世の中には「〇歳までに1,000万円貯める方法」など、様々な貯金術があふれています。そういった情報を見て、「自分もやってみようかな」と思った経験はないでしょうか。しかし、「なぜ貯金をすべきなのか」、その理由について述べている情報はあまり多くありません。そこで本稿では、貯金をする3つのメリットについて解説します。

  • なぜ「貯金」はするべきなのか - 3つのメリットとは?

人々が貯金をする理由とは

そもそも、人々はどのような理由で貯金をしているのでしょうか。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]2019年」によると、「金融資産の保有目的(金融資産保有世帯)」の回答として多いのは、以下のようなものになりました。

・老後の生活資金……57.0%
・病気や不時の災害への備え……47.4%
・とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心……27.5%
・旅行、レジャーの資金……21.0%
・耐久消費財の購入資金……9.4%
・住宅(土地を含む)の取得または増改築などの資金……7.2%
・こどもの教育資金……1.9%
・こどもの結婚資金……1.2%

調査結果を見てみると、老後生活や病気、災害などに備えるために貯金する人が多いことがわかります。また、「特定の目的がなくても貯金をしておけば安心」と考える人が一定数いることも読み取れました。これらの結果を踏まえ、貯金をするメリットを3つにまとめてみました。

貯金をする3つのメリット

1.急な出費があっても対応できる
貯金をすれば、突然の出費にも対応することができます。生活をしていると、時には病気やケガで大きな医療費がかかることがあります。また、冠婚葬祭でご祝儀やご香典を渡す機会もあるでしょう。

特にある年代になると、周りの友人の結婚が続き、短期間に何度も結婚式に出席するような時期も訪れます。その他、急に里帰りをすることになったり、家電が壊れて買い直す必要があったりと、普段の生活費とは別に突発的な出費が発生することがあるものです。

このような時、貯金をしていないと生活費を切り崩すことになり、家計が圧迫される恐れがあります。月末にお金が足りなくなり、キャッシングなどの借金に手を出してしまえば、その返済でさらに家計が傾く危険もあるでしょう。いつもより出費がかさむ時、貯金をしていれば大いに役立つのです。

また、いざという時のための現金があれば、余計なお金を払わなくて済むため節約効果もあります。たとえば、充分な貯金があるなら、医療保険は必要最低限の保障だけ確保しておけばよく、その分保険料が格安に抑えられます。節約できれば、さらに多く貯金ができるという好循環も生まれるでしょう。

2.将来的にかかる大きな出費に備えられる
教育資金、住宅資金、老後資金は、人生でかかるお金の中でも大きな金額となることから、「人生の三大資金」と呼ばれています。金額が大きいということは、一般的には長い時間をかけてコツコツ準備する必要があるということです。

たとえば子どもの教育費は、幼稚園から大学まで全て公立・国立に通ったとしても、少なくとも1,000万円以上の費用がかかります。特に、学費のピークを迎える大学入学時には、多額の費用を要することから、なるべく早いうちから積み立てておくことが理想的です。

お金を積み立てておけば、子どもが希望する進路のために資金を充てられますが、反対に全く貯金をしていなければ、進学をあきらめざるを得ない状況も起こり得るでしょう。

老後資金も同様です。近ごろでは、公的年金だけでは老後資金は不足するという認識が、周知されてきました。個人型確定拠出年金(iDeCo)のような節税効果に優れた仕組みが様々な場面で紹介され、人々に自助努力を促しています。

老後のために全く貯金をしていないと、生活資金が不足し、思い描いた老後生活を送ることは難しくなることが懸念されます。「老後は悠々自適に暮らしたい」と思っていても、生活のために毎日働く日々を送らなければいけないかもしれません。

このように、将来的にかかる大きな出費に備えるためにも、貯金は大切な役割を持っているのです。貯金があると、進路や老後のライフスタイル、住みたい家の理想が広がりますし、やりたいことにチャレンジすることもでき、人生を豊かにしてくれます。

3.心のゆとりが生まれ人生の質が上がる
貯金をしていないと、「もし何か起きたらどうしよう」という漠然とした不安の中で生活することになります。たとえば、突然のリストラで収入が途絶える、災害に遭い生活が見通せなくなるといった金銭的なリスクに対する不安を、人々は潜在的に抱えているものです。

そうした中で、それらのリスクに対応するだけの貯金がないとすれば、不安はますます増大していきます。心にゆとりがなくなり、一見お金と関係のない場面でもイライラしたり、上手くいかないのではと考えがちになったり、いわば心が荒んで人生の質が下がる危険もあるのです。

反対に、貯金があれば「いざとなっても、当面の生活は何とかなる」という精神的な余裕が生まれます。その結果、生活に張り合いができ、チャレンジ精神が向上し、やりたいことのできる幸せな人生につながるのです。

貯金より大事なこともある

特に目的なくお金を貯めている人もいると思いますが、貯金をするメリットがわかると、モチベーションがさらに上がるのではないでしょうか。

ただし、時には貯金額を増やすよりも、思い切ってお金を使うことを優先したほうがいい時もあります。自己投資してスキルを身に着けたり経験を積んだりすることで、将来的に貯金する以上の価値になることもあるからです。

お金は使ってこそ意味があります。たくさん貯金することだけにとらわれず、なぜ貯金をするのか考えてみましょう。

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中