2019年 第93回「キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式が11日、東京・文京シビックホールで行われ、受賞者の瀧内公美、池松壮亮、池脇千鶴、成田凌らが出席した。

  • 左から鈴鹿央士、池脇千鶴、池松壮亮、瀧内公美、成田凌、関水渚

    左から鈴鹿央士、池脇千鶴、池松壮亮、瀧内公美、成田凌、関水渚

映画誌『キネマ旬報』が主催する「キネマ旬報ベスト・テン」は、今年で93回目の開催。その年を代表する日本映画、外国映画をそれぞれ10本挙げるほか、主演男優賞や主演女優賞、新人男優賞、新人女優賞などを、映画評論家や映画記者らが選出する。

日本映画ベスト・テン第1位となった荒井晴彦監督の『火口のふたり』で柄本佑相手に激しい濡れ場を披露した瀧内公美が主演女優賞を獲得。瀧内は「この作品は、私が今までお世話になっていた事務所を退所してフリーになった時に声をかけていただいた作品です。こうれからどうしようと思っていた時にこういう作品をいただけたので、やってみようと思いました。(所属事務所の)社長に『思いっきりやるんだよ』と背中を押してもらいました」とオファー当時を振り返った。

続けて、「色んな人に感謝したいんですが、この作品はほとんど(柄本佑と)2人の映画で、お相手役をしてくださった柄本さんがいたから今日があるんだと思っています」と感謝し、荒井監督についても、「こういう場所に連れて来てくれたのは荒井さんです。(撮影中は脚を)しならせるんだとよく言われました。毎日湿布を貼って首と腰が痛くなった作品ですね(笑)」と濡れ場における演出の厳しさに身体も悲鳴をあげていたそうだが、「荒井監督はお話を聞いてくださる方だったので、すごくやりやすかったです」と印象を語った。

主演男優賞には、『宮本から君へ』で主演を務めた池松壮亮が選出。「僕が演じた宮本というキャラクターは、正しくないことに対して声を出し続ける男です。みんなが鼓舞されて何とかやり遂げることができたと思います。みんなで戦った日々の勲章としてこの賞をいただけたとともに、池松から宮本へこの重みの賞を捧げることができたらと思います」と受賞を喜び、「多分今日は(トロフィーを)抱きしめて寝ると思います」と喜んだ。

また、日本映画脚本賞を受賞した阪本順治監督の『半世界』に出演した池脇千鶴が助演女優賞を獲得。「キネマ旬報ベスト・テン」は、第73回(1999年度)に『大阪物語』で新人女優賞を受賞して以来となる。「基本男3人の映画なんですが、阪本監督が1人の女として妻として母として人間としてきちんと描いてくださいました。それが映画に反映されての評価なのかなと思っています」と自分なりに分析しつつ、「小さめの映画で私の出番もあまり多くありませんでしたが、こうやって評価していただけて、映画の神様は見てくださっているのかなと思います」と笑顔。初めて組んだ阪本監督については「もっと怖そうな印象がありました」と本音を明かしつつ、「接するとダジャレを言ってくれますし、ものすごく愛の深い監督さんでした。すごく厳しいんだけども、キャストを見つめてくださって楽しかった思い出がいっぱいありました」と撮影を振り返っていた。

第93回「キネマ旬報ベスト・テン」受賞一覧

  • 日本映画ベスト・テン第1位『火口のふたり』(荒井晴彦監督)
  • 外国映画ベスト・テン第1位『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督)
  • 文化映画ベスト・テン第1位『i-新聞記者ドキュメント-』(森達也監督)
  • 読者選出日本映画ベスト・テン第1位『半世界』(阪本順治監督)
  • 読者選出外国映画ベスト・テン第1位『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督)

  • 日本映画監督賞:白石和彌監督『ひとよ』『凪待ち』『麻雀放浪記 2020』
  • 日本映画脚本賞:阪本順治監督『半世界』
  • 外国映画監督賞:トッド・フィリップス監督『ジョーカー』
  • 主演女優賞:瀧内公美 『火口のふたり』
  • 主演男優賞:池松壮亮 『宮本から君へ』
  • 助演女優賞:池脇千鶴『半世界』
  • 助演男優賞:成田凌『愛がなんだ』『さよならくちびる」』ほかにより
  • 新人女優賞:関水渚『町田くんの世界』
  • 新人男優賞:鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』『決算!忠臣蔵』
  • 読者選出日本映画監督賞:阪本順治『半世界』
  • 読者選出外国映画監督賞:トッド・フィリップス『ジョーカー』
  • 読者賞:ライムスター宇多丸、三沢和子 連載『2018年の森田芳光』
  • 特別賞:和田誠(映画の素晴らしさや愉しさを広く伝え、多くの映画ファンを育てた功績に感謝をこめて)