• 化学療法の直前に集結した「大花ファミリー」=19年5月4日、東京グランド花月の楽屋にて

ファミリーの大黒柱でありながら、取材対象者にもなった花子。この密着を、神林氏はどのような心境で行っていたのか。

「2つありまして、1つは『グッディ!』の立ち上げからの精神として、そのことを知らなかった人たちが、発表することによって初めて、何か行動に移せることがある…というものがあるんです。花子師匠がどういう病を患い、それをどう乗り越えて今ここにいるんだということを伝えるのは、僕にしかできないことだという使命感と責任感ですね。もう1つは、僕にとって花子師匠は第二の母であり、本当に叱られたりもしてきて人生の師匠でもあるので、僕にしかできない“親孝行”なんだという思いです。師匠たちのために、何かできることがあればという気持ちで、毎日やり取りしてきました」

しかし、近い存在だからこそ、撮影を躊躇(ちゅうちょ)する場面も。そんなときは、「花子師匠が察してくれて、『エムちゃん、これ撮っといて』って言ってくれるんです。それまでは、『ここはどうしようか…』と悩むところがいっぱいあったんですが、花子師匠がその迷いを取っ払ってくれました」という。

それを象徴するのが、前編で登場する“オムツかぶれ”のシーンだ。かぶれた部分を見るため、花子のオムツを脱がすところまで映している。「最初は、お尻が出てると思って、カメラを回せなかったんですよ。でも、花子師匠が『エムちゃん、ちゃんと撮っといて撮っといて』と言ってくれて、撮影することができたんです」。

  • (C)フジテレビ

また、日頃から花子自身が撮影している動画や写真を送ってきてくれるそうで、病室に来た大助や仲間たちとの様子を映したものを、番組でも使用している。「今日も『病院で似顔絵を描いてもらった』って写真と動画が送られてきました(笑)」と、神林氏のことをいつも気にかけているようだ。

■命の危機を乗り越えた奇跡

テレビ収録や舞台に上がると、闘病中でもそれまでとは打って変わって背筋がピンと伸びる花子は、密着のカメラを回しても「めちゃくちゃ元気になるんです」とのこと。「やっぱり舞台人なので、具合が悪い姿を見せて笑えなくなるのが嫌なんだと思います。そういうところで、弱いところは一切見せないですね」と芸人魂を感じている。

前編の見どころを聞くと、「会見までにたどり着くまでの舞台裏です。僕は、本当に亡くなってしまうかもしれないと思っていたので、命の危機を乗り越えた奇跡の生還を見てほしいです」と力強く語った。

  • 神林紀行ディレクター