将来、子どもの教育費や住宅購入、老後生活などに大きなお金がかかることを考えると、少しでも多く貯蓄しておきたいですよね。また、「特に目的はなくても、安心のためにお金を貯めたい」という声もよく耳にします。

いくら貯められるかはある程度収入に左右されますし、必要となる金額も家族構成やライフイベントなどにより、人それぞれ異なります。しかし、同じ世代の人がどのくらい貯蓄しているのかを知れば、目標貯蓄額の目安になります。20代、30代の平均貯蓄額はどのくらいなのでしょうか。貯蓄を増やすためにすべきこととあわせて、まとめてみました。

  • 20代、30代の貯蓄額の平均

    20代、30代の貯蓄額の平均

20代、30代の平均貯蓄額

はじめに、20代と30代の平均貯蓄額を見てみましょう。金融広報中央委員会の「平成30年(2018年)家計の金融行動に関する世論調査」から、二人以上世帯と単身世帯の貯蓄額を抜き出してみました。

<二人以上世帯>
20代……平均249万円、中央値111万円
30代……平均660万円、中央値382万円

<単身世帯>
20代……平均128万円、中央値5万円
30代……平均327万円、中央値40万円

二人以上世帯では、平均ですと20代で約250万円、30代では大きく増加して660万円もの貯蓄があることがわかりました。ただし、飛び抜けて貯蓄額の多い一部の世帯に引っ張られ、平均は高くなる傾向にあります。そのため、中央値(小さい順に並べた時真ん中に来る数値のこと)の方が、実態に近い数字であると言えます。中央値を見てみると、貯蓄額は20代では約110万円、30代では約380万円となりました。

一方、単身世帯はどうでしょうか。20代の平均貯蓄額は約130万円ですが、中央値はぐっと下がり5万円です。30代では、平均は約330万円ありますが、中央値となると40万円です。一人暮らしは生活費の負担が大きく、貯蓄にお金を回す困難さが浮き彫りとなるような結果です。特に、まだ所得がさほど多くない20代は、貯蓄をするのが簡単なことではないでしょう。しかし、それだけではなく、家計のやりくりに慣れていないといった要因も考えられそうです。

なお、この中には金融資産を保有していない世帯、つまり、貯蓄がゼロの世帯も含まれています。では、どのくらいの割合が、貯蓄ゼロ世帯なのでしょうか。まず、二人以上世帯では、20代は32.2%、30代は17.5%の人が金融資産非保有世帯となっています。単身世帯では、20代で45.4%、30代で39.7%の世帯では貯蓄がないという結果になりました。特に単身世帯で貯蓄をしていない世帯が目立ち、約4割の人は貯蓄がないまま生活していることがわかります。

ちなみに、貯蓄をしている世帯だけを抜き出すとどのくらいの金額になるのでしょうか。

<二人以上世帯>
20代……平均370万円、中央値250万円
30代……平均810万円、中央値500万円

<単身世帯>
20代……平均239万円、中央値85万円
30代……平均533万円、中央値250万円

貯蓄している世帯だけを見てみると、特に単身世帯では、貯蓄をしていない世帯を含むデータとの差を感じるのではないでしょうか。一人暮らしでも、貯めている人はしっかり貯めている、ということですね。

貯蓄額を増やすために必要なことは?

同世代の貯蓄額を知ると、「自分ももっとしっかりお金を貯めたい」と思いますよね。貯蓄額を確実に増やしていくには、何をすればいいのでしょうか。

まず、「先取り貯蓄」の仕組みを作ることが必須です。貯蓄分を余らせようとしながらお金を使っても、結局は使い切ってしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。これでは、余裕のある月は貯められるけれど、急な出費があった月はそれまでの貯蓄分も使ってしまう……というように計画的な貯蓄はできません。

そこで、毎月しっかり貯めるためには、給与から先に天引きさせ、貯蓄のお金を別口座に移してしまうのです。先取り貯蓄には、金融機関の「自動積立定期預金」や勤め先にある場合は「財形貯蓄制度」の活用がおすすめです。

さらに、同世代の平均や中央値よりも多い貯蓄額を目指したいという場合は、投資に挑戦してみましょう。銀行口座にお金を置いておくだけでなく、投資でリスクを取りつつ、増やしながら貯めていくのです。たとえば、NISA(少額投資非課税制度)口座を開き、その口座で投資信託を購入すると、税制優遇が受けられお得に運用ができます。コツコツ積み立てていけば、複利効果によって効率的にお金を増やすこともできますよ。

また、収入自体を増やすなら、副業を始めるのも有効な手立てです。最近は、副業としてできる多種多様な仕事がありますので、自分のライフスタイルに合い楽しみながらできる副業がきっと見つかるはずです。ただし、いずれにしてもただ漠然と「貯蓄が増えれば安心」とするのではなく、何のためにお金が必要なのか、その目的を考えてみましょう。人より多くお金を貯めて安心するだけでは、人生を豊かにする有意義な使い方はできないからです。

仕組みを作ることでお金は貯められる

消費税が10%になり、家計負担が大きくなったと感じる人は多いでしょう。これまで以上に生活が圧迫され、貯蓄どころではない……と考えてしまうものですが、お金を先に貯める仕組みを持てば、少しずつでも貯蓄はできるのです。

決して無理をしない範囲で先取り貯蓄をし、残りのお金で生活してみましょう。はじめは大変かもしれませんが、「そもそもこの金額しかなかった」と思って工夫すれば、案外やりくりできるものです。