豊島将之名人誕生! 永瀬拓矢七段が初タイトルの叡王獲得! 羽生善治九段が通算勝利数歴代単独1位に!

2019年度も残すところあとわずか。元号が平成から令和に代わるという大きな変化があった1年でしたが、将棋界も激動の1年。タイトル戦は先日渡辺明棋王が防衛するまで、すべて挑戦者の奪取で決着するという、移り変わりようでした。

ここでは2019年度の将棋界ニュースを複数回にわたって振り返っていきます。今回は7月から9月までです。

【7月9日】渡辺明二冠が棋聖を獲得! 2013年以来の三冠復帰

豊島将之棋聖(名人・王位)と渡辺明二冠という、複数冠保持者同士の対決となった、第90期ヒューリック杯棋聖戦。渡辺二冠の2勝1敗で迎えた第4局が、7月9日に新潟県新潟市「高志の宿 高島屋」で行われました。結果は136手で渡辺二冠の勝利。自身初の棋聖獲得となり、2013年以来の三冠復帰を果たしました。一方、敗れた豊島名人は二冠に後退。初の防衛戦は失敗となりました。

【8月18日】門倉啓太五段、山根ことみ女流初段がうれしい棋戦初優勝! YAMADAチャレンジ杯

第4回YAMADAチャレンジ杯と、第5回YAMADA女流チャレンジ杯が8月18日に群馬県高崎市「LABI1 LIFE SELECT 高崎」で行われました。男子の決勝は▲井出隼平四段-△門倉啓太五段戦。激しい寄せ合いを最後に制したのは門倉五段でした。一方、女子の決勝は▲伊奈川愛菓女流初段-△山根ことみ女流初段戦。山根女流初段が得意の四間飛車で相手の穴熊を切り崩して勝利を収めました。門倉五段も山根女流初段もこれが棋戦初優勝となりました。

【9月5日】豊島将之名人VS木村一基九段による炎の十番勝負、竜王戦挑決は豊島名人に軍配

竜王戦挑戦者決定三番勝負と、王位戦七番勝負を同時に戦った豊島名人と木村一基九段。先に決着したのは竜王戦挑決でした。1勝1敗で迎えた第3局は9月5日に東京・将棋会館で行われ、115手で豊島名人の勝利。十番勝負の第1ラウンドは豊島名人が制しました。この後豊島名人は竜王を獲得することとなります。

【9月7日】初代清麗は里見香奈女流五冠の手に! 史上初の女流六冠も達成

女流棋戦では優勝賞金が最高額となる新棋戦、ヒューリック杯清麗戦が2019年度よりスタートしました。予選は2敗失格制のトーナメント方式で行われるのが特徴です。栄えある初代清麗の座を懸けて五番勝負に進出したのは、里見香奈女流五冠と甲斐智美女流五段でした。里見女流五冠が2連勝で迎えた第3局は、石川県金沢市「ホテル日航金沢」で行われ、120手で里見女流五冠が制しました。この結果、里見女流五冠は第1期清麗位となるとともに、史上初の女流六冠を達成しました。

【9月24日】複数冠対決を豊島将之名人が制する! 銀河戦決勝

第27期銀河戦の決勝が9月24日に放送されました。決勝戦は棋聖戦と同一カードとなり、豊島名人が渡辺三冠に勝利。棋聖戦の雪辱を晴らしました。このころの渡辺三冠は豊島名人以外には負けておらず、勝率も8割を優に超える絶好調状態でした。

【9月26日】木村一基九段が悲願の初タイトル獲得! 王位戦七番勝負第7局

豊島王位に木村九段が挑戦する、第60期王位戦七番勝負第7局が9月25、26日に東京都千代田区「都市センターホテル」で行われました。3勝3敗のフルセットとなったシリーズを制したのは、挑戦者の木村九段でした。木村新王位はこれが初タイトル。46歳3か月での初戴冠は最年長記録です。今までの記録は有吉道夫九段の37歳6か月だったので、これを大幅に更新しました。

過去6度のタイトル戦で、3度フルセットの末タイトルを逃してきた木村王位。特に2009年の第50期王位戦では、深浦康市王位相手に開幕3連勝から悪夢の4連敗を喫してしまいました。7度目の挑戦で悲願のタイトル獲得となった木村王位は、終局後のインタビューで感極まって涙を流しました。

左から棋聖戦挑決に勝利後の渡辺二冠、王位戦挑戦を決めた木村九段、清麗獲得の里見女流六冠
左から棋聖戦挑決に勝利後の渡辺二冠、王位戦挑戦を決めた木村九段、清麗獲得の里見女流六冠