――精密ディテールで大人ユーザーの体にもマッチする外観に加え、変身音再現、主要BGM、さらに主演俳優のセリフが入るといった「音」の魅力もCSMの特徴となりましたね。

DXで出来なかった音声をCSMに取り入れようと試みた「CSMカブトゼクター」から始まり、2015年の第6弾「CSMディケイドライバー」(仮面ライダーディケイド)ではDX以上にいろいろなカードを読み込めるようにした上、BGMを鳴らす機能を加えました。これが好評だったのを受けて、それまでリクエストNo.1だったファイズギアの商品化にも音声ギミックを充実させるようになったんです。

「CSMファイズギア」では、「完全新規金型」「無線通信ギミック」「キャストボイス収録」といった初の試みを行い、ヒット商品となりました。このご好評を受ける形で、以後のシリーズも「より本物を感じさせる」アイテム作りをしていこうと方針が決まりました。このとき僕は前任者のやっていることを横目で見ながら「ああ、これは本物っぽくて楽しい商品だな」と思っていました(笑)。やがてCSM担当を受け継ぐと、「今まで以上に"ギミック"をテレビ本編と同じにしていこう」と決めて開発に携わりました。

――フナセンさんが担当されてからCSMシリーズに導入したギミックには、どんなものがありますか?

「NEWデンオウベルト」から「変身解除音」を入れたことでしょうか。

もともと「仮面ライダー」ファンであるがゆえに、劇中でやっている動作はひととおり全部できるようにしたいと思いました。私が担当し始めてから、商品に収録する音声の「容量」が規格外になっていきます。デンオウベルトにはイマジンのセリフをたくさん入れないと……とこだわりましたので、DX版だとトータル100~200秒というところ、CSMだと「30分」音声が入る容量のICを組み込みたい、と希望したんです。

ベルト商品にキャストの音声を収録すること自体は以前からあるので革新的ではないですが、私が担当になってから「収録時間」が飛躍的に増えた形になります(笑)。単純にボタンを押したら音が鳴る、というものではなく、変身や必殺技の動作に紐づいてワード音声が聞こえるといった遊び方は、このシリーズだからこそ煮詰められることだと思いました。

――新規に音声を収録された役者さんの中には、10数年ぶりに当時のキャラクターの声を出す方もいらっしゃるようですが、フナセンさんは事前にテレビシリーズや劇場版の映像ソフトをチェックして、しゃべりのニュアンスまでも当時と同じ風にリクエストされているとうかがいました。

例えば第17弾「CSMカイザギア」で仮面ライダーカイザ/草加雅人役の村上幸平さんに音声を収録していただいたとき、やはりユーザーさんが「草加といえばこの言い方だよね」というイメージを持っていますから、テレビのあのままの感じで音声を入れたいと思い、かなりこだわってディレクションをさせていただきました。

ある種、当時の「ものまね」になってしまうということで、演者として失礼にならないか、という部分もありますので、収録冒頭に企画意図を説明させて頂き、ご納得いただける方にはそのようなディレクションをさせて頂いております。

――村上さんはマイナビニュースで行ったインタビューの収録時にも、「ゲームで草加の声を入れたとき『草加に似てない』とファンに言われたから、こんどは"似せて"声を出してます!」とお話してくださいました。

村上さんはカイザ愛が強いですし、プロモーション的にもいろいろご協力くださって、とてもありがたかったですね。

――「CSMカイザギア」といえば、カイザフォンに装着可能な「カイザブレイガン」が付属する関係で、パッケージがとてつもなく巨大になったのもファンの間で話題を呼びました。大きいだけあって、部屋にパッケージを置いたときの存在感にはとてつもないものがありましたが、パッケージビジュアルにもフナセンさんのこだわりポイントがあったりしますか。

センスよくカッコいいビジュアルを使うよう心がけ、ポスター的に部屋へ飾っても映えるようなものにしたいと思っています。第20弾「CSM Vバックル&ドラグバイザー」(仮面ライダー龍騎)のパッケージでは表面に13ライダーを配置し、鏡が割れたようなデザインを配していかにも『龍騎』らしい雰囲気を出そうとしました。裏側には龍騎サバイブ、ナイトサバイブのビジュアルがあるんですが、裏なのでミラーワールドのように文字が反転しているとか。細かなネタを入れて作品の世界観を表現したいと思っています。

――いよいよ「THE HENSHIN」イベントが開催されますが、そこでは「変身ベルトの未来」というコンセプトアイテムの展示があるそうですね。フナセンさんとしては、今後どのような変身ベルト商品を作っていきたいとお考えですか?

CSM的には過去に放送された作品の変身ベルトをできるだけの種類、再現性の極めて高い物として作っていきたいということ、そして現在放送されている「仮面ライダー」シリーズを、東映さまと一緒に末永く作り続け、今の時代を生きている子供たちがひたすら楽しめる商品を生み出していく、ということを継続していきたいです。

――現在、第24弾「CSMアマゾンズドライバー」(仮面ライダーアマゾンズ)が最新作ですが、まだCSM商品化されていない仮面ライダー変身ベルトがあるんですね。今後、そういった商品化に期待をかけてもよいでしょうか?

もちろんです。今までと変わらず「変身ベルト」にみなさまが求めていることを、できるだけ具現化しようと思って開発に取り組んでいます。CSMにご期待されているファンのみなさまの声があるからこそ、われわれは新しい商品を作ることができます。改めてみなさまに感謝します。ご購入された方の「宝物」になるような商品を目標に作っていきますので、今後の展開にもより一層の応援をよろしくお願いいたします!

(C)石森プロ・東映