――先ほどお話に出ました「アクション」については、どのような思いで取り組まれましたのでしょうか。

僕は以前からマーベルコミックのヒーロー映画が大好きで、いつかはヒーローアクションに挑戦してみたいと思っていたんです。だから今回の『GARO -VERSUS ROAD-』のお話をいただいたときは、まず「アクションが出来るぞ!」という喜びがありました。今回は、いわゆるヒーローらしい超人的な動きというよりは、一般的なアクションといいますか、"実用的"な体術などを中心にした練習を行いました。リアルなアクションを体験するのは、これから役者としていろいろな役を演じる上で、とても有効だと思っています。

――アクション練習を経験されたときに、どんな手ごたえを感じられましたか。

本格的なアクションを一から教えていただき、とてもやりがいがありました。今回のアクション練習はメインキャストがいくつかのグループに分かれて、時間を区切って行われたのですが、僕はすべてのグループに参加させていただいて、6時間くらいぶっ通しで練習させてもらったんです。

――撮影現場で実際にホラーの姿を見たときのお気持ちを聞かせてください。

ホラーはとにかく見た目が怖いんです。ですからホラーがこちらに向かって腕を振ってきただけで"ヤバい"感じがすごく伝わってきます。それだけに、死と隣り合わせの緊迫感をもって演技をすることができました。ふつうの生身の人間がホラーに直面すれば、まず逃げようとしますし、戦うにしてもスマートな戦い方が出来るわけがありません。最初の戦いでは、空遠たちがホラーに対して非常に"生々しい"対応をしているところに注目していただきたいです。

――松大さんが空遠を演じるにあたって、どのような役作りを行われましたか。

僕自身、これまでの『牙狼<GARO>』シリーズを観ていましたから、独特な『牙狼<GARO>』の世界観が頭の中にあったんですけれど、今回はそこからガラリと世界を変えていることもあって、導入部分での空遠は"ふつうの大学生"という部分を大事にして演じようと心がけています。空遠が巻き込まれたVRゲームの世界では、次々と"理不尽"な出来事が起こり、脱落者がどんどん出てきます。それは、現実の社会でも起こり得る"理不尽"さと本質的には同じことだと思います。これまでは平穏無事に人生を過ごしてきた空遠でしたが、非情なゲーム空間で"理不尽"な状況に何度も直面し、怒りや憎しみといったマイナスの感情を強めていきます。しかし、そんな中でも自分を見失わず、前に進もうとする方法を探していく空遠を、リアルに表現したいと思っています。

――これまでのシリーズでは、ホラーを殲滅するべく主人公がガロの鎧を召喚するところが、今回はそれがない、というのには驚きました。

僕もびっくりしましたね(笑)。でも、それが今回、新しい『牙狼<GARO>』シリーズを作る上での"挑戦"のひとつだと思っています。ストーリーが進むにつれて、空遠にどういう変化が訪れるのか、今後の展開にも期待しつつ、全力でこの役に挑もうと思っています。

――もし本作のような「VR空間で最後のひとりになるまで争い合うゲーム」があったら、松大さんとしては参加する意思がありますか?

いや~、リアルに自分の命が失われるような状況に陥るのがわかっているならば、積極的に戦っていくことなんかできない気がしますね。もしこのような状況に放り込まれてしまったら、なんとかして逃げる方法を考えると思います。そういう意味では、僕と空遠の性格は違っているかもしれないですね。

――ここ数年、急激に進歩を見せている「VR」についてはどんな印象を持っていますか。

ほんとうに別の空間に入っていくような"没入感"がすごいですよね。もともとアニメが好きですし、自分も「異世界に飛び込んでみたい」なんて思いを叶えてくれるメディアとして、これからもどんどん進歩していくんじゃないかと思っています。

――『GARO -VERSUS ROAD-』では多くのユニークな人物が登場するようですが、みなさんとのチームワークはいかがですか?

みんな世代が同じくらいというのもあって、まんべんなく仲良くさせていただきながら撮影に臨んでいます。ふだんはとても和気あいあいとしていますが、撮影に入ったときはお互い演技に集中し、特に重要なシーンを控えている人に対しては声をかけないとか、そういった心配りもし合える素敵な現場なんです。スタッフとキャストが、みんな一体となって作り上げている作品だといえますね。

――最後に、『GARO -VERSUS ROAD-』の放送を楽しみにされているファンの方たちに向け、ひとことメッセージをお願いします。

今までずっと『牙狼<GARO>』を応援してくださっている方にも、まったく観たことのない方にも楽しんでいただけると思います。今回は、ホラーを殲滅する単独の「ヒーロー」ではなく、さまざまな"背景"を持った個性的な人物が登場し、彼らがそれぞれ個性を発揮してぶつかりあうことで見ごたえのあるドラマが生み出されています。以前から僕のファンでいてくださる方々にも、激しいアクションといった、いままでになかった新しい部分をご覧いただけるとうれしいですね。ぜひ、新しい『牙狼<GARO>』の世界をお楽しみください。

(C)2020「VERSUS ROAD」雨宮慶太/東北新社