナルに。ありがたいなという思いと同時に、GLAYファンだった自分としてシンプルに「おー!!」ってテンションが上がりました。

――6月19日には、自身初のJ-POPカバーアルバム『Mariage』より、平井堅さんの「even if」が先行配信されますが、この楽曲への思い入れを教えてください。

20年ほど前に発売された曲で、当時からすごく聴いていて、感情が揺さぶられる曲だなと感じました。大人っぽい歌詞が印象的で、背伸びしたくなるようなところもあったと思います。普段は明るいキャラでかっこいいとか程遠い感じなんですけど、この歌をカラオケで歌ったときに、同級生の女の子たちの目がハートになっていたのを覚えていて、この曲と僕の声は合うんだなと。そして、大人になってカラオケで歌い、「こんな物語だったんだ」と初めて理解できた時に、さらにこの曲を好きになりました。ほかにもたくさん名曲がある中で、僕としてはこの一択でした。

――確かに、年代によって曲の受け取り方が違いそうですね。

そうなんです。僕自身、当時聴いた時はまだわからなかった切なさが、30代になって理解できるようになり、よりこの曲の魅力を感じたので、じっくりと人生の経験を積めば積むほど深く染み込んでいくのかなと思いますし、今回僕が歌わせていただいて、10代や20代の人たちに魅力を届けられたらいいなと思っています。

――『Mariage』では、この「even if」を含め、城田さんが思い入れのある、恋愛や結婚を歌った楽曲をカバーされているということですが、タイトルも結婚を意味する“Mariage”に。

結婚の意味もあるのですが、“Mariage(マリアージュ)”は2つのものを組み合わせるという意味もあり、そちらのほうが先行しています。“音楽×城田優”、“平井堅さんの曲×城田優”というようなマリアージュを楽しんでいただけたらと思います。