「新卒の給与で貯金などできるはずがない」、「アルバイトや契約社員の身分では思うように貯金ができない」などと思っている方は少なくないでしょう。それでも貯金は必要なのです。何としても少しずつでもひねり出さなくてはなりません。

  • 低収入でも100万円貯金するには?

病気や失業、今回のような新型ウィルスの蔓延による収入減などに対する備えは、社会人になったら真っ先に着手すべきものなのです。やむを得ず親などに頼ることはあるかもしれませんが、それは自分で努力した上での話です。

不測の事態に陥っても、何とか立て直すには数か月かかるかもしれません。自分の置かれている状況など人それぞれに違いはありますが、100万円という金額はそれなりに立て直しのための安心金額です。そこで本稿では、収入が少なくても少しずつ貯蓄をし、「100万円貯金」を達成するまでの道のりについて考えてみましょう。

最初の1年はベースづくり

社会人になったからには、原則親に頼らない生活設計が基本です。そのためには病気や不測の事態に備えて、何としても早急に最低限100万円は貯めたいものです。新卒でなくても貯蓄がない方は何とかやりくりして、万一に備える資金は確保しましょう。

貯蓄を始めるにあたり大切なのは、思い立った最初の1年です。この期間にベースとなる生活スタイルと必要最低限の生活費のイメージをつかみます。家計簿をつけて実際の金額を把握するのは良いことですが、それよりも大切なことは、実感として「無駄遣いは一切ないけど、ほぼ満足のいく生活レベル」をつかみ取ることなのです。

最初はうまくいかなく無駄も発生すると思います。それでも工夫をして節約し、お金をかけずに満足する生活スタイルを試行錯誤する間に、なんとなくわかってくるものです。

最初の100万円は万一に備えるためですので、リスクのある投資や、先々に受け取るための年金の補完などは原則考えません。どんな資産でも最初は生活を律して、コツコツ貯めた資金ですので、まずはそれができる生活スタイルをつかむことが何よりも大切です。

もちろん親などと相談し、万一の場合の費用は親から借り入れる約束をし、最初からiDeCoなどに加入する考え方もないわけではありません。ポイントは、しっかりした生活設計であり、それがあれば親も納得するものです。

貯蓄できる生活イメージの仕方

例えば、手取りが20万円だったとします。そこから家賃や保険料、光熱費、通信費など必要な固定費を差し引きます。残りが流動的な生活費となるわけですが、それを30日で割ると、1日に使えるおおよその金額がわかります。仮に1日3,500円とすると、その中から貯蓄できるかを考えます。最初のうちはイメージをつかむために、このように単位を小さくしていくとよいでしょう。もちろん光熱費や通信費の削減も心掛けてくださいね。

家賃の負担が大きく、目標達成が難しいとなれば、引っ越し費用なども検討した上で転居も考慮しましょう。親元からの通勤が可能であれば、一定額の貯蓄が確保できるまで親元から通勤するなども併せて考えます。ルームシェアという選択肢もあります。とにかく身の丈に合った生活をして、社会人にふさわしい貯蓄を確保しましょう。

次に100万円をどのくらいで貯めるかを考えます。仮に2年間として24か月で割ると、月々約4万2千円必要で、1日約1,400円が貯蓄額として必要です。そして、上記の1日の流動資金3,500円から差し引くと2,100円が毎日使える金額となるわけです。ボーナスなどの臨時収入がある方は、ボーナス分は貯蓄の上乗せ分として考えましょう。

貯蓄に必要な額がわかれば、飲み会の数を減らしたり、自炊したり、値引き商品を活用したりして、自分が捻出できる金額をつかみます。1,400円に満たなければ、残業代、バイトの延長などで資金を増やせないかを考えます。試行錯誤の結果、2年で無理となれば3年などに期間を延長する必要も出てくるでしょう。

1か月目に何をするべきか

最初の1年間のベースづくりの中でも、1か月目は特に重要です。最初の1か月は最低限の出費だけで、それ以外のものはすべて切り捨てて貯蓄にまわします。その目的は、最初の1か月である程度の実績を確保することと、極限的な最低支出を把握することにあります。

下記の表は、最低生活費を考える上での試算表です。手取り収入が一定でない場合は最低数値または一般的な数値を記入します。支出の判定値B~Eは削減の難易度を示しています。もちろん固定費も節約に努める必要はあります。ポイントは、最初の1か月は我慢してEにある項目を切り捨てることです。同時にDにある項目について削減しながらも窮屈に感じないレベルをつかみましょう。

2か月目以降はお金をかけずに自分を喜ばせる方法を考える

2か月目以降は最初の1か月の実績をもとに、E項目について、自分がある程度満足のいく生活を送るために必要な上乗せ費用を考えながら進めます。

おそらく最初の1か月よりも支出は多くはなると思います。自宅での1缶のビールの満足度が高い方もあれば、友人との飲み会、ライブ、旅行に満足度が高い方などさまざまです。自分は何に満足するかを、固定観念を外して真剣に考えてみましょう。

多くの方はお金がないと、したいことができないように考えがちですが、本当に満足するのはお金をかけたものではなく、自分で創意工夫したものだと思います。旅行などは費用が掛かりそうに思われるかもしれませんが、若ければ自転車とテントと寝袋という旅行も可能です。飲み会も最近はZoom飲み会などが行われ、自慢のツマミと好みのお酒を前にして、お店よりも安く、時間を気にせず交流できます。そういった創意工夫が大切なのです。

これからは2フィールドワークの時代

節約は最も基本で大切です。しかし、それだけでは老後に向けて必要な資金を確保するのが難しい場合は、Wワークを考えてみてはいかがでしょうか。正社員で会社が副業を認めていない場合は難しいですが、それでも定年後に向けて準備はしておくと、万一の場合に役立つでしょう。

副業を考えるにあたり、正業と同じ分野にすると、何かと問題が生じやすくリスク分散には適していません。できれば分野の違うもの、互いに気分転換になったり、趣味を生かすものだったりする別のフィールドの分野を副業として選ぶとよいでしょう。自宅で、ネットを使ってできるようなのが良いと思います。


最初の100万円を貯めるのは、誰もが大変な思いをします。若くて始めた仕事に勢いがつき、あっという間に多額の貯蓄ができるというケースはまれです。しかし、最初の100万円をしっかりした計画のもとに確保できたのであれば、その次のステップはいくらか楽になるはずです。

結婚、出産、住まいの取得、子供の高校や大学への入学、転職など、人生にはさまざまな変化があります。それぞれの場面で、支出を見直し、収入アップを図り、自分を楽しませるためにはどうすればよいかを考えつつ将来に備えていくのが人生のような気がします。

お金が貯まらない方は、自分を楽しませる工夫が不得手で、ついお金に頼って手っ取り早い娯楽などに目を向けてしまうケースではないでしょうか。一度立ち止まって自分の人生を見直してみてください。

筆者プロフィール: 佐藤章子(さとうあきこ)

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。