もうすぐやってくる、2020年のお正月。新年の風物詩の1つに「お年玉」がありますが、実はちょっとした工夫をすることで、子どもたちが金融知識を身につける良い機会となります。
今回は、最新のお年玉事情や、お年玉を活用した「お金の教育」についてご紹介します。
お年玉の金額相場はどれくらい?
まずは、お年玉の相場についてチェックしていきましょう。「お年玉に関する意識調査2019」(住信SBIネット銀行)によると、叔父叔母や祖父母などが1人につき渡すお年玉の額は、小学生未満で「1,000 円以下」、小学校低学年で「~3,000円」、小学校高学年で「~5,000」円が最多となっています。
また別の調査※でお年玉の合計金額(1人あたり)について見ていくと、小学生が平均1万9,386円、中学生が平均2万6,529円、高校生が2万2,579円となっています。
お年玉の金額は、小学生から中学生になると大幅にアップしますが、高校生になると減少する傾向が見られました。高校生は、アルバイトなどにより、自分で自由に使えるお金をある程度持っていたり、受験を控えて、お正月に親戚で集まる機会が減ったりすることが、理由として考えられるようです。
お年玉は「お金」を勉強する絶好のチャンス
特に小学生など、普段大きな金額を手にする機会が少ない子どもたちにとって、お年玉はお金の使い方を勉強する絶好のチャンスです。お年玉をきっかけにして、子どもの金融リテラシーを高める「お金の教育」に取り組んでみてはいかがでしょうか。
まず子どもに教えたいのは、「お金は働いた対価としてもらえるもの」だということ。お父さんやお母さんが毎日一生懸命働いていることによって、お給与をもらうことができるという、社会の一般的な仕組みを説明します。"お給与"という概念を知ることで、「お金を大切に使う」という意識が生まれるでしょう。
また、お年玉の使い方を親子で一緒に考えてみましょう。「お年玉の半分は先取り貯金をし、もう半分で欲しかったゲームを買う」など、マネープランを立ててみるのもオススメです。無計画に使ってしまうと、本当に欲しい物が買えなくなってしまったり、貯金ができなくなったりすることを教えます。
さらに、お年玉をきっかけにして、お小遣い帳をつけてみるのも良いでしょう。買い物をした場合は、レシートをとっておき、何にいくら使ったかをお小遣い帳に記入します。
マネープラン通りにお金を使えているか、残金はいくらかなど、目に見えるように記録することで、お金に対して、より意識が高まるでしょう。子どものうちから習慣化すれば、将来的に、毎月しっかりと家計簿をつけるなど、お金の管理が上手な大人になる可能性が高くなります。
資産運用にも挑戦してみよう
高校生など、年齢が高い子どもたちは、資産運用にチャレンジしてみるという方法もあります。この時、19歳までの未成年の子どもが利用できる「ジュニアNISA」(未成年者少額投資非課税制度)を活用できるといいですね。毎年80万円まで、非課税で投資をすることができますよ。
資産運用とは何か、投資信託とは何か、景気が良いとどうなるかなど、実践で学ぶことは、子どもたちにとって大変有意義な金融リテラシー教育です。資産運用をきっかけに、もしかすると新聞や経済ニュースにも興味を持つかもしれません。
また、今まで資産運用を行っていなかった親にとっても、子どもと一緒に運用を始めるチャンスですね。 まずジュニアNISAについて詳しく知りたい方は、金融庁のホームページを確認してみましょう。
子どもに正しい金銭感覚を身につけさせるために、2020年のお正月は、家族みんなで、お金の勉強からスタートしてみてはいかがでしょうか。
※「学研教育総合研究所」(小学生白書Web版2017年8月調査/中学生白書Web版2017年8月調査/高校生白書Web版2018年9月調査)
下中英恵
女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャル・プランニング技能士)。第一種証券外務員、内部管理責任者。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は東京において、資産運用や税制等多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っている。