終わりが見えない新型コロナウィルスの感染拡大。企業では、サービスの一時停止など経済活動が停止され、その範囲も拡大しています。家計への影響も長引き、今後、深刻化することが予想されます。私たちが今、行える家計を守る対策とは何でしょうか。家計対策と支援制度についてお伝えします。

  • 収入が減ってしまった時できることは?

    収入が減ってしまった時できることは?

決して一時的ではない収入減

フリーランスや小規模企業の労働者らは、今回の新型コロナウィルスの影響で既に収入が減少して、家計に影響が出ているかもしれません。経済活動の縮小はダイレクトに売り上げに響きます。

しかし、だからといって、それ以外の労働者に影響がないわけではありません。もし、今の時点で収入が減少していなかったとしても、今後の経済停滞により、給料やボーナスが減少する可能性は大いにあります。

経済停滞の波は後からゆっくりやってきます。タイムラグがありますから決して油断はできません。

家計の中で見直したい項目と考え方

収入が減ったのであれば、支出を削るしかありません。そこで、考えたいのが家計サイズの縮小です。収入が減るなら、それに見合った支出にサイズ変更する必要があります。

節約しすぎは、リバウンドの原因になりますから、逆効果ですが、収入が減っていないときと同じ生活レベルでは、赤字額が大きくなります。生活レベルを下げるのは、簡単なことではありませんが、収入減少は一時的なことと捉えずに、削減できる支出を考えてみましょう。

・通信費(携帯代)

具体的には、ふだん簡単に節約ができない項目から見直してみませんか。たとえば、「通信費(携帯代)」です。通信費は固定費ですから、一度見直すと、当分見直しが不要で、見直してしまえば節約ストレスもありません。

最近は格安スマホでも、家族割があったり学割があったり、家族割がなくても容量を家族間でシェアできたり、様々な割引プランがあります。まずは、今の契約形態が最善の方法かを調べてみましょう。

また、家にいることが多くなったため、アプリやゲームの課金金額など増えていないでしょうか。それでなくても光熱費や日常生活費の出費が増えますから、無駄な出費は増やしたくありません。通信費アップを防ぐため、家族とも話し合い、家計対策の一致団結をはかりましょう。

・保険

次に見直したい項目は、「保険」です。保険の見直しは、「見直したいと思いつつ、数カ月経過してしまった」ということはよくあります。この機会に、着手してしまいましょう。まずは、ネットで検索して情報収集しましょう。分からない点は電話で聞けば、なるべく人と接触しない形で見直しを進めることができます。

しかし、保険商品は複雑なため、どうしても顔を見て話したいということもあるでしょう。そんなときは、オンライン相談ができないか提案してみてはいかがでしょうか。もちろん、契約となれば、商品によっては対面で契約しないといけませんし、相談をオンラインで行うことに対応してくれるケースは少ないかもしれません。

しかし、筆者の知り合いの保険代理店は、オンライン相談を行っていますから、不可能ではありません。ダメ元で提案してみてはいかがでしょうか。

家にいる時間が長くなった今だからこそできる、支出削減から取り組みましょう。

新型コロナウィルスの影響による支援制度

市町村や自治体は、収入が大きく減額した場合などに備え様々な支援策を行っています。自分の状況に合わせて下記のような制度の利用も検討してみましょう。

生活福祉資金貸付制度

  • 「主に休業された方向け(緊急小口資金)」の貸付詳細(出典 : 厚生労働省ホームページ)

    「主に休業された方向け(緊急小口資金)」の貸付詳細(出典 : 厚生労働省ホームページ)

各都道府県社会福祉協議会では、新型コロナウィルスの影響により、貸付対象を拡大しています。対象者は新型コロナウィルスの影響によって、休業や失業などの状態になり、緊急かつ一時的な生計維持のために貸付を必要とする世帯です。

貸付の内容は、休業か失業かによって異なりますが、たとえば休業の場合、上限額は10万円~20万円で、返済期限は2年です。

休業の場合も失業の場合も無利子で保証人も不要です。申し込みは各市区町村の社会福祉協議会に行います。

奨学金の減額返還と返還期限猶予

日本学生支援機構では、奨学金の返還が難しくなった場合、月々の返還額が2分の1、または3分の1になる減額返還と、最長10年返還期限を延長できる返還期限猶予の制度があります。いずれも返還額自体が減ったり免除されたりするわけではありませんが、返還が苦しくなったら、利用を検討してみましょう。 ただし、返還完了を先延ばしにするわけですから、先延ばしにした場合、返還完了はいつになるのかなど、自分のライフプランと照らし合わせて、計画的に利用するようにしましょう。

保育園を休んだ場合の保育料(0歳児から2歳児クラス)

保育園が臨時休園となり、休園日数が1日以上となるときは、保育料は日割計算され還付されます。一方、自主休園については、登園が自粛されているかどうかによって各市町村の扱いが異なります。お住まいの市区町村に確認してみましょう。

国民年金保険料の免除と納付猶予

新型コロナウィルスの影響で、失業や休業など国民年金の保険料を納付することが難しくなった場合は、保険料が免除されたり、納付が猶予できたりする場合があります。

しかし、免除の場合は、保険料を全額納付した場合と比べて、年金額は減り、猶予の場合は、年金額が増えることはありません。追納しない限り、将来の年金は減ることも認識しておきましょう。

生命保険会社の保険料払込猶予期間の延長と契約者貸付特別金利の適用

新型コロナウィルスの影響により、保険料の支払いが難しい場合、支払いの猶予期間が延長されます。条件は各社で異なりますから、契約している保険会社のホームページなどで確認してみましょう。

また、契約者貸付に対して、特別金利で貸付を行っている保険会社があります。契約者貸付とは、自分の積み立て型の生命保険を利用して、お金を借りられる制度です。特別金利の年利は0%を設定している会社が多いですから、こちらもホームページなどで確認してみましょう。

自治体の特別融資

中小企業や個人事業主向けの運転資金の斡旋を行っている自治体が全国にあります。たとえば、港区では利子の全額を区が負担してくれますから、無利子で運転資金を借りられます。要件があるので、まずはお住まいの自治体に確認してみましょう。

まずは情報収集を

収入減少が長期間になった場合、あるいは減額が大きくなった場合、生活破綻となってしまう可能性もあります。しかし、今回の場合は様々な対策が各方面から打ち出されています。情報は日々変わります。

まずは、勤めている会社の対応やお住まいの地域で行われている対応、各市区町村の対応など最新情報を入手してください。支援を受けるには要件がありますが、まずは調べて問い合わせることから始めましょう。