これまで『宝石の国』や『はねバド!』など、数々のTVアニメの主題歌を歌唱してきたアニソンシンガー・YURiKA。彼女の約1年ぶりとなる待望のニューシングルは、TVアニメ『BEASTARS』のEDテーマに起用された「Le zoo」。

  • YURiKA(ゆりか)。10月29日生まれ。埼玉県出身。東宝芸能所属。4歳でピアノをはじめ音楽に触れて育ち、小学6年生でアニソンシンガーを目指す。2014年に日本テレビ『歌唱王』に出演し全国6位、NHK『第1回アニソンのど自慢G』優勝、2016年埼玉県坂戸市で行われたNHK『のど自慢』優勝。2016年「第一回TOHO animation RECORDS 次世代アーティストオーディション」に合格し、2017年1月放送TVアニメ『リトルウィッチアカデミア』OPテーマ「Shiny Ray」でメジャーデビューを果たす
    撮影:稲澤朝博

ミドルポップを優しく温かく歌うそのボーカルは、今まで以上に心にスッと沁み渡るものに進化していた。今回は、2種リリース・全5曲の新曲についてはもちろん、その進化の原動力についても語ってもらった。

■この1年、YURiKAが目指してきた”ひとつのもの”とは

――シングルのお話の前に、先月のバースデーライブのお話をお聞かせください。オリジナル曲でのワンマンライブは2月以来でしたね。

今回は『BEASTARS』で約1年ぶりにアニメの主題歌をうたわせていただけるということで、新しいYURiKAを魅せたいという意味で”UPDATE”というタイトルをつけたんです。実際にライブが終わって自分でも進化を感じられた部分もありましたし、実際にライブの中でも、事前に意味を持って考えてきたことを実現できて。お客さんにも、イメージしていたことを伝えられたんじゃないかなと思っています。

――まさに、ライブ全体を通して歌声が”UPDATE”されていた印象を受けました。

ただ、実はこの1年は、私自身としては足踏みしているような感覚があったんです。

――足踏みですか?

はい。今回の『BEASTARS』の主題歌のお話自体は今年のはじめ頃にはいただいていたんですけど、そこまでの過程は自分たちで作り上げていくしかなくて。こういう経験は初めてだったので、すごく長く感じていました、逆に言うと、この1年は「『BEASTARS』につながるように」ということを考えながら、ライブとかの活動をさせてもらっていたんですよ。

――その間の経験が、実際に先日のワンマンや「Le zoo」の制作に生きた部分もありましたか?

ありました。特に大きかったのは、Keyさんのカバーライブやカバーミニアルバム『ただいま。~YURiKA Anison COVER~』ですね。他の方の人気曲をお預かりして歌わせていただくので、必然的に楽曲の幅も広くなってくるじゃないですか? それを自分の歌声にいちばん合うように表現するにはどうすればいいのかな?と考えたことは、とても勉強になりました。それに、元々は表題曲を通じて「元気で明るい」みたいな印象を持っていただくことも多かったんですけど、いろんな曲をカバーさせていただくうちに「ファルセット、いいね」と言っていただくことも多くなって、自信も付いてきて。新たな武器にしていきたいなと思うようにもなったんです。

――では、続いて、アニメ盤収録の3曲がすべてEDに起用されている『BEASTARS』への印象をお聞かせください。

ひと言でいうならば「オシャレでかっこいいな」という感じですかね。物語自体は肉食動物と草食動物が共存する世界のお話なんですけど、たとえば肉食から草食に対してのコンプレックスが、読者にも共感できるような形で葛藤としてしっかり描かれていて。しかも学園モノでもあるので、学生としての葛藤もあり、いろいろなことを考えるきっかけになるたくさんの魅力が詰まった作品だと思います。

■今だから挑戦できた、優しくて温かな曲という新境地

――そんな『BEASTARS』のEDですが、まず「Le zoo」は表題曲としてはもちろん、今までのYURiKAさんの持ち歌自体にないようなジャンルの曲ですね。

作品を読んだときには、ED曲を「眠れる本能」みたいな「ちょっとアッパーでオシャレな大人っぽい曲が来るのかな?」と勝手に予想していたのもあって、最初に聴いたときは「温かい曲だなぁ」と思って。ちょっとカントリーみたいで優しく包み込むような感じのする、”ぬくもり”を強く感じられる曲なんですよ。なので、そのときから無理にはかっこつけず、等身大で歌えたらいいなと思っていました。

――おっしゃるように、非常に温かくて優しい曲になっていますが、レコーディングのときにもそういった要素を重視して歌われたんでしょうか?

そうですね。レコーディングには作編曲してくださった神前暁さんもいらっしゃってディレクションしていただいたんですけど、地声でも出るけれどもあえてファルセットを使ってみるような歌い方もしたんですよ。自分の声質が、普通に歌うと突き抜けてしまいがちなので、サウンドの力も借りながら歌い方も変えて、曲全体を丸くしてもらった感じはあると思います。

あと、最後の「オワオ」っていうコーラスは、神前さんをはじめいろんな方々に歌ってもらっていて(笑)。そこからも「みんな違ってみんないい」じゃないですけど、いろんな人がひとつのものを作っているっていう感覚を味わうことができました。歌いやすいメロディだと思うので、ライブではぜひみんな一緒に歌ってほしいです!

――また、歌詞のなかで気に入られた部分はありますか?

ところどころ「吠える」とか「檻」みたいに動物を感じさせる部分もあるんですけど、その中にある「おはよう おやすみ お揃いの言葉を」っていうフレーズって、草食と肉食が共存している世界だからこそ言えることだと思うんですよ。そう考えると、本当に深い歌詞ですよね。あと、歌詞は実は、最初から完成形まで変わっていく過程も見させていただいていたんですよ。すごく珍しいことだと思うんですけど、自分的にはとてもありがたいことで。おかげで、より歌詞も大事にしたいなという思いも生まれました。

――そして、「Le zoo」ではMVも撮影されました。

はい。今回はレゴシが演劇部というのもあって、MVの中で私も芝居を作る裏側を演じたりしていまして。美術をやり、メイクも大道具も衣装もやり、役者もやるという(笑)。

――台本を持ちながらのシーンもありますからね。

そうなんです! あれ、作中の新歓公演の主役・アドラーになろうとしているんですよ。あと細かいんですけど、上から垂れ下がっている星のオブジェはED映像にも似たようなものが出てきますし、頭につけている花飾りのところにはヘアメイクさんのアイデアでちっちゃい動物をつけてもらって……いろんな人が「作品と寄り添う」という私のスタンスを大事にしてくれているなって、改めて思いました。

――終盤の、ドレスを身にまとった夜のシーンの雰囲気も、また素敵なものでした。

ただ、落ちサビのあたりで階段を下りてくるカットは、ヒールが高くて最初ちゃんと歩けなかったんです。しかもその日は小雨交じりの天気だったので滑りやすかったうえに、暗かったのではじめは一段ずつ確認しながら歩いていたんですよ。そうしたら、監督から「そこは堂々といきましょう!」と言われ(笑)。でも完成版を観たらすごく素敵な雰囲気の映像になっていたので、よかったです。