JR西日本は20日、定例社長会見にて新幹線の安全性向上に関する取組みについて発表した。同社はこれまで、車両・設備の安全性を向上するとともに、運行オペレーションに携る社員の対応力向上、台風や地震、豪雨など激甚化する自然災害への備え、セキュリティの向上といった取組みを行ってきたという。

  • JR西日本が新幹線の安全性向上に関する取組みを発表

新幹線車両の安全面では、走行中の新幹線車両の台車異常を地上の温度センサーで検知する台車温度検知装置を今年3月、徳山~新山口駅間の上り線に設置。今年度中に同区間の下り線にも1台、岡山~新倉敷駅間の上下線に2台の設置を予定し、来年度は6台を設置して順次、監視体制を確立する。

車上で台車の異常を検知するシステムは、空気ばね圧力により台車の異常を車両所で監視・分析する機能を今年3月末にN700系Aタイプの車両へ整備済み。N700系8両編成では、台車部品の振動によって検知するシステムの工事に着手し、その他の車種も検討を順次進めている。さらに、列車の走行音から異常を検知する技術の実証実験を実施した結果、検知できる見込みが立ったことから、今年度末頃の試行開始をめざしている。

運行オペレーションに携わる社員の対応力向上については、社員の教育・訓練のひとつとして、運転士・車掌を対象にした「Think-and-Act Trainig」に取り組んできた。今年度からは、客室乗務員や車両保守担当、パーサー・指令員も新たに訓練に参加。コミュニケーション力や連携力をさらに高める取組みを進める。

自然災害への備えと設備の強化については、これまでもハード・ソフト両面からさまざまな取組みを進めてきたが、台風19号による長野新幹線車両センターの浸水を踏まえ、改めて設備所在地の想定浸水深を確認し、さらなる対策を検討していく。

列車内や鉄道施設内におけるセキュリティ向上のため、警備員による警備、客室内への防犯カメラの整備も進められている。N700系Aタイプの車両はすでに整備を完了しており、「さくら」「みずほ」のN700系8両編成も今年度末までに完了予定。あわせて地上の重要設備の警備強化や、テロ・犯罪の発生を想定した訓練も計画的に実施していく。

今後も社員の対応力、安全を高める設備、組織の安全管理の3つを偏りなくレベルアップし、さらに連携していくことで、新幹線の安全を確かなものにするとのこと。