女優の江口のりこが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。今回読んだのは、大阪・アメリカ村で夜だけ診察する精神科診療所・アウルクリニックに密着した『夜だけ開く心の診療所 ~生きづらい時代の物語~』(24日放送)だ。

職業も立場もさまざまな人々が、誰にも相談できない“心の闇”を、夜な夜な打ち明けに来る姿を見て、何を感じたのか。収録を終えた江口に話を聞くと、クールな役柄が多い彼女のイメージからすると意外な本音が飛び出した――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録に挑んだ江口のりこ

    『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録に挑んだ江口のりこ

■「なんでこんな自分なんだろう…」と考えることも

30歳の若さで開院した院長の片上徹也医師(35)は、27歳の時、くも膜下出血で倒れて一命をとりとめ、懸命のリハビリで医師として復帰したが、左半身の麻痺が後遺症として残った。それでも、自身のハンデを言い訳にすることなく、自虐ネタにすることで、塞ぎ込む患者を少しでも和ませようとする。

その姿を見て、「この生きっぷりというか、闘いっぷりというか…いやぁ、本当にすごい人やなと思いました」と感心する江口。

診療所にやってくるのは、20~40代の若者や働き盛りの世代で、「眠れない」「会社でパワハラを受けた」「家族との関係に悩んでいる」「生きている意味が分からない」と心の苦しさを訴えてくるが、「全員に共感できました」という。

「『なんでこんな自分なんだろう…』って思ってしまうことがあるんですよ。私の場合は、生きてて楽しいことより、つらいことのほうが多いんじゃないかって思ったりします」と、意外な本音が。そんな彼女に、片上医師が患者にかけていた「いろいろ諦めないと」という言葉が刺さった。

「例えば、仕事で自分の考えと違うことがあって、それを知らせても伝わらないときは、早めに諦めてみる。それで楽になったりするんです。いつまでもしがみついて『いや、私はこうしたいから!』って言ったって、周りも自分も苦しくなっていくような気がします。諦めることによって、『あ、こっちも面白いかも』というものが生まれたりすることもあるので、流されてみるのも悪くないと思います」

精神科の患者は、その“諦めること”がうまくできない人たちだ。「何かを手放したときにちょっと楽になれたりするんですけど、それができないから本人の中ですごく苦しんで、いろんな症状が出てしまうんでしょうね」と思いやる。

  • 「アウルクリニック」院長の片上徹也さん(右) (C)フジテレビ

番組にはさまざまな患者が登場するが、特に印象に残ったのは、自身の不注意や衝動性に悩むヒロキさんだという。女友達を伴って来院した男性で、「一緒にいた女の人があれだけ心配してくれていたので、きっとすごい魅力的でチャーミングな人なんだと思う」と推測。

だからこそ、「こういう精神的な悩みは、名前がついたら病気になるけど、名前がついてないだけでめっちゃ変な人とか個性的な人もいっぱいいるじゃないですか。あらためて、本当に難しい症状なんだなと思いました」と考えさせられたようだ。

■興味あったナレーション「めっちゃ難しい」

ナレーションの経験はあまりなく、「家でテレビ見て聞こえてくると、『ナレーションのお仕事って面白そうやなあ。読めばいいんでしょ?』みたいに思っちゃうこともあったんですけど(笑)、いざ原稿をもらって読むとめっちゃ難しいです」と苦戦したそう。

さらに、今回の題材については「すごく難しいなと思いました。こういったお話にもちょっとしたユーモアがあると思うので、暗くなるのも嫌だし、それをどんなふうに読めばいいのかというところで、結構悩みましたね」と打ち明ける。

その結果、「先生の言葉を聞いて、その気持ちに付いていこうと思って読みました」と意識することに。「患者さんに寄り添うばかりを考えたら、それはそれで優しくなりすぎて気持ち悪くなってしまうし、患者さんもそこまで優しくされたくないという思いがあるでしょうし。だから、本当に難しかったです」と、一筋縄ではいかないテーマのナレーションを振り返っていた。