『家事ヤロウ!!!』外出自粛が追い風に　初心者レベルの家事技ニーズ高まる

お笑い芸人のバカリズム、アイドルグループ・KAT-TUNの中丸雄一、お笑いコンビ・メイプル超合金のカズレーザーが、家事を学んでいくテレビ朝日系バラエティ番組『家事ヤロウ!!!』(毎週水曜23:15～ ※一部地域除く)が好調だ。

公式インスタグラムのフォロワー数は、78.2万人(5月26日現在)にのぼり、国内のバラエティ番組でダントツの1位。視聴率も、4月29日の放送で自己最高の8.7%(世帯、ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録しており、外出自粛に伴って“家事”情報のニーズが高まっているようだ。演出のテレビ朝日・米田裕一氏に話を聞いた――。

• 『家事ヤロウ!!!』に出演するカズレーザー(左)とバカリズム

■出演者のオフショット皆無のインスタ

『家事ヤロウ!!!』のインスタは、他の番組のような出演者のオフショットなどは皆無で、実直に美味しそうな料理のレシピが載っているストイックな内容。だが、「何か狙いがあって芸能人を映さないようにしたわけではなく、レシピを載せておくサイトとして使った結果なんです」(米田氏、以下同)という。

「番組中ずっとレシピを出しても見づらいので、細かい量とかはスマホで確認できたら便利なのかなと。こだわりとしては、放送で紹介したリアルタイムでアップしていくというのをルールとして決めています」

くしくも、コロナ禍の外出自粛に伴う“ステイホーム”で家事が注目されることになったことが、番組に追い風となっている。その背景には、「家事初心者の3人が基礎から学ぶ」という番組コンセプトがあった。

■“専門家に怒られたくない”

“家事”を番組のテーマに据えた経緯を聞くと、「企画を考えるときに、バカリズムさん、カズ(レーザー)さん、中丸(雄一)さんという、どことなく雰囲気の似た3人のキャスティング案は先にあったんですが、例えばバカリさんは大喜利、カズさんはクイズ、中丸さんはもちろんアイドルとして得意ジャンルで活躍されるシーンが多いと思ったので、一番苦手で縁遠いジャンルで番組を作ったら、今まで見せなかった表情が出ると思ったんです」と方向性が決定。

その後、バカリズムに「嫌がられるかな…」と想像しながら企画を説明すると、「『実はTシャツがうまく畳めなくて、悩んでたんです』と言って、意外と前向きだったんですよ」と予想外の反応があった。

ここで、バカリズムから希望されたのが、“専門家に怒られたくない”ということ。

「『教わったのにできなかったことを怒られるのは大人だから全然いいんだけど、ただ知らなかっただけなのに怒られるのはすごい嫌だ』って言われたんです(笑)。すごいバカリさんらしいなと思ったんですけど、自分自身も含めて家事初心者からすると確かにそうだなと納得して、そのバカリさんの言葉を受けて、全く家事をやってなかった3人のレベルに合わせた家事を自分で学んでいく番組にしました」

ロケ現場では少しでも工程が増えると、3人が「これ難しいな…」と混乱してしまうため、「難易度としては“フライパンで火を通す”がMAXですね(笑)。“圧力鍋で煮る”は怖いと言われました」とのこと。

このように、番組で紹介する家事のレベルを徹底的に下げた結果、3人と同レベルのスキルながら、外出自粛で家事と向き合わなければならなくなった人たちのニーズにも対応したのだ。

「今まであった料理レシピサイトは、どちらかと言うと料理を普段からする人たちのためのものが多かったと思うんですが、『家事ヤロウ!!!』のインスタは料理をあまりしない人に向けたサイトになっているので、1カ月でフォロワーが10万人も伸びることになったのは、そこの需要があったのかもしれません」と分析する。

■バカリ・中丸・カズレーザーの上達度は…

番組がスタートして2年以上になるが、「制作側としてはありがたいことに、3人の家事スキルはめちゃくちゃ緩やかにしか上がってないので、まだまだやれます(笑)。知識は半端なくあるんです。だんだん頭でっかちになってきて、技術は全然伸びてないのに…。“上達したら、番組が終わっちゃう”と考えてらっしゃるのかと思うくらい(笑)」といい、これからもまだまだ家事初心者に寄り添ってくれそうだ。

きょう27日の放送では、これまで200種類の料理を作ってきた中から、名店の玉子サンドや料理愛好家のアレンジ餅など、「今すぐ作れる夜食」べスト9を発表する。