この春から新しい生活がスタートした新社会人の皆さん。入社式を終え、慣れない環境に悪戦苦闘する日々を送っていることでしょう。特に今年は、新型コロナウイルスの影響で研修や業務もイレギュラーとなり、余計に疲れを感じるかもしれません。

そんな慌ただしい中でも、社会人としての生活が始まったからには、身につけておきたいスキルがあります。それは、「お金との付き合い方」です。新社会人である今、お金との付き合い方を知っておけば、これから先の人生で大いにプラスになるからです。そこで今回は、新社会人に向けて、給与明細のチェックポイントや生活費の目安、家計管理、貯蓄方法などについて解説しました。

  • 人生に役立つお金との付き合い方とは?

まずは給与明細をチェック

給料をもらうと同時に手にするのが、「給与明細」です。「給料がきちんと振り込まれれば、見なくてもいい」と思っている人が多いですが、給与明細には知っておきたいお金の情報が色々と詰まっているのです。給与明細から、以下の3点を確認してみましょう。

・社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料)が引かれている
・所得税は概算で差し引かれる
・住民税は2年目から天引きされる

これから皆さんが受け取る給料は、いわゆる「手取り」と呼ばれるもので、社会保険料や税金が引かれています。そのため、初任給として聞いていた金額よりも低くなっているのです。

なお、この中で健康保険料は、その月の保険料を翌月に支払う仕組みです。ですので、5月になると「さらに手取りが少なくなっている」と感じるかもしれません。所得税は概算したものが引かれており、実際の収入が確定してから「年末調整」で過不足を調整します。また、住民税は1年目には引かれておらず、1年目の所得をもとに、2年目から徴収されます。

このように、給与明細を見ると、自分の給料について様々なことが分かります。大切な情報ですので、給与明細を受け取ったら必ず目を通しておきましょう。

生活費は何にいくらが目安?

社会人になると、振り込まれた給料で1カ月の生活費をやりくりしなければなりません。初任給をもらうと嬉しくなり、「何に使おう」とワクワクしてしまいますが、特に一人暮らしの場合、実際は自分の好きに使える余裕はほとんどないでしょう。

入社1年目のうちに、「どの支出項目にいくら使えるのか」を把握しておかないと、給料日前にお金が足りなくなる恐れもあります。以下は、一人暮らしの場合の、手取り収入に対する各支出項目の目安です。

  • 人生に役立つお金との付き合い方とは?

    手取り収入に対する各支出項目の目安

住居費…30%
貯蓄・投資…20%
食費…17%
通信費…6%
水道光熱費…5%
娯楽費…5%
被服費…5%
交際費…5%
日用雑貨費…4%
保険料…3%

この中で特に気を付けたいのは、「住居費」です。手取り収入に対して住居費が高すぎると、家計を圧迫する原因となります。住居費は、金額の大きな支出であるうえ、食費などと違い、毎月決まった金額が出ていく「固定費」だからです。

収入が少ないうちは、住居費は手取りに対して高くなりがちですが、それでも30%程度に抑えておきましょう。できれば、25%以下が理想です。住居費の割合が高い人は、今すぐではないにせよ、いずれ安い家賃の部屋に引っ越す機会を設けたほうが、長い目で見ると費用を抑えられる可能性があります。

なお、新社会人が一人暮らしをしながら手取りから20%の貯蓄をするのは、なかなか難しいかもしれません。ですので、ひとまずは今後の目標と捉えるだけでも結構です。ただし、金額は少なくても、後述する「先取り貯蓄」の仕組みだけは取り入れてみましょう。

社会人1年目から始めたい簡単家計管理

支出項目ごとの割合の目安を示しましたが、実際に給料でやりくりを始めてみると、何にいくら使ったかは分かりにくいものです。そこで、簡単にできる家計管理を始めてみましょう。おすすめは、家計簿アプリです。

家計簿アプリを使えば、支出の費目と金額を入力するだけで、1カ月のお金の流れがひと目で把握できるようになります。中には、レシート読み取り機能が付いているものや、クレジットカード、電子マネー、証券口座などと連携させて、利用明細や口座残高を取得できるものもあります。

アプリなら、通勤や移動中にも簡単に入力ができますので、紙の家計簿にわざわざ入力する必要がありません。新社会人のうちから、お金の「見える化」をしておくと、それだけで無駄使いを予防できますし、家計管理が上手になります。

必ずお金が貯まる貯蓄方法とは

新社会人のうちからぜひ心がけたいのが、「貯蓄」です。貯蓄をする理由は様々ありますが、きちんとお金を貯めていれば、急な出費にも対応できますし、やりたいことのために使うこともできます。「まだ給料が少ないから、もう少し余裕ができてから……」と思いたいものですが、貯蓄はたとえ少額でも早くスタートさせることが大切です。貯蓄がゼロなのと、ほんの少しでも貯まっているのと、その差は精神的にもとても大きいものです。

では、お金を貯めるにはどのような仕組みが必要なのでしょうか。それは、「先取り貯蓄」です。先取り貯蓄とは、給料が振り込まれたら、生活費として使う前に、貯蓄分を別口座に取り分けてしまう方法です。先取り貯蓄をするには、銀行の「積立定期預金」を利用してみましょう。生活費としてお金を使い、残ったら貯めようと考える人がいますが、これでは実際には思うように貯まらないものです。貯蓄は「先に」してしまうのが、着実に貯める基本です。

1日5分だけでも家計管理の時間を

社会人になると、職場に慣れたり仕事を覚えたりするだけで精いっぱいの日々がしばらく続くでしょう。しかし、お金のことも少しだけ考えてみてください。1日5分でも家計管理の時間が持てれば、それだけでお金との付き合い方が上達するはずです。

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中