山梨県に行ってきました。神奈川・千葉・埼玉と同様に東京と隣り合っているのに、一都三県から距離を置き、独自路線を歩んでいる山梨。

海がなく、昔は米も十分に作れなかったため発展した「ほうとう」などの郷土食もユニークです。そんな山梨の食文化を、ほうとうからひもといていきましょう。

  • 山梨の郷土食「ほうとう」

山梨県民は週1でほうとうを食べる!?

山梨で食べるほうとうっておいしいですよね。なのに、おみやげ品として売られているものを買って帰り、自宅で作ってみるとイマイチなのも「あるある」な話。

これってもしかして、味噌の問題なのかも。「山梨の地の味噌があるよ」と聞いて、甲府市で約150年続く老舗味噌店「五味醤油」を訪問しました。すると、米こうじと麦こうじを合わせて発酵させた素朴な味噌を発見。パッケージデザイン、かわいくないですか?

  • 米麹と大麦麹をミックスした、あわせ味噌である「やまご味噌」

お店の方に、「ほうとうをおいしく作ってみたい」と伝えると、ほうとうのレシピを書いた紙をくれて、さらにいろいろと教えてくれました。

  • ほうとうのレシピ

レシピを見ると、やっぱり決め手は味噌のよう。野菜もほうとうの麺もしっかり煮込むべしとありますが、味噌は一番最後。過熱によって風味が飛ばないようにするためなのでしょう!

やっぱり、山梨県民ってほうとうについて語ると止まらない。週に1回はほうとうを食べるし、夏でも同様なんですって。

ユニークな山梨の食文化

さらに有力な情報をゲット。甲府にある、山梨ローカルの「岡島百貨店の地下で、ほうとうの麺がとっても安く買える」と聞きました。

味噌を買ってから行ってみると、ほうとうの麺がズラリ。複数のメーカーが、生麺・ゆで麺などのバリエーション違いで商品展開するものだから迷っちゃうなー。それに、1袋数十円という安さ。

  • ほうとうの麺もさまざま

ついでにローカルっぽいものを探すと、ピンク色の赤飯を発見。珍しいのでこちらも買ってみました。

調べると、山梨では、もち米を砂糖で味つけ、さらに甘納豆を入れて赤飯を甘く仕上げるらしい。小豆を使わず米が赤く染まらないので、食紅で色を付けるんだとか。とはいえ、最近ではごく一般的な小豆の赤飯も食べるそうです。

地の味噌とほうとう麺で作ってみた!

買ってきた味噌は、とっても香ばしく熟成感もある良いお味。

  • 香ばしく、熟成感のある味噌

特別な食材が手に入ったので、今回だけは気合いを入れて作ってみました。カボチャだけは冷凍品を使って時短です。

作り方は簡単。土鍋でだし汁を沸かし具材を煮て、再度沸いたら麺と味噌を入れて煮込むだけ。具材、麺、味噌の入れるタイミングについてはきっと家庭ごとの流儀があるのでしょうね。

味について、新しい発見が一つ。できたてもおいしいですが、食べ終わるころはまた格別なんです。鍋の汁にほうとうの粉が溶け出し、ホロホロに煮崩れたカボチャが加わり、とんでもなくうまい食べ物に変身するなんて。

ほうとうのことを深掘りしてみた

ものの本によると、小豆の汁で麺を煮込む「粉ほうとう(小豆ほうとう)」という料理もあるらしい。お祝いごとの折に食べるそうです。もしかして、甘い赤飯って山梨県民の甘口好み文化に由来するのでしょうか。

さらに、かつて山梨では、女の子は小学校高学年ごろから食事の準備を手伝うようになり、ほうとうやうどん打ちを覚えたと書いてありました。

東京・多摩でも「うどんぐらい打てなきゃ嫁に行けない時代があったのよ」と聞いたことがあります。でも今は市販品があるし、「女の子だけほうとうを打ってね」というのは時代遅れ。男子も女子もほうとうぐらい作れなきゃ。

  • ほうとうを自宅で楽しもう

そうそう、味噌屋さんに教わったレシピ以外を見ても、材料にカボチャがたいてい入っています。なんでも、山梨には「うまいもんだよ、カボチャのほうとう」という言い回しがあり、何かがうまくいくことを、カボチャがほど良くほうとうに溶けだすのに例えているらしい。

いい感じに煮えていくカボチャを見ながら言ってみたいね!

筆者プロフィール: 木村悦子

出版社勤務後、編プロ「ミトシロ書房」創業。紙・Webの企画・編集・執筆を行う。著書に『入りにくいけど素敵な店』『似ている動物「見分け方」事典』など。関心領域は、食文化・動物学・占いなど。