――押田さんのゲイツと、変身後のゲイツのイメージをシンクロさせるため、特に注意しているのはどんなことでしょう。

岳くんの細かい仕草、クセなどを見て自分の動きに反映させる、といった細かい部分はいろいろとありますし、それはやって当たり前の部分なんです。その上で重視しているのは、立っているときの何気ない姿勢であるとか、雰囲気を合わせることですね。「形」ではなく、岳くん本人がかもし出している"空気"と同じものを変身後でも表現するよう努めました。

――ゲイツを1年間演じられたことで、スーツアクションにどのような変化が生まれましたか?

「カメラがいまどこを撮っているか」を意識するようになりました。これまでは今以上に不慣れでしたから、敵と戦っているシーンの撮影中は、キャラクターの目線が敵のほうにだけ向かっていて、今カメラで自分が捉えられているのかどうかを飛ばしてしまっていたんです。後でオンエアを観たときに「このカット、もっとカメラにキャラクターの"目"を見せるように動いていればよかった」と思ったりして、だんだんと映る「角度」を意識してアクションを見せるようになっていきました。

――仮面のキャラクター同士の戦いですが、そこは素面の俳優さんと同じように考えるべきなのでしょうね。

仮面だと表情が出せませんから、動きもちょっと"増し"で見せないとなかなか伝わらないですけれどね。演じる僕たちの「熱」や「思い」を増すことで、どこまでキャラクターにより豊かな表情が宿るのかどうか……。どこを"境目"にすればいいか、探りながらやっている感じです。「気持ちを込めたアクション」と「画面で効果的に見せるテクニック」のどちらも必要なんだと思います。

――歴代「平成仮面ライダー」でほとんどの"主役ライダー"を演じられてきた高岩成二さんに代わり、縄田さんが仮面ライダーゼロワンに抜擢されたというのはファンの間で大いに話題となりました。「次の主役ライダーを」と言われたときの縄田さんのお気持ちを聞かせてください。

事務所から電話で知らされたんですが、聞いたときは単純にうれしかったです。昔から「主役」を演じることに憧れを持っていましたからね。でも、後からだんだん「ええっ!?」みたいな驚きと戸惑いの感情が押し寄せてきました。

――高岩さんの後ということでプレッシャーを感じられたりしましたか?

それはもう、絶対に比べられますし、高岩さんに追いつけていない部分もわかっていますから。でも今では「覚悟」を決めたというか、もう「やりきるしかない!」と思うようになりました。

――ゼロワンのスーツは、硬質なアーマーを着けたやゲイツと異なって"しなやか"に動くイメージがあります。演技をされている縄田さんとしてはどのような違いを感じられましたか。

一体型のスーツにパーツを貼りつけるタイプになったんです。これによって腕を胸の前で組めるほど柔軟性が高まりました。せっかく腕が組めるのだから、そういう決めポーズを作ろうとしました(笑)。

――黒いベースに黄色いマスクを合わせた顔がすごく小さい印象なので、手足の長さが目だってプロポーションがすごくいいですね。

マスク造型の際、僕の顔のサイズを測ってもらっていますから、被ってみるとほとんどスキマがないんですよ。

――ゲイツと比べて、動きやすさの面ではいかがですか?

一体型であるゆえに、腕や足を延ばしたとき少し引っ張られるような感覚があり、最初のころは苦労しました。今はずいぶん慣れてきて、違和感はありません。

――『ゼロワン』からテレビシリーズのアクション監督を務める渡辺淳さんの、演出の特徴を教えてください。

淳さんは、撮影前の段階でアクションのアイデアをVTRコンテとしてまとめ、それをベースにして演者たちと一緒にアイデアを膨らませ、時間をかけて映像を作っていくんです。今まで観たことないようなアングルを試してみるなど、すべてのアクションシーンに熱を込めて、工夫した映像を作ろうと意欲を燃やしています。