同じ部活に所属する少年と少女の淡いすれ違いの関係を描いた漫画「部活で一緒の淡々としてる女の子の話」がTwitterに投稿され、注目を集めた。作者は同SNSなどで漫画作品を公開している、矢村いちさん。普段の言動とギャップのある少女の振る舞いと、知らずしらずの内にそれに翻弄される少年の描写に、称賛の声があがっている。

学校の文芸部にいるのは、少年と、彼とは別のクラスの少女・音無さんの2人だけ。彼から見える音無さんは「常に淡々としている」。少年は、クラスの授業が遅れていることから、山のように出された課題に慌てているが、音無さんはそんな彼を横目に「…そう」と静かに応え、クールに髪をかきあげながら「…ノート貸そうか?」と声かける。

  • 矢村いちさんによる漫画「部活で一緒の淡々としてる女の子の話」(1ページ目)

少年は、音無さんの気配りに感激しながら「僕は彼女と何気ない話をするのが楽しい」としみじみ思う。一方、少年には気がかりなことがあった。それは友人が話す彼女の評判。友人いわく「音無さんって3組のいつも明るい、ニコニコしてる人だろ? 可愛いよな」とのこと。部活で少年に見せる姿とは、大きな開きがある。それに少年は「距離を置かれてる!? 僕とは素でいられないってこと!?」と不安になってしまう。

  • 漫画「部活で一緒の淡々としてる女の子の話」(2ページ目)

そこで、視点は変わって音無さんの側。実際の素のままの彼女は「表情が乏しいし、喋り方もそっけない」。彼女自身にも自覚はあり、そのままだと友人に共感などを示し辛いことも分かっている。そこで人間関係を上手く立ち行かせるために必要なのは、作り笑いだった。普段から明るく話そうと努めるも、実際の自分自身とのギャップに息苦しさを感じてしまう。

  • 漫画「部活で一緒の淡々としてる女の子の話」(3ページ目)

そんな思いもあって、部活では淡々としている音無さん。好きな映画を少年から問われて、「…『プラダを着た悪魔』かな。君は?」と落ち着いて答える。しかし、そんな彼女も内心では、何気ない話をしながら「素でいられる彼との時間が、好きだ」とじんわり思う。淡々としながら微笑む彼女。少年は「頭が良さそうでカッコつく映画」を探そうと、様々な過去の名作をあれこれと挙げようとしながら、「『ヨーシャンクの空に』かな!!」と咄嗟に応じる。そこで、音無さんも「『ショーシャンク』ね」と静かにツッコんでいく…。

  • 漫画「部活で一緒の淡々としてる女の子の話」(4ページ目)

リプライには、「(4ページ目の)『好きだ』の表情にやられちゃいました」「この2人可愛すぎる…」「あー、心が癒やされていく。素敵」「付き合えば、全部丸く収まる(主にこちらの要望)」と称賛の声が。また、「クール系好きには特攻が効きすぎる!」と描写に惚れ込むコメントも見られた。

この短編の作者は、Twitterなどで漫画作品を発表している矢村いちさん。10月から11月にも「新学期が不安なパシリ君の話」「他人の一人の少女が死んだ話」などの作品を公開し、注目を集めている。