貯金をする時、まず100万円を目標に設定する人は多いでしょう。実際に貯金100万円をクリアしてみると、とても達成感があります。しかし、お金はただ貯めているだけでは意味がありません。有効に使ったり、目的に合った方法でさらに増やしたりしていきたいものです。本稿では、貯金100万円を達成した後のおすすめの使い方や、増やし方、預け方について解説します。

  • 貯金100万円あれば何をするべき?

ローンの返済に充てる

貯金が100万円になったら、その先は、より有利な預け先に預け替える、もしくは、目的に合った方法でさらに積み立てることを考えていきたいものです。しかし、キャッシングやカードローンを利用している場合は、借りているお金を返すことを優先させましょう。

キャッシングとは、クレジットカードに付帯している、ATMやCD(キャッシュディスペンサー)から現金を借りられる機能のことです。また、似た仕組みにカードローンがあります。カードローンとは、主に銀行やノンバンクが発行するカードを使い、ATMやCDから現金を引き出したり、金融機関の口座振込でお金を借りたりすることです。

金利や返済方法が多少異なりますが、どちらもお金を借りる「借金」であることに違いはありません。お金を借りていると、一般的には利息が発生します。そして、長く借りているほど、返さなければいけないお金の総額は増えていきます。また、毎月お金を返済していると、それは固定費となります。健全な家計を目指すためにも、毎月の決まった支出である固定費は、なるべく減らしたいものです。

これらの理由から、キャッシングやカードローンなどを利用しているなら、早めに返済して借金を整理しましょう。貯金が100万円貯まったら、いざという時のお金を現金で残しながら、繰り上げ返済にも力を入れていきます。繰り上げ返済とは、毎月返済している通常の分とは別に、元金の一部または全部の返済を行い、借りていた金額を予定より早く減らすことです。繰り上げ返済には、支払うはずだった利息を減らす効果があるため、総返済額が当初の見込みより少なくなりお得なのです。

ただし、貯金をして繰り上げ返済をしようと考えているなら、二つほど注意したい点があります。

一つ目として、お金をたくさん貯めてから一気に繰り上げ返済するより、金額は少なくても早くからコツコツ繰り上げ返済した方が、利息を軽減させる効果が高いという点です。つまり、繰り上げ返済するなら、長い間お金を積み立てて返すと損をしてしまうのです。

二つ目として、無理をしてまで繰り上げ返済をする必要はないという点です。ローンは早く返した方が精神的にも経済的にも楽ですが、たとえば、病気やケガ、失業など万が一に備えるお金や、冠婚葬祭など急な出費に備えるお金を差し置いてまで返すことはないのです。いざという時に備えるお金を貯金で確保しつつ、できるだけ返済もしていきましょう。

これは、住宅ローンの返済にも言えることです。住宅費以外にも、人生においてかかるお金は様々あるからです。住宅ローンを早く返すことだけに視野が狭くならないようにしましょう。

次の100万円を目指してさらに増やす

100万円が貯まったら、貯金を続けて次の100万円を目指しましょう。ただ、お金の使い道ごとに口座を分けて管理していないと、貯金を切り崩すことになりかねません。そこで、はじめの100万円は万が一の時おろせるようにしておきながらも、それとは別に予備費を貯めていきましょう。こうすれば、急な出費の時に100万円を崩さなくても済みます。これから貯金を始めるという人は、ぜひ最初から貯金と予備費を分けて貯めてみてください。

また、貯金はずっと続けていくものですから、手間がかからず忘れていても自然に貯まっていく仕組みを作ることが大切です。さらに、「貯金する分を他のことに使ってしまった」という事態を防ぐためには、お金を使う前に、貯金分を振り分けてしまう必要があります。この「先取り貯金」を叶えるには、銀行の「自動積立定期預金」や勤め先にある場合は「財形貯蓄制度」を活用してみましょう。これなら、給与が振り込まれたら、自動で貯金分を別口座へ移してくれますので、何もしなくてもお金が貯められて便利です。

おすすめの預け先は?

自動積立定期預金を利用して次の貯金100万円を達成したら、より有利な預け先への預け替えも検討してみましょう。たとえば、一般的な銀行よりも金利が高く設定されていることが多いネット銀行の定期預金がおすすめです。他にも、地銀のネット支店は、金利が高く全国どこでも口座開設が可能ですので、地銀のネット支店で定期預金を利用してもいいでしょう。ちなみに、財形貯蓄制度は、銀行ATMから出金するようにはお金をおろせませんので、そのまま継続していきましょう。

また、ずっとお金を貯めていくと、次第に目的別の貯金を意識できるようになります。たとえば、最近では若い世代でも気にする人が多い、老後資金などです。こうした使い道の決まっている資金を貯めるには、その目的に合った方法で貯めていきましょう。

老後資金なら、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を利用すると、税制優遇を受けながらお得に老後のお金を貯められます。将来的に使う、他の目的のお金を貯めるなら、同じく節税効果の高い「つみたてNISA」で積み立てていくのもいいでしょう。こうした制度を使い、自動的に貯まる仕組みを整えることも貯金を成功させる秘訣なのです。

貯金を楽しく成功させるサイクルを作ろう

貯金は、貯め始めは大変ですが、最初の壁を超えると、その後は次の目標を超える達成感を味わいたくなるものです。そうなれば、貯金はつらいものではなく楽しいものになってきます。さらに、勝手に貯まる体制を整えてしまえば、「いつの間にか貯金ができている」という好循環が生まれるはずです。