1週間前後で治るとはいえ、風邪を引くと超ツライ。インフルエンザとなると、心も体もしんどい。今年こそ予防したい! という人へお役立ち情報を紹介します。

お話を聞いたのは、女医でシンガーの木村至信氏(以下、キムシノ氏)。「今年は絶対に風邪を引きたくない」という患者さんには、ビタミンC摂取×ビタミンC注射の「ビタミンまみれ戦略」を提案し、例年高い防御率を示しているそう。

  • インフルエンザ予防はしていますか?

インフルエンザと風邪の違い

風邪予防については、こちらに詳しく書きましたが、風邪より怖いのがインフルエンザ。インフルエンザの流行が話題になる頃にはすでに予防接種ワクチンが在庫切れになっていることもあるので、早めの接種がお勧めです。

ただし、インフルエンザワクチンは重症化を防ぐものであり、感染を防ぐものではありません。さまざまな予防法も組み合わせて完全防御したいところ。

でもそういえば、インフルエンザってなんだっけ。風邪との違いが分かりません!

キムシノ氏 「まずは風邪から。風邪は、正式には風邪症候群と言い、さまざまなウイルスなどにより起こります。インフルエンザは、インフルエンザウイルスが病原体となったもの。風邪症候群より重症化しやすく、ウイルスの感染力も非常に強いという特徴があります。ウイルス表面には、タンパク質のトゲが突き出していて、人が吸い込むとのどの上皮細胞にくっつきます。

諸説ありますが、8~12時間以上くっついたままだと、そこで細胞増殖を開始しします。その増殖力がすさまじく、1個のウイルスが1日に1万個にもなるとも言われます」。

なんて恐ろしい感染力。予防方法ってあるんでしょうか?

キムシノ氏 「インフルエンザウイルスは、寒冷乾燥を好みます。日本の冬は空気が乾燥し、部屋を暖房することによりさらに乾燥が進みます。そのため、インフルエンザが流行するのです。その代わり、インフルエンザウイルスは高温多湿に弱いという性質があります。『温度20度以上、湿度50~60%』が実現できれば、空気中での感染力が下がることが分かっています。

この方法は、風邪のウイルスや細菌にも有効です。高温多湿の環境は、鼻やのどの粘膜の乾燥を防ぎ、もともと粘膜が持っている免疫力を維持してくれます。ちなみに、毎年話題になる『紅茶のインフルエンザ撃退効果』について科学的根拠は乏しいです。それより、漢方のほうが効果が期待できます」。

インフルエンザ予防には加湿器

ということは、加湿器はマストですね。選び方と使い方を教えてください!

キムシノ氏 「加湿器には、大きく分けて2つのタイプがあります。水を霧状にして拡散させる『超音波式』と、水を加熱してできる水蒸気にする『加熱式』です。お勧めは、これらを融合させた『ハイブリッド式』。そして、使い方に注意するポイントが5つあります。

1:水を毎日交換する
2:タンクを1日おきに清掃する
3:使いっぱなしにせず部屋を定期的に換気する
4:少し高いところに置く(湿気が広がりやすくなる)
5:湿度70%以上にしない(70%以上になると、加湿器の中に細菌やカビが育ち、長期間吸い込み続けることによりアレルギーを発症する恐れがある)

インフルエンザ予防を外出先でも

なるほど、家の中での予防法は分かりました。では、外出先などで注意すべきことって?

キムシノ氏 「職場に加湿器がないなら、濡れたタオルを干したり、複数のコップに水を入れて置いたりしましょう。水分をこまめに摂り、口の中を潤すのも有効です。空気の乾燥とは、空気中に水滴などの水分が少ないこと。せきやくしゃみなどで飛び出した飛沫が、遠くまで行きやすい状態です。飛散したウイルスを防御するために、マスクは必須。

帰宅したらうがいです。うがいのやり過ぎやうがい薬が濃すぎたりすることで、逆に粘膜を傷めることかあるため、水で20秒でOK。それから意外なのは鼻毛。抜きすぎると鼻の粘膜にある異物を排除する細胞を傷つけてしまいます。鼻毛って、風邪やインフルエンザ対策の味方です(笑)」

やはり、地道な対策が冬を健康に乗り切るコツのよう。やるべきことはたくさんありますが、体調を崩さずひと冬超えるのは、達成感があるものです!

取材協力 :木村至信(きむら・しのぶ)

女医。信州大学医学部卒業後、横浜市大医学部大学院にて医学博士取得。産業医・横浜市の往診耳鼻科医。夏バテの予防策や美肌、美声などについての監修仕事多数。 医師の傍らシンガーとしても活動中。