初回視聴率19.1%という好スタートを切った長谷川博己主演のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)。智将・明智光秀の青年期を、若々しく演じた長谷川は、視聴者からウェルカム体制で迎えられた。その勢いに乗って26日に放送される第2回「道三の罠」では、4K撮影やドローンが活きるド迫力の合戦シーンが展開される。落合チーフ・プロデューサーに、第1回を振り返りつつ、第2回の見どころについて聞いた。

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    『麒麟がくる』第2回の場面写真

■第2回で本格的な合戦シーン

落合氏は初回を振り返って、「第1回は、普通の青年、光秀が旅をする話でしたが、視聴者のみなさんはとても深く入って見ていただけたなと。ある意味、プロローグの回で、地味さもあった第1回でしたが、それを『おもしろかった』と言ってくださったのがうれしかったです。視聴者の方の見る力はすごいなと思いました」と視聴者の反応に喜び。

第1回で野盗との戦いはあったが、本格的な合戦シーンは第2回に登場する。「戦国時代といえば合戦シーンとよく言われ、普通は第1回に盛り込みますが、今回はそれをやらなかった。まずは、光秀に感情移入してもらうことを優先し、第2回に合戦シーンを持ってきました。いわば第1回が前編で、第2回が後編。本当なら120分で全部を見せるところを、分けたような感じでしょうか。また、第1回と第2回では、けっこう内容も連動して描かれています」

■原始的かつ牧歌的な戦いに注目

『麒麟がくる』は、大河ドラマ第29作『太平記』(91)の池端俊策氏によるオリジナル脚本。池端氏は、『信長公記』だけではなく、さまざまな文献や資料を読み込み、なるべく史実に基づいたリアルな戦国時代を綴ろうと取り組んでいる。そういうこだわりが強く感じられるのが、第2回で描かれる市街戦のシーンだ。

「『真田丸』『葵 徳川三代』などで描かれた関ヶ原の戦いでは、平原で馬同士が戦ってきましたが、関ヶ原より50年前の時代なので、もう少し原始的かつ牧歌的な戦いです。織田信秀はしょっちゅう攻めこんできていて、もはや戦いが日常。1年に1回くらい戦争をしているので、ある種ののんきさもふんわり出ていると思います」

当時の合戦は、短期決戦というよりは長期戦だったようだ。「ハリウッド映画だと密度の高い戦闘がエンターテインメントとして描かれますが、実は本当の戦争はもっと緩やかで、半年間くらいずっとやっていたりします。人間は戦えば疲れちゃうし、24時間ずっと戦えるほどタフじゃない。2時間攻めたら疲れます。いわゆる戦国時代幕開け時の戦いなので、通常の戦国ものとは違い、新鮮なんじゃないでしょうか」

とはいえ、無数の矢が空から降ってくるシーンをはじめ、兵士が火だるまになったり、鎧を着たまま死体となって浮かんだりと、戦争の無残さはきちんと描き出している。撮影は茨城県のオープンセットで行われた。「10月に確か1週間くらいかけて撮りました。奥はCG処理をしていますが、ちゃんとセット内で戦っています」

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■ドローン撮影で臨場感あふれる映像に

ドローンの撮影により、臨場感や迫力もさらにパワーアップ。「最近、ハリウッド映画でもみんながドローンでの撮影を取り入れています。要するに、最初はヘリコプターの空撮だったものが、ある時代からラジコンヘリでの撮影になり、そのあとのドローンになると、軽量で小さいからより近接した空撮が可能になりました」

要するに、ドローンによって空撮の危険性が少なくなったことが大きいのだ。「たとえば、ラジコンヘリだと、法律などいろんな理由であまり近くに接近できなかったんです。もしも落っこちて当たると、6~10kgくらいあるので大変なことになってしまう。でも、ドローンなら1kg以内のものもあるので、近接ができます」

戦国時代は、ずっと戦い続けた時代だったという。「そういう営みなので、平和という意味が今とは少し違うのかなと。俺の人生って一体なんなんだと、悲しみや絶望みたいなものも感じていただけるといいなと思います」

第2回では、合戦シーンが入ることでより武将たちの個性と魅力が際立つと共に、光秀の戦国武将としての葛藤も描かれる。また、後半では、驚くような展開が待っている。

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■プロフィール
落合将(おちあい・まさる)
1968年神奈川県生まれ。1992年にNHK入局。主なプロデュース作品に、連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』、大河ドラマ『平清盛』、連続テレビ小説『とと姉ちゃん』など。演出作品に『僕はあした十八になる』など。

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