「劇場が楽しみだからほかの仕事を頑張れる」。兄弟お笑いコンビ・ミキの昴生と亜生は、観客を相手に漫才を披露する劇場の仕事を愛している。週末は収録の仕事を入れず、劇場に集中。「土日は絶対に劇場」と決めている。

ミキの原点は、大阪のよしもと漫才劇場。芸人たちのたまり場となっている楽屋でのノリから企画も生まれるそうで、「楽屋はめっちゃ大事!」と力説する。2人にインタビューし、劇場の仕事の楽しさや、よしもと漫才劇場への思い、さらに、昨年4月に東京に進出してからの変化も聞いた。

また、新型コロナウイルスの影響で公演中止・延期が相次いでいる今の状況について尋ねると、「お客さんあっての僕ら。こんなにお客さんって大事やったんやな」と観客の大切さを改めて実感しているそう。観客の笑いに飢えている様子で、「少しでも笑いを取り込んでおこないと」「僕にとってはライブ!」と記者相手のインタビューでもボケを繰り出し、笑い声を取り込んでいた。

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    左から お笑いコンビ・ミキの亜生と昴生

■よしもと漫才劇場に「感謝しかない」 環境の良さも熱弁

ミキは大阪時代、よしもと漫才劇場を中心に活動し、東京進出後も同劇場のステージに立っている。

昴生は「感謝しかない。ここがあったから今がある。(リニューアルして)漫才劇場になった瞬間に『ここで頑張ろう』って気を引き締め、ここが盛り上がったらいいなって。『東京に行ったら?』とずっと言われていましたけど、漫才劇場を盛り上げたいと思っていた」と熱い思いを述べ、「いまや僕らがいるいない関係なく盛り上がっているからほんまに良かった」としみじみ。「ハチロク(8.6秒バズーカー)が出たときに、ハチロクのお客さんをミキに取り込んで来てくれたらいいなと思っていたんですけど、今の芸人さんもミキを目当てに来るお客さんを取っていってほしい。そういう相乗効果で劇場が盛り上がっていったら」とさらなる活性化を願った。

亜生は「居心地がとても良い大好きな劇場。特に、楽屋に置いてある、リンゴ姉さんがくれたソファがめちゃくちゃ座りやすい。そこでいろんなノリをして、それがそのまま舞台に出る。漫才劇場で今やっているコーナーも、あの楽屋から生まれている。楽屋はめっちゃ大事! 漫才劇場は一番いいと思います」と、楽屋での芸人同士のふざけ合いから企画が生まれると言い、昴生も「楽屋はめちゃくちゃ大事。漫才劇場は楽屋の環境めちゃくちゃいい。絶対ノリが生まれる!」と同調。亜生が「お正月のケータリングはちょっとちゃっちいですけど」と補足して笑いを誘うと、昴生は「それはええねん!」とツッコんだ。

よしもと漫才劇場を舞台に、ミキが芸人仲間とさまざまな企画を届けてきたGAORAのオリジナル番組『マンゲキ発信! BUZZってミキ!』も、この楽屋だからこそ生まれたものだという。昴生は「漫才劇場の楽屋はみんなが集まる場所だから、『BUZZってミキ!』も盛り上がったと思う」と振り返る。

3月25日には同番組のDVDが発売に。昴生は「劇場のお笑いをそのままDVDで見てもらえるのはすごくありがたい。僕らを育ててくれた漫才劇場で、漫才劇場の仲間と仕事を忘れて楽しくやっている感じを見ていただけたらありがたい」と話し、「ミキの漫才劇場の思い出DVD」と表現。亜生は「男子校感! あんまり収録を意識せず、ライブをやっている感覚でみんなで作った。普通に僕もお兄ちゃんも笑っているので、芸人が普通に笑っているところを見てもらえたら。また、テレビに出ていない芸人もいっぱい登場しているので、そこもチェックしてほしいです」とアピールした。

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■公演中止・延期で「お客さんあっての僕ら」改めて実感

そんな劇場大好きなミキにとっても、いまは辛抱の時期。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、吉本興業は今月2日から、全ての公演を中止又は延期しており、6日より劇場から無料のネット生配信を行っているが、観客の前での漫才はできない状況だ。

昴生は「フラストレーション溜まってます。楽しくないなって。お客さんの前でやりたい」と吐露。「僕らは、平日はテレビの仕事が多いんですけど、土日は絶対に劇場って決めていて。土日が楽しみやから平日の仕事を頑張れる。その楽しみがなくなって、なにか満たされへん」と言い、「お客さんあっての僕らやなと思うし、こんなにお客さんって大事やったんやなと。お客さんおらんかったら僕ら存在意義もない。ほんまに」と、改めて観客の大切さを実感したという。

4月16日より全国ツアー「ミキ漫2020」も控えているが、2人は「どうなの?」「どう思います?」とこちら側に逆質問。昴生は「吉本はお笑いの会社やし、先陣を切るべきなんじゃないか。ほかの業界の人としゃべっていても『吉本ちゃうか』って。それを期待してくれているのはありがたいことだし、なんとか再開したいですけどね。もちろん万全のケアをしながらですけど、どんよりしているからこそお笑いは大事」と述べ、亜生も「去年からいろいろあって保守的になっているから先陣は切られへんと思いますけど、お客さんの前でやりたい」と再開を願う。