ポルシェは先頃、同社初の電気自動車(EV)となる4ドアスポーツカー「タイカン」を日本で初めて公開した。初めての電動ポルシェということで、乗るのが楽しみというファンも多いと思われるが、気になるのは日本における充電環境についてだ。

  • ポルシェの「タイカン」

    11月20日、ポルシェ・ジャパンは東京都内で「タイカン」を日本初公開した。販売は2020年後半からの予定。同日に始まった「期間限定タイカン予約プログラム」に登録すると、購入情報などが受け取れるという

「タイカン」は「Soul Electrified」(電動化された魂)

アンベールされたタイカンは、鮮やかなレッドカラーをまとった「ターボ」モデルだった。タイカンにはトップモデルとなる「ターボS」とスタンダードな「4S」も用意される。

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    「タイカン」と並んでいるのは、2019年8月にポルシェ・ジャパン社長に就任したミヒャエル・キルシュ氏

タイカンの技術的特徴についてプレゼンを担当したのは、ポルシェ・ジャパン マーケティング部 プロダクトマネージャーのアレキサンダー・クワース氏。京都の語学大学で学生時代を過ごし、奥様も日本人であるドイツ人のクワース氏は、流暢な日本語でタイカンを紹介した。

「タイカンは全く新しい世代を迎えるポルシェのアイコンとなるべきフル電動のスポーツカーであり、『Soul Electrified』(電動化された魂)です。間違いなく、本物のポルシェだと断言できます。エクステリアは伝統的なポルシェの特徴と、EVならではの特徴を随所に盛り込んだ、新しいスタイルを持っています。強く張り出したフェンダーや抑揚のあるボンネットがポルシェ伝統のデザインである一方で、EV化でエンジンスペースが不要となったためボンネットが通常より低く設定できたので、フェンダーとのメリハリを強くして、クラッシックポルシェのようなイメージとすることができました」

「フロントフェイスの重要なエレメントであるスリムなマトリックスビーム内蔵4灯式ヘッドライトは、その下にエアカーテンを備えています。そこから取り入れたエアーをホイールハウスに排出することでタービュランス(乱流)を抑え、あたかも車幅が狭くなったかのような低い空気抵抗値を実現しています」

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    左端がアレクサンダー・クワース氏

サイドビューは4枚のドアを持つセダンでありながら、後方に傾斜するルーフラインやパワフルなリアフェンダーは「パナメーラ」より「911」に近いデザインであり、スポーツカーそのものとして仕上げたのだという。また、EVであるため、リアにはエキゾーストシステムがなく、水平に伸びるガラス製ライトスプリットとガラスルックの「PORSCHE」ロゴがハイライトとなっている。

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    4ドアではあるものの、「タイカン」のサイドシルエットは「911」に近いデザインとなっている

インテリアは初代911をイメージさせる水平基調のデザインを採用。ドライバー中心の配置が行われた「アドバンスト・コックピット」と呼ぶインストルメントパネルが特徴で、ステアリング奥の湾曲した16.8インチディプレイ(3連丸型メーターを表示)、10.9インチセンターディスプレイ、ダイレクトタッチコントロール付きセンターコンソールとともに、画期的な4枚目のパッセンジャー用ディスプレイを搭載する。ほぼ全ての機械式スイッチがデジタル式に変更となっているのも特徴的だ。

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  • ポルシェの「タイカン」
  • 初代「911」を連想させる水平基調のインテリアデザイン。助手席にもディスプレイが付いている。中央のセンターコンソールを操作していると、「エレクトリックスポーツサウンド」のon/offを切り替えられることが分かった。どんな音を聞かせてくれるのかも楽しみだ

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    ステアリングの奥には3連丸型メーター

「タイカンが特別なのは『ピュアポルシェ』だからです」。前後アクスルにそれぞれ搭載した電動モーターと、EVとしては初搭載となる後輪用2速トランスミッションによる走りの完成度について、クワース氏は「異次元のパフォーマンス」だと胸を張る。実際、ターボSは停止状態から時速100キロまでの加速(ゼロヒャク加速)がわずか2.8秒という性能を誇る。最高速度は時速260キロを実現。ローンチコントロールを使用したオフブースト時には、最高出力761ps、最大トルク1,050Nmを発生する。

確かに高性能なタイカンではあるが、そのスタミナにもクワース氏は自信を示す。同氏によれば、タイカンは停止状態から時速200キロへの加速を26回繰り返しても、タイム差を1秒未満に抑えることができるという。過酷な条件でも安定した性能を発揮できることは証明済みというわけだ。

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    ヘッドライトの下にはエアカーテンが

「CHAdeMO」対応の急速充電器を開発

充電システムについては、発表会場に展示されていたタイカンが欧州仕様だったため、軽く触れるとオープンするフェンダー左右の充電ポートはユーロ対応のものだった。日本モデル導入時には、運転席側(右側)が普通AC充電ポート、左側が「CHAdeMO」対応の急速DC充電ポートになる予定だという。

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    充電ポートは日本仕様と欧州仕様で異なる

クアース氏にタイカンの充電環境について尋ねてみると、「さまざまな調査や分析をしましたが、ポルシェのユーザーの8割は自宅で充電できる環境にあるので、近所の施設で恒常的に充電するようなケースは滅多にないと思います。必要なのは、急速充電の出力を上げて、充電時間を短くすることです。そのために今回、出力150kWのCHAdeMO対応充電器を開発しました。設置場所はポルシェの販売店、またはポルシェのユーザーが快適に時間を過ごせる場所を選びます。30分で80%の充電が可能なので、ライフスタイルに合わせた場所、そして、その時間をうまく過ごせる場所がベストですね」とのことだった。

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    日本市場向けに急速充電器を展開するとポルシェ・ジャパン

ポルシェ・ジャパン広報によると、搭載するバッテリーのシステム電圧は800Vと強力で、総合容量が93.4kWにもなるため、自宅に充電器を設置するためのソリューションやサポートはしっかりと行っていくとのこと。また、新たに開発した出力150kWの充電器は、ポルシェ正規販売店のほか、東京4カ所、大阪と名古屋に2カ所ずつ設置する予定だという。充電器にはポルシェのロゴが付くそうだが、これが目に入ると、他メーカーのEVに乗っているユーザーには少し、遠慮の気持ちが働きそうな気がする。そういう意味で、ポルシェマークの充電器は案外、充電渋滞が起こりづらいのかもしれない。

著者情報:原アキラ(ハラ・アキラ)

1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。