6月9日、“ブサかわ犬”として親しまれていた秋田犬・わさおが死んだと報じられ、「志村園長」という言葉がTwitterのトレンドワードになった。新型コロナウイルスによる肺炎で、志村けんさんが3月29日に亡くなって2カ月半が経つが、あらためてその存在感を示す出来事だった。
志村さんとわさおが出会ったのは、日本テレビ系バラエティ番組『天才!志村どうぶつ園』(毎週土曜19:00~)。企画・総合演出の清水星人氏に、志村さんへの今の思いを聞いた――。
■「そう言えば…」心を開いてくれた瞬間
「子供の頃、ガッツリ熱狂した唯一の番組だったのが、『8時だョ!全員集合』だったんです。小学校の低学年くらいだったんですけど、その後はあまりテレビを見る時間がなくて、志村さんは自分にとって、最初で最後の大スターなんですよ」という清水氏。
その後、日本テレビに入社し、自身が初めて番組を立ち上げることになった際、MC候補として志村さんの名前が挙がったが、引き受けてもらえるかは未知数だった。
「当時の志村さんはコント一筋の方というイメージがあったので、受けてくださるかどうかは極めて微妙でした。バラエティ番組で素を見せないというのをポリシーとして持ってらっしゃるイメージだったのですが、“1回試しにやってみるか”と思ってくださったのか、2003年にパイロット版の特番で出てくださったんです。それでご本人が“これだったらやってみるか”という感じになってくださいました」
「神様みたいな存在だった」という志村さんに初めて会ったときの印象を聞くと、「最初は目を合わせてくれなかったんです」と回想。
「非常にシャイな方だったので、みんなに対してそうだったんですけど(笑)。それから半年くらい経って、ふと楽屋で2人きりになったときに、『そう言えば俺、清水くんの携帯(番号)知らなかったよなぁ』って言ってくれて! それが“やっと心を開いてくださった!”という忘れられない瞬間ですね」
■パンくんのトレーナーや動物園スタッフも驚き
『志村どうぶつ園』の志村さんと言えば、チンパンジーのパンくんとの見事な掛け合いが印象的だ。あのやり取りは、本当に奇跡の瞬間の連続だった。
「トレーナーの宮沢(厚)さんがよくおっしゃるのは、パンくんと毎日一緒に過ごしている宮沢さんの前でもやらないような行動を、志村さんが行くとやるというんです。パンくんのいる動物園のスタッフの皆さんも驚いていました。動物って、人間が思っている以上に、もっといろんなことを考えていて、実は人間が考えていることを分かっているのかもしれないなという気がしましたね」
わさおにも、青森まで会いに行っていた志村さん。「わさおの飼い主だった故・菊谷(節子)さんの息子さんがおっしゃってたんですけど、志村さんが亡くなった直後に、急激にわさおに元気がなくなって、不思議だなという話を青森の皆さんがしていたそうなんです」と、何かを感じ取っていたようだ。