ラランドの漫才はテンポが早く、ボケの手数が非常に多い“しゃべくり”スタイルだが、「私たちはネタを作ると最初は7~8分のができちゃうんです。そこからギュッと詰め込んでいるので必然的にボケ数が多く見える」(さーや)というのが、その理由だそう。

それに加え、さーやは「社会人になって自分たちを商品として見る目が備わってきた部分もあると思います」と、ネタ作りに変化が。「『ファンベース』(佐藤尚之著)という、広告界隈の人がみんな読んでる本があるんですけど、どういうところに刺すために何をしたらいいのかを意識するようになりました。また、今までお笑いのコアファン向けに作っていたものを、だいぶマス向けにしたというところはある気がします」と、養成所では得られない強みが生かされた。

さらに、アマチュアの大会に出場した際、心に突き刺さるダメ出しをもらったことも転機に。「あんまりニシダのツッコミに文句言ったことはなかったんですけど、『もうちょっと印象に残るようにしよう』って提案したら、ニシダも『俺もちょっと悩んでたんだよね』って言ってくれて」(さーや)。こうして改善を重ねた結果、これまで2回戦止まりだった『M-1』で、今回一気に準決勝まで勝ち進むという躍進を遂げたのだ。

■芸人であることを家族に黙っていたが…

さーやの勤務する会社は、芸人との両立について理解があるそうで、「むしろ人事の人は“二足のわらじ”を面白がってくれて、それをリクルーティングに活用しようとしてたくらい(笑)」とのこと。それだけに、今回『M-1』で準決勝まで勝ち上がったことで、反響も大きかったといい、「売れたらお前をキャスティングできるから頑張れ」と期待をかけられている。

一方のニシダは、芸人をしていることを家族に黙っていたそうで、勘付いた妹に突然「ゾフィーって会ったことある?」と聞かれても、「ハーフタレントですか?」としらを切っていたそう。だが、ちょうどこのインタビューの日の朝に「親に『M-1落ちたんでしょ?』って言われました」とバレたそうで、「準決勝まで行くと親バレするんですね(笑)」と苦笑いしていた。

2人にお笑い遍歴を聞いてみると、ニシダは「中学生のときから地下のお笑いライブに行ってました」というほどのお笑い好きだったが、芸人になりたいという思いは持っていなかったという。漫才を披露するのも、大学のサークルに入って初めてだった。それでも、「クラスの中心メンバーじゃないですけど、ちょけたりしてましたね(笑)」と振り返る。

さーやは、幼少期から『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ)のビデオを何度も見て育ち、中学生時代に文化祭で初めて漫才を披露すると、「それでプロになりたいと思いました」と自覚。高校を卒業したらNSC(吉本興業の養成所)に入ろうとも考えていたそうだが、「親に『大学には入ったほうがいい』って言い負かされました」と進学した。

2人とも中高6年間、男子校・女子校にそれぞれ通っていたが、さーやは「異性の目を気にしなくていいので、お笑いをやりやすい環境があると思います」と分析する。